2013-03-07

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』関連動画


 男は格闘技に生き、格闘技に翻弄された。木村政彦の名は本書によって格闘技の歴史に極太ゴシック体で記されたといってよい。そして木村を貶(おとし)めた力道山もまた格闘技に翻弄された一人であった。上下二段700ページに及ぶ大冊だ。新潮社の2600円という価格設定は勇断である。増田俊也〈ますだ・としなり〉は格闘技でもって見事に昭和史を切り取ってみせた。牛島辰熊〈うしじま・たつくま〉、木村政彦岩釣兼生〈いわつり・かねお〉の師弟三代にわたる武士道は最後の一ページで結実する。読者は「あ……」と息を呑んで、胸の振動に身を揺さぶられることだろう。著者もまた柔道家である。時折、ペンが感情の激流に流され呪詛の域に達する。それもまたよしとしよう。木村の強さに引きつけられた者は信者となってしまうのだ。

 以下に木村関連の動画を紹介する。見てから読んでもいいし、読んでから見ても構わないだろう。本書は木村の虚実をも赤裸々に描いている。

 尚、合気道の神様といわれた塩田剛三〈しおだ・ごうぞう〉は拓大時代からの親友で、大山倍達〈おおやま・ますたつ〉は拓大の後輩である(※大山の経歴については異論もあるようだ)。























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東京新聞:『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』 増田俊也さん(作家、中日スポーツ記者)
「そして、リヴェンジは果たされた」平野啓一郎

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