・アフリカで誕生した人類はなぜ北へ向かったのか?
・『感染症の時代 エイズ、O157、結核から麻薬まで』井上栄
・『飛行機に乗ってくる病原体 空港検疫官の見た感染症の現実』響堂新
・『感染症と文明 共生への道』山本太郎
・『感染症の世界史』石弘之
一部の病気は、つねに熱帯地域にだけ発生してきた。そのすべてとはいわないまでも、大部分は寄生虫、細菌、そしてウイルスによる感染症だ。これらの病原体の多くは、蚊や巻貝など無脊椎動物との精妙な生物学的依存関係のなかで、宿主から宿主へ媒介される。(中略)
これらの病原体が現在熱帯地域に限局しているのは、おもにその宿主の生息地域が地理的にかぎられているせいである。
【『コロンブスが持ち帰った病気 海を越えるウイルス、細菌、寄生虫』ロバート・S・デソウィッツ:藤田紘一郎〈ふじた・こういちろう〉監修、古草秀子〈ふるくさ・ひでこ〉訳(翔泳社、1999年)】
「黒人は温かい地域に住んでいるので鼻が低く横に広がっていて、白人は寒い場所で暮らしているので鼻が高くほっそりしている」。小学生のとき読んだ本にそう書かれていた。雑なイラスト付きで。私は中程度のショックを受けた。「なぜこんな簡単な事実に気づかなかったのだろう?」と。と同時に「アフリカで誕生した人類はどうして北へ向かったのか?」という疑問が群雲のように湧いてきた。約半世紀を経てやっとわかった。人類は感染症を避けて北へ向かったのだろう。目安になるのは食物が腐敗する速度だ。
不思議なことだが日本と西欧の緯度はほぼ一致している。
日本と西欧は緯度がほぼ一致している。 https://t.co/mqliGAWxiW pic.twitter.com/RafESHqRyX
— 小野不一 (@fuitsuono) April 29, 2020
共に温暖の決め手となっているのは海流である。四季の色合いを思えば日本の気候が好ましいが、その代わり地震と津波のリスクがある。地震の少ないヨーロッパは石材を使った建築物が多い。
・乾極と湿極の地政学/『新・悪の論理』倉前盛通
倉前は更に「二十世紀以降の主要文明は、海流流線の集中点近くに栄えるであろう」という仮説のテーゼを示している(『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か』倉前盛通)。
色々と考え合わせると日本の首都が京都から江戸へ移ったのも得心がゆく。もしも遷都(せんと)をするなら次は東北か北海道が望ましい。無論、感染症対策だ。
宿主(しゅくしゅ)であるヒトが長距離の移動を可能にするとウイルスも世界中に拡散する。ウイルスにとって人体は大地や海のようなものだ。科学技術によってウイルスを撲滅するよりは、ウイルスに適応する進化を遂げるのが自然の摂理にかなっているだろう。
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