2014-02-13

「原発稼働停止」の嘘/『原発洗脳 アメリカに支配される日本の原子力』苫米地英人


日本の原発はアメリカの核戦略の一環
・「原発稼働停止」の嘘

 しかし、実態は違います。「停止」あるいは「再稼働」という言葉に騙(だま)されてはいけません。
【日本の原発が停止したのは、「発電」だけです。】
 核燃料棒の「発熱」は続いていますし、原子炉を冷やす「冷却運転」も続いています。つまり、発送電が停止したにすぎません。
 原発というのは、「臨界」(りんかい)と呼ばれる核分裂の連鎖反応によって大きな熱を生み出して、発電をする仕組みです。
 制御棒を入れ絵、中性子の動きを止めることによって、核分裂の連鎖反応を止めることはできます。ですが、臨界は起きていなくても、ウランの燃料棒は崩壊熱を出し続けます。冷やさなければ、熱がたまりすぎて、過熱状態になることもあります。
 発熱が続いている状態を「稼働停止」の状態といえるでしょうか。

【『原発洗脳 アメリカに支配される日本の原子力』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(日本文芸社、2013年)】

 我々は日々流れてくるニュースに目を奪われ、これほど重要な事実も見失ってしまう。問題は「電気」ではなく「ウラン」なのだ。ここから目を逸らさせることが計画停電の目的であったのだろう。

 苫米地は更に「自動車のエンジンでいえば、空回りしている『アイドリング状態』」であり、「日本の原発は、単に発電を停止しただけであり、『出力ゼロ』になっているだけです」と続ける。そりゃそうだ。廃炉にする場合でも数十年かかるのだから。

 一度点(つ)けた神の火は簡単には消えない。原発を導入した政治家や東京電力にその覚悟があったとは思えない。彼らは夢と理想を語っただけだ。そして繰り返し「安全」を説き、神話のレベルにまで引き上げた。

 政治主導といえば聞えはいいが、民意が熟成するだけの時間は与えられていないし、そもそも情報公開がなされていない。政治のセンセーショナルな決断は常に国民を欺く性質を有する。

 去る東京都知事選では反原発候補二人が敗れた。だが選挙結果=民意ではいだろう。民意にはきちんとした情報開示とまともなジャーナリズムが必要不可欠だ。既に選挙は民意を問うものではなく、感情や感覚に動かされる衆愚のバロメーターと化しつつある。

 権力者は愚かな民を好む。そして愚か者同士が争い始めるのだ。

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