2016-08-03
ジョン・D・バロウ、他
4冊挫折、1冊読了。
『ブッダの脳 心と脳を変え人生を変える実践的瞑想の科学』リック・ハンソン、リチャード・メンディウス:菅靖彦訳(草思社、2011年)/狙いはいいのだが力及ばずといったところ。半分ほど読んだが自我を肯定しているため心理学レベルの療法にとどまっている。それでも新しい表現があって参考にはなる。
『がんが自然に治る生き方 余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと』ケリー・ターナー:長田美穂訳(プレジデント社、2014年)/キレとコクを欠く。悪い本ではない。
『千日の瑠璃 究極版(上)』丸山健二(求龍堂、2014年)/厳密に比較したわけではないのだが文章が長くなっているように感じた。「究極版」との尊大なタイトルの割には冗長さしか感じない。しかも旧版はウェブ上で公開されており、わざわざ改行を増やして2000ページにした意味が不明だ。巻末に加えられた詩的な文章もかつての丸山と比べると澱みがある。求龍堂からは古い作品が陸続と増刷され、眞人堂では「丸山健二文学賞」なるものまでできた。古いファンからすれば、やや不思議なスポンサーシップである。丸山が強気なのはこうしたパトロンの存在もあるのだろう。個人的に『千日の瑠璃』は好きな作品なのだが、多くのファンからは見限られた。究極版とはいうものの文章に誤りがある。
『科学vs.キリスト教 世界史の転換』岡崎勝世〈おかざき・かつよ〉(講談社現代新書、2013年)/三部作の最終章。読み物としての山場に欠ける。機会があれば読み直すつもりである。
114冊目『宇宙が始まるとき』ジョン・D・バロウ:松田卓也訳(草思社、1996年)/「ジョン・バロウ」と表記されているが多分『無の本 ゼロ、真空、宇宙の起源』と同じ著者だろう。“なお、訳書の名義は「ジョン・D・バロウ」、「ジョン・バロウ」、「J.D.バロー」など、出版社ごとに異なる”(Wikipedia)。出だしは易しいのだが、あっという間に難解な領域に踏み込む。その手並みが鮮やか。松田の訳もこなれていておすすめ。時間論と人間原理についての言及もある。
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