・『「量子論」を楽しむ本 ミクロの世界から宇宙まで最先端物理学が図解でわかる!』佐藤勝彦監修
・『黒体と量子猫』ジェニファー・ウーレット
・『量子革命 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突』マンジット・クマール
・量子もつれ
・『量子が変える情報の宇宙』ハンス・クリスチャン・フォン=バイヤー
・『すごい物理学講義』カルロ・ロヴェッリ
・『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』カルロ・ロヴェッリ
・必読書リスト その三
二つの実体が互いに作用すると、必ず「もつれ」が生じる。光子(光の小さな破片)や原子(物質の小さな破片)であっても、原子からなるもっと大きな塵埃(じんあい)や顕微鏡、あるいはネコやヒトのような命あるものであっても同様だ。のちに別の何かと相互作用しないかぎり――ネコやヒトにはそれができないためにその影響に気づかないが――どれほど互いに遠く離れていても、もつれは持続する。
このもつれこそが、原子を構成する粒子の動きを支配している。まず、互いに作用しあうと、粒子は単独としての存在を失う。どれほど遠く離れていても、片方に力が加えられ、測定され、観測されると、もう片方は即座に反応するらしい。両者の間に地球がすっぽり入るほどの距離があったとしても、だ。だが、そのしくみは未解明だ。
【『宇宙は「もつれ」でできている 「量子論最大の難問」はどう解き明かされたか』ルイーザ・ギルダー:山田克哉監訳、窪田恭子〈くぼた・きょうこ〉訳(ブルーバックス、2016年)】
量子には粒子と波動という二つの顔がある。この不思議を思えば幽霊や宇宙人など物の数ではない。初めて二重スリット実験を知った時、頭がこんがらがって理解する気も失せた。
そしてもっと不思議なのが量子もつれである。例えば強い相互関係にある二つの電子があったとしよう。一つの電子は上向きスピンと下向きスピンの状態を重ね持つことができる。そして観測によって電子Aが上向きスピンであれば電子Bは下向きスピンとなる。この関係は電子AとBが宇宙の両端に存在しても変わることがない。
もう一度説明しよう。電子は上向きスピンと下向きスピンの状態を併せ持つが観測することで方向性が確定する。片方の電子の向きがわかった瞬間にもう片方の向きが決まるのだ。何光年も離れた二つの電子がもつれているとすれば、光速を超えたスピードで情報がやり取りされていることになる。もしそうだとするなら特殊相対性理論に反する。というわけでアインシュタイン=ポドルスキー=ローゼンのパラドックスが発表された。アインシュタインは量子力学の父であったが星一徹のような厳父であった。しかも死ぬまで子供を認めようとしなかった。
「この宇宙における現象が、離れた場所にあっても相互に絡み合い、影響し合っているという性質のこと」(Wikipedia)を非局所性という。量子もつれが痴情のもつれよりも強力なのは確かだがはっきりしたことは判明していない。個人的には「つながっている」のだろうと睨(にら)んでいる。もう一つは観測が及ぼす影響である。量子もつれは実験によって証明されているが、何光年も離れた状態の量子を同時に観測することは不可能だ。厳密に言えば観測は可能だとしても連絡を取るのに時間がかかる。同時性を証明することができない。
相対性理論は速度と時間の概念を引っくり返したが、量子もつれは局所性を軽々と超える。実際の電子は原子核の周囲を惑星のように回っているわけではなく、雲のような状態で存在し確率として捉えられる。
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