2019-11-11

明治の人力車は1日に110km走った/『伝統食の復権 栄養素信仰の呪縛を解く』島田彰夫


『日本自立のためのプーチン最強講義 もし、あの絶対リーダーが日本の首相になったら』北野幸伯
・『日本の生き筋 家族大切主義が日本を救う』北野幸伯
『給食で死ぬ!! いじめ・非行・暴力が給食を変えたらなくなり、優秀校になった長野・真田町の奇跡!!』大塚貢、西村修、鈴木昭平

 ・明治の人力車は1日に110km走った

・『親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起原に迫る』島泰三
『自殺する種子 アグロバイオ企業が食を支配する』安田節子
・『タネが危ない』野口勲
『野菜は小さい方を選びなさい』岡本よりたか
『シリコンバレー式自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー
『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム
『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン

 文明開化と第二次世界大戦の二回の食生活革命によって、日本人が築きあげてきた伝統的な食生活の体系は破壊されてしまいました。(中略)
 特に第二次世界大戦後の、「栄養改善運動」といわれる食生活革命は、高度経済成長も手伝って、日本の食生活を否定することによって進められました。世界には多くの民族がいますが、わずか数十年の間にこれほど食生活が変化した民族はありません。

【『伝統食の復権 栄養素信仰の呪縛を解く』島田彰夫(東洋経済新報社、2000年/不知火書房新版、2011年)】

 玄米食を調べていた頃に読んだ一冊。島田は食べやすい分搗(ぶづ)き米を勧めている。牛乳が健康に悪いのも本書で確信することができた。

 数十冊の本を読んでから、「結わえる 寝かせ玄米」やローソンストア100のレトルト玄米を食べたのだが、さほど効果は感じなかった。で、米糠が体にいいのであれば米糠を食べればいいとの結論に落ち着き、煎り糠をご飯にかけて食べた。便も吟味したがやはり変化はなかった。現在は胚芽押麦を米と1:1の割合で炊いている。


 栄養素信仰とは戦後の栄養学がカロリー計算や食品成分に固執してきた(1日30品目など)ことへの批判的な眼差しを示したもの。そもそも栄養学がやってきたことを振り返れば、学問に値するかどうかも甚だ疑わしい。科学から最も遠くに位置するのは間違いない。続くのは心理学、医学か。


【人類に近づくにつれて食物の植物化が進みます(本文より)】

 ゴリラはあの筋肉を菜食で維持している。肉食が脳の肥大化を促進したという説もあるが、それだと類人猿以前の進化が説明できない。イデオロギーとしての菜食主義は噴飯物だが魚と鶏卵でタンパク質は賄(まかな)えるように思う。

 1876(明治9)年に来日し、1905年までのおよそ30年間を日本に滞在し、東京医学校(現在の東京大学医学部)で医学教育にあたったベルツは、東京から日光まで行ったときのエピソードを記録しています。現在では考えにくいことですが、一度目は馬で行きました。そのときは途中で馬を6回取り替えて14時間かかったそうです。そして二度目は人力車に乗っていったところ、その車夫は一人で14時間半で行ってしまったそうです。馬よりもすごいということで、彼は実験をはじめました。人力車夫を二人雇って、食事を調べながら、毎日体重80キロの人を乗せて、40キロの道を走らせたということです。
 ベルツは日本に栄養学を紹介した人でもありますが、彼らの食事が栄養学の知識からあまりにもかけ離れていたので、自分の栄養知識にしたがって肉などを買い与えました。その結果、人力車夫は3日で疲労が激しく走れなくなり、元の食事に戻してほしいと申し出たそうです。そこで食事を彼らの普段のものに戻したところ、また元気になって走れるようになったという結果でした。ベルツは日本の食事の持つ力に感心し、そのことも書いています。当時の人力車夫が1日に50キロの道を走るのは当たり前だと、ほかにも多くの外国人が書き残しています。

 出典を調べようと検索したところ批判的な指摘が多くて驚いた。

考察ミスだった「ベルツの人力車実験」 - タミアのおもしろ日記
ベルツの実験についてメモ(あれは肉食否定の話か?) 2013/7/10 : ひねもすやのたりすけ

 ベルツの情報については次のページが参考になった。

「穀物+大豆+野菜+(魚)」という日本食の威力
ドイツ人医師・ベルツが実証した穀物菜食者の優秀性

 島田の別本によれば日光までは110kmの距離らしい。この際、米とか肉とかはどうでもいい。日本人の驚くべき体力に注目すべきである。ベルツが考察ミスをしたことは驚くに値しない。医師とは考察ミスの異名なのだから。私はピロリ菌以前の十二指腸潰瘍治療を行っているので骨身にしみてわかる。しかも医学界はピロリ菌を発見したオーストラリア人医師の功績を長らく無視し続けた。こうした医学界の頑迷固陋な状況は分子生物学によって破られつつある。

 私が興味を掻き立てられるのは昔の日本人の体の使い方である。武道家が解明しつつあるがそれは筋肉よりも骨の使い方に工夫があったのだろう。今でも「彼は骨のある人物だ」と表現することからもわかるように姿勢を支えるのは骨である。筋肉ではない。

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