2021-11-05

野菜の栄養素が激減している/『その調理、9割の栄養捨ててます!』東京慈恵会医科大学附属病院栄養部監修


『火の賜物 ヒトは料理で進化した』リチャード・ランガム

 ・その食べ方、間違ってます
 ・野菜の栄養素が激減している

・『その調理、まだまだ9割の栄養捨ててます!』京慈恵会医科大学附属病院栄養部監修
・『栄養まるごと10割レシピ!』料理・レシピ小田真規子、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部監修
『野菜は小さい方を選びなさい』岡本よりたか
・『蘇るおいしい野菜 逆発想・永田農法の奇跡』飯田辰彦
・『永田農法・驚異の野菜づくり』飯田辰彦
・『永田農法でコンテナ野菜』永田照喜治監修
・『永田農法はじめてでもできるおいしい野菜づくり』諏訪雄一監修
『食は土にあり 永田農法の原点』永田照喜治
・『DVD だれでもつくれる永田野菜 全10枚

 野菜の栄養素が昔より激減しているって知っていましたか?
 実は、今の日本人の7割は野菜不足だといわれています。その上、例えば一般に販売されているほうれん草のビタミンCは、50年前に比べてほぼ1/3、鉄分は1/6以下にまで低下しています。ビタミンやミネラルが減少した原因のひとつには大量生産による土壌のミネラルが減っていることも影響しています。また野菜だけでなく、精製技術が上がったことで、米などの穀類の栄養も減っています。
 野菜不足にくわえ、食材の栄養価が下がりつつあるため、これは例えば、ほうれん草でいえば、50年前は1わでOKだったものを、昔と同じ栄養価を摂取するためには、今では3わ必要ということになるのです。
 食材の栄養価も変わっている今だからこそ、食材の栄養を逃が(ママ)さず、効率よく食べることが大きな意味を持ちます。

【『その調理、9割の栄養捨ててます!』東京慈恵会医科大学附属病院栄養部監修(世界文化社、2017年)】

 ちょっと調べてみた。


 読んでいると頭がおかしくなりそうな文章だ。「支離滅裂」という名の教科書があれば巻頭カラーページに載せてやりたい。「原因について、様々なことが言われています」。以下、引用。

 1. 測定の仕方が、今と昔とでは違うとか。
→測定の違いを示していない。

 2.旬がなくなり、旬でないとき、つまりその作物にとって適期でない時期に栽培されているから栄養価が上らないとか。
→適期と栄養価に因果関係があると断定している。

 3.品種改良によって、現在の品種は、病気に強いが、栄養価は低いとか。
→品種改良と栄養価の相関性が全品種に及ぶかどうかが判然としない。

 しかもこう書いておいて、「野菜の栄養価不足の原因は地力低下にある」と断言しておきながら、「堆肥を積極的に活用すれば、50年前のような栄養価の高い野菜ができるはずだったのですが、実際には、そう簡単にはいきませんでした」と敗北宣言をしている。

「ポイントは硝酸イオンを低く抑える技術」という一言だけが参考になった。農業が科学とは無縁なことがよく理解できた。

 硝酸イオンについても検索したのだが、これといった情報が見つからなかった。「硝酸イオンは、自然界のどこにでも存在する窒素化合物です」(なぜ、硝酸イオン(NO3-)を測るのでしょう?:商品について:栽培ガイド 『園芸ネット』本店 通販 engei.net)。「窒素施用量の削減」(野菜に含まれる硝酸イオンの問題 | 播州農機販売株式会社・兵庫農機販売株式会社 | 中古農機 クボタ 農業機械)、つまり施肥の問題らしい。

 私は農業についてはズブの素人である。少し前から永田農法を学んだ程度だ。「日本の野菜は水と肥料が多すぎる」と永田照喜治〈ながた・てるきち〉は指摘する。水とは雨のことだ。そこで永田農法ではビニールハウスやマルチシートで雨を防ぐ。無肥料栽培を提唱する岡本よりたかも水分量の多さを指摘している。

本物の野菜は腐らずに枯れる/『野菜は小さい方を選びなさい』岡本よりたか

「トマト、ジャガイモ、カボチャ、サツマイモ、唐辛子、トウモロコシ、ピーナッツ、パッションフルーツ、キノア、タバコなど、アンデス原産とされる植物は多く、現在世界で常食されている食物の約20%が、アンデス原産であるという」(日本人だけが知らない美食国ペルー 野菜・果物・魚の美味に圧倒される | マッキー牧元の「いい旅には必ずうまいものあり」)。アンデスは南米大陸の西側を貫く山脈である。もちろん高地だ。長大な山脈ゆえ様々な気候条件が入り乱れているが、日本のような温暖湿潤気候でないのは確かだ。やはり原産地の環境を再現するのが望ましいだろう。

 本書には目から鱗が落ちる情報が満載で、さほど料理をしない人が読んでも蒙(もう)が啓(ひら)けることを私が請け合おう。焼いたり、茹(ゆ)でたりすることで増える栄養素もある。

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