・倒れた人を起こす方法
・いざという時に人を一瞬で担ぎ上げられる「ファイヤーマンズキャリー」という担ぎ方
前々回のサイクリングで家を出た直後に尻餅をついているオジイサンを見掛けた。直ぐに自転車を降りて声を掛けた。「大丈夫ですか? 起き上がれます?」と。ジイサンは「すみませんが手を貸してもらえますか」と答えた。「助けて下さい」と言わないところがさすがである。
年寄りを立たせることは私にとって赤子の手をひねるようなものだ。「ハイ、じゃあ力を抜いて下さい。上半身を少し前屈みにして、腕を胸の前で組んで下さい」。で、一瞬にして立たせた。この時、直ぐに手を離してはいけない。目眩(めまい)でまた倒れる可能性があるためだ。きちんと立てたら打撲と骨折の確認をする。手・肘・尾骨・背骨に痛みや傷があるかどうか。特に高齢者の場合、頭を打っているかどうかを厳密に調べる必要がある。打撲による脳血管障害があった場合、症状が数日後に現れるケースがあるためだ。
起こし方については必ず覚えておくこと。家族がいる人は実際にやってもらいたい。少し想像力を働かせればわかることだが、災害や、線路・道路などでの人命救助でこれを知っているのと知らないのとでは天地雲泥の差が出る。
私が更に詳しい解説をして進ぜよう。相手の腕を握るのではなく、中指・薬指・小指の3本を第2関節で曲げて引っ掛けるようにして持ち上げるのが正しい(※動画の腕の位置はよくない。相手の手首と肘の間に指を引っ掛ける)。人差し指は不要だ。自分の腕には力を入れない。持ち上げる腕に力を入れれば相手の体もそれに応じて緊張してしまう。そして体を相手の背中にぴったり密着させ、一度後ろ側に揺すってから真っ直ぐに自分の腰を上げる。この時、特に非力な女性にありがちなのだが、絶対に上半身を前に倒してはならない。前屈みから垂直方向の動きが腰痛をもたらすからだ。感覚としてはスクワットと全く同じで踵(かかと)はしっかりと地面につける。
何かあってからオロオロするよりも、普段から有事に備えて準備をしておくことが大切だ。他にも色々な方法はあるのだが一番汎用性の高いやり方を紹介した。
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