1冊挫折。
『
人間の生き方、ものの考え方 学生たちへの特別講義』福田恆存〈ふくだ・つねあり〉:福田逸〈ふくだ・はやる〉・国民文化研究会編(文藝春秋、2015年)/昭和37、41、50、55年に行われた学生向け講演4本を収録。『
学生との対話』小林秀雄と併読するのがよい。小林に比べるとやはり地味な印象を受けるが、亀の歩みにも似た安定感がある。福田と小林は戦後保守の二代巨頭的存在だが、本書は保守の教科書ともいうべき内容で、温厚な精神を感じた。佐伯啓思〈さえき・けいし〉著『
「欲望」と資本主義 終りなき拡張の論理』の回りくどさは、福田の言葉に対する考え方を踏襲しているのだろう。マルクス主義の旋風に殆どの知識人が靡(なび)く中で、日本を見失うことのなかった人物の一人が福田恆存であった。
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