旧チェコスロバキアで共産政権を無血で崩壊させた「ビロード革命」を主導したバツラフ・ハベル前チェコ大統領が18日、死去した。75歳だった。
報道担当者の声明によると、同氏は夫人に見守られながら、眠るように息を引き取った。
ハベル氏は劇作家から反共産政権の活動家に転じ、4年半に及ぶ収監を経て1989年のビロード革命を率いた。同年チェコスロバキアの大統領となり、93年のスロバキア分離後にチェコ初代大統領も務めた。
思索の深さや演説の長さで知られる一方、ユーモアのセンスも持ち合わせ、大統領在任中は官邸の廊下をスクーターで走り回っていた。ロック音楽を愛し、同国のバンド「プラスティック・ピープル・オブ・ザ・ユニバース」の逮捕をきっかけに、共産党政権の人権侵害に抗議する「憲章77」を起草したとされる。
ノーベル平和賞の候補者として何度も名前が挙がり、昨年受賞した中国の民主化運動家・劉暁波氏への支援でも中心的な役割を果たした。
96年に肺がんの切除手術を受け、余命数年の宣告を受けていたとされる。今年3月にはCNNとのインタビューで、中東の民主化運動「アラブの春」と20年余り前の中・東欧民主化との共通点を指摘。自由へのあこがれが雪だるま式に成長し、「雪崩」を起こしたと話していた。
英国のヘイグ外相は同氏を「冷戦下で東欧民主化への扉を開いた英雄」とたたえた。米国のオバマ大統領は声明で「世界何百万の人々と同様、私もハベル氏の言葉と指導力に影響を受けた」と述べた。
【CNN 2011-12-19】
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