・『史上最大の発明アルゴリズム 現代社会を造りあげた根本原理』デイヴィッド・バーリンスキ
・「計算」という概念
・『生命を進化させる究極のアルゴリズム』レスリー・ヴァリアント
・情報とアルゴリズム
・必読書リスト その三
アルゴリズムは、通常はプログラムされた通りに行動する。おとなしく株の取引をしたり、Amazon.com では需要と供給に見合った本の値付けをしたりしている。しかしいったん人間の目が行き届かなくなると、アルゴリズムは不思議な行動をとってしまうことがある。私たちが世の中の多くの物事をアルゴリズムの管理下に置けば置くほど、何かが置きたときにその原因が誰なのか、何なのか、突きとめることは難しくなる。この現実はじわじわと私たちの住む世界を侵食し、ついにフラッシュ・クラッシュという形で爆発したのだ。
【『アルゴリズムが世界を支配する』クリストファー・スタイナー:永峯涼〈ながみね・りょう〉訳(角川EPUB選書、2013年)】
アルゴリズムは算法と訳される。ま、計算法と考えてよい。コンピュータの基礎となるのがアルゴリズムで、上述テキストの通りフラッシュ・クラッシュ(劇的な相場暴落)を通して注目されるようになった概念である。
株式や先物・通貨・債券などのマーケットは既にコンピュータ売買が主流となっている。想定範囲内の値動きであれば逆張りもあり得るが、価格が大きく変動した場合は順張りにするのが通常のアルゴリズムだろう。つまり上がる時は買いが買いを呼び、下がる時は売りが売りを招く状態となりやすい。
というのが日経新聞を始めとするありきたりの解説だが実際は違う。暴落の真相はわからないのだ。これがアルゴリズムの「不思議な行動」である。
問題解決のための効率的な手順や計算方法がアルゴリズムで、料理のレシピなんかはアルゴリズムそのものである。ま、「拝めば幸せになれる」というのも宗教的アルゴリズムと考えてよかろう。私からは「信じる者は救われ【ぬ】」とアドバイスしておこう。
アルゴリズムを通して「計算」という概念が変わった。生きることを計算と捉えることまで可能となった。量子力学が情報に踏み込んだ時点で宇宙までもが計算機と考えられるに至った(『宇宙をプログラムする宇宙 いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか?』セス・ロイド)。
行動経済学と社会科学の間の溝が埋まれば社会のアルゴリズムも解き明かされることになるだろう。
アルゴリズムが世界を支配する (角川EPUB選書)
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クリストファー・スタイナー
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