出産時の事故で脳性まひになった子供に補償金を支払う「産科医療補償制度」の対象事案を分析した結果、陣痛促進剤を使用したケースの7割超で学会が設けた使用基準を守っていなかったことが8日、日本医療機能評価機構の調査で分かった。
産科医療補償制度は同機構が運営し、脳性まひになった子供について過失の有無にかかわらず補償金を支払う。2009年に始まり、12年末までに465件を審査、うち425件の補償が決まった。今回は188件の分析結果をまとめ、公表した。
同機構によると、出産時の何らかの事故によって子供が脳性まひになった188件のうち、陣痛促進剤が使われていたのは56件。うち77%に当たる43件で、日本産科婦人科学会が設けた指針に基づく用法などの基準を逸脱していた。
基準逸脱の内訳(複数回答)は「陣痛促進剤の初期投与量が基準より多かった」が34件で最も多く、「投与の増加量や間隔に問題があった」(32件)、「最大投与量が基準より多かった」(2件)と続いた。基準を守らないと、強すぎる陣痛や子宮の破裂を引き起こす恐れがある。
基準逸脱が脳性まひの直接の原因とされたのは1件で、他に影響を与えた疑いがあるケースが6件あった。
【
日本経済新聞 2013-05-08】
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