・『悲鳴をあげる身体』鷲田清一
・『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴
・幼少期の歪んだ価値観が肉体を破壊するほどのストレスと化す
・ストレスにさらされて“闘争”も“逃走”もできなくなった人々
・ストレス依存
・急性ストレスと慢性ストレス
・心のふれあい
・『生きぬく力 逆境と試練を乗り越えた勝利者たち』ジュリアス・シーガル
・『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』べッセル・ヴァン・デア・コーク
・『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』イーサン・ウォッターズ
・『心と体を強くする! メガビタミン健康法』藤川徳美
・『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』溝口徹
・『食事で治す心の病 心・脳・栄養――新しい医学の潮流』大沢博
・『オーソモレキュラー医学入門』エイブラハム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル
・『ストレス、パニックを消す!最強の呼吸法 システマ・ブリージング』北川貴英
・『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる!』藤本靖
・『あなたはプラシーボ 思考を物質に変える』ジョー・ディスペンザ
・『カシミールの非二元ヨーガ 聴くという技法』ビリー・ドイル
・『瞬間ヒーリングの秘密 QE:純粋な気づきがもたらす驚異の癒し』フランク・キンズロー
・虐待と知的障害&発達障害に関する書籍
・必読書リスト その二
珍しい名前なんでアジア人かと思いきや、カナダ人医師だった。「ストレス理論」の提唱者ハンス・セリエ博士の弟子でもある。
「2200円でソフトカバーはねーだろーよ」と思ったが、400ページあったので許そう。
自己免疫疾患やALS、はたまた乳癌やアルツハイマー型痴呆症までが、ストレス由来の可能性があると指摘している。
ハンス・セリエ博士がストレス学説を発表したのは、1936年(昭和11年)の『ネイチャー』誌上(「種々の有害作用から生ずる一症候群」)でのこと。そんなに古かったんだね。で、誤解している人が多いが、ストレスそのものは否定されるべき代物ではない。人間には「適度なストレス」が必要とされている。
問題は負荷の掛かり方だ。例えば互いに好意を抱いている男女がいたとしよう。やがて、二人の間には愛情が芽生え、ムフフという関係になる。この時点でムフフは快感だ。時は移ろい、四季は巡る。ある時、女性の中に秘められていた性的嗜好が目を覚ます。女は鞭とローソクを用意して男を縛り上げたのだった。男が感じたのは痛みだけであった。とまあ、性的なコミュニケーションと暴力ですら、力の加減によるものなのだ。
そもそも、産道を通る時だってストレスを感じたであろうし、我々は24時間地球に引っ張られているのである。自分の体重ですらストレスの要因となりかねない。ストレス解消のために食べる→体重が増える→膝関節と靴底に負荷が掛かる→またぞろ食べる、これがストレス性デブの無限スパイラルだ。数年後には地面の中に足がめり込んでいることだろう。
メアリーのからだは、彼女の心ができなかったことを実行していたのではないだろうか? 子供のころは無理やり押しつけられ、大人になってからは進んで自分に課してきた執拗な要求――常に自分より他者を優先する生き方――を拒絶するということを。1993年、医学コラムニストとして初めて『グロー、アンド・メイル』紙に執筆した記事で、私はメアリーのケースを採りあげ、今ここに記したような見解を披露した。そしてこう記した。「ノーと言うことを学ぶ機会を与えられずにいると、ついには私たちのからだが、私たちの変わりにノーと唱えることになるだろう」。コラムには、ストレスが免疫系におよぼす悪影響に関する医学論文もいくつか引用しておいた。
【『身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価』ガボール・マテ:伊藤はるみ訳(日本教文社、2005年)】
価値観は選べない。なぜなら、生まれて来る時に親を選ぶことができないからだ。人は誰もが「正しくありたい」と望み、「正しくあろう」と努力する。ところが、そうした正義感が教条主義と化せばストレスとなってしまう。「大義のために死ね」ってことだ。
ところが「正しい行為」が習慣化されていると、行動しない場合、更なるストレスに襲われる。こうなると背水の陣どころか、四方八方すべて海だ。がんじがらめの緊縛プレイ。縛り上げられたマゾは、動くだけでもロープが食い込み身体が痛む。
このような人生を歩むことによって、「ノー」と言えなくなる。だが、負荷は掛かり続ける。そして、信号機が黄色になるように、ウルトラマンの胸のカラータイマーが点滅するように、肉体がシグナルを発する。これが病気だ、というのが本書の骨子。
かなり説得力がある。私なんぞは完全に鵜呑みにしている。本のページ数に限りがあるためと思われるが、反対意見を紹介すれば、更なる説得力が増すことだろう。女性で、その辺の下らないカウンセラーに金を払っている人がいれば、本書を読んだ方がましだ。自分を理解する一助となることだろう。