太古の昔から幾世代も世代交代を繰り返しながら同じような原生林を維持してきたのだろう。人間は世の中の進歩に合わせて生き方を変えてきたが、ブナたちは生き方を変えることがない。ブナたちは何の野心も持たずに、与えられた環境のなかでせいいっぱい生きて子孫を残すことに徹している。これが生き物の純粋な生き方なのだ。人間は悲しいとき、苦しいときに救いを求めて森の中に入る。そんな人間をブナの森はいつでも優しく包み込んで癒してくれる。人間は昔は森の中でこんなブナたちと一緒に暮らしていたのだ。私たちの遺伝子のなかにそんな思い出が刻み込まれている。ブナの森の中に入ると昔の記憶が蘇って、昔の仲間であるブナたちと心の交流をはじめるのだ。道南のブナの旅の終わりに、こんな見事なブナ林に出会えて大いに満足した。
【『ブナの山旅』坪田和人〈つぼた・かずと〉(山と渓谷社、1999年)】
2年前、突然ブナに興味が涌いた。検索するごとに私は「ブナだな」と呟いた。今まで「これだ」と思う森に出遭ったことがなかった。多分ブナが欠けていたのだろう。そんな気がした。
上記テキストは賀老(かろう)高原(北海道島牧郡島牧村)を紹介したものだ。
・【賀老高原】アクセス・営業時間・料金情報 - じゃらんnet
ブナの基礎知識(黒松内町ブナセンター) https://t.co/cD4hbjAv1K pic.twitter.com/54d5pC5coD
— 小野不一 (@fuitsuono) May 12, 2021
・ブナ
本書を読んで「老後はブナを巡る旅でもするか」と閃いた。収められている写真がまた素晴らしい。
私は美しい写真やフィルター処理された画像に興味はない。むしろ、ありのままのスナップショットこそ好ましいと考えている。老後はそう遠くない時期にやってくる。密かな楽しみを温めておこう。
・潜在自然植生/『宮脇昭、果てなき闘い 魂の森を行け』一志治夫
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