2016-12-28

アンドリュー・ニューバーグ、ユージーン・ダギリ、ヴィンス・ローズ


 1冊読了。

 175冊目『脳はいかにして〈神〉を見るか 宗教体験のブレイン・サイエンス』アンドリュー・ニューバーグ、ユージーン・ダギリ、ヴィンス・ローズ:茂木健一郎監訳、木村俊雄訳(PHP研究所、2003年)/再読。訳者の名前を明記していないのはPHP研究所の片手落ちだ。茂木の名前で商売をしようとの魂胆が見え見え。神経科学から悟りにアプローチした労作で後に花開く認知科学に与えた影響は大きい。再読して気づいたのは量子論的視点を欠いていることと、受動的なアプローチ(絶対的一者)と能動的アプローチ(神秘的合一)の論述に混乱が見られる。尚、前者は仏教で後者は人格神宗教を示す。巧緻な文章と研究に関する自負が強い割には視点の飛躍がない。「すべてのスピリチュアル体験は、瞬間的に大発生した電気化学的な刺激が脳の神経経路を駆けめぐる現象に還元できてしまう」という地点にとどまっている。いずれにせよ本書が突きつけたテーマに関して全ての宗教が応答を求められている。既に書評済みである。

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