2020-10-20

「人間を守るため」という真の目的/『続・人類と感染症の歴史 新たな恐怖に備える』加藤茂孝


『環境と文明の世界史 人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ』石弘之、安田喜憲、湯浅赳男
『人類史のなかの定住革命』西田正規
『人類と感染症の歴史 未知なる恐怖を超えて』加藤茂孝

 ・「人間を守るため」という真の目的

『感染症の世界史』石弘之
『感染症の時代 エイズ、O157、結核から麻薬まで』井上栄
『飛行機に乗ってくる病原体 空港検疫官の見た感染症の現実』響堂新
『感染症と文明 共生への道』山本太郎
『感染症クライシス』洋泉社MOOK
『病が語る日本史』酒井シヅ
『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』ジェームズ・C・スコット

 リスクマネジメントとして考えてみると、津波の対策として有効なのは、いかなる巨大な津波でも防げる巨大堤防で日本列島を取り囲むことではなく、津波発生の素早い予報・周知と前もって一次避難の場所を設定し、日頃から避難訓練をすることである。「人間こそが人間を守る」。感染症対策もこれと同じであり、病原体は、今後も絶えることなく新たに人間社会に侵入・出現してくる。この侵入・出現を防ぐのは、早期発見のためのシステム・ネットワークを構築し、早期発見・診断に続く早期治療・対策を実施することである。制度や規則は基盤となるものであり重要ではあるが、そこに、デュ・ガールの言う「人の本性」、芥川の言う「人間性」への配慮を大切にした「人間を守るため」という真の目的を失わないようにしないと、制度も基盤も生きたものにはならない。

【『続・人類と感染症の歴史 新たな恐怖に備える』加藤茂孝〈かとう・しげたか〉(丸善出版、2018年)】

 正篇と較べると続篇は私の胸に驚くほど響かなかった。たぶん働き過ぎの影響もあるのだろう。あるいは加齢による体力の低下が原因かも。機会があれば再読する予定だ。

 リスクマネジメントの「人間を守るため」という真の目的については以下の書籍が参考になる。

『新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている 自分と家族を守るための心の防災袋』山村武彦
『人が死なない防災』片田敏孝

 昨今のコロナ騒動で感じるのは、各国政府における科学とは無縁の意思決定で、いたずらに国民の不安を煽り、国家への依存度を高めようとしているようにしか見えない。一方の国民はテレビ情報を鵜呑みにして科学者気分に浸っている。国家は帝国を目指し、帝国は覇権を主張する。コロナ騒動は戦争の序曲として静かに恐怖を煽り続けることだろう。

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