2017-02-08

大村大次郎、東京裁判研究会、他


 3冊挫折、1冊読了。

共同研究 パル判決書(上)』東京裁判研究会編(講談社学術文庫、1984年/東京裁判刊行会、1966年『共同研究 パール判決書 太平洋戦争の考え方』改題・改訂)/上巻が880ページ(巻頭解説が215ページ)、下巻が805ページある。ウェルマンの『反対尋問』を軽々と凌駕する厚さだ。想像以上に読みやすい文章で、大東亜戦争全体の流れをつかむ上で欠かせないテキストといってよい。何にも増して戦前の日本を正しく見つめ、東京裁判において異を唱えた英知に対し、尽きせぬ恩愛を感じずにはいられなかった。数世紀にわたって虐げられ続けてきた有色人種にあって、日本は軍事力をもって白人を打ち破り(米国にだけ敗れた)、パール判事は知性で白人を凌駕した。時間的なゆとりがなく550ページで挫けたが、日を改めて必ず読破したい。

読む年表 日本の歴史』渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉(WAC BUNKO、2015年)/少し大きめの新書サイズで見開きで1項目。文章に締まりがあってよい。パラパラとめくっただけで終わった。

システマを極めるストライク!』ヴラディミア・ヴァシリエフ、スコット・メレディス:大谷桂子訳(BABジャパン、2016年)/悪くはないのだが写真が少なすぎる。著者のスコット・メレディスはカナダで実際にヴラディミア・ヴァシリエフからシステマを学んでいる人物。ヴァシリエフはミカエル・リャブコの一番弟子らしい。

 7冊目『お金の流れで読む日本の歴史 元国税調査官が「古代~現代史」にガサ入れ』大村大次郎〈おおむら・おおじろう〉(KADOKAWA、2016年)/『お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」』の続篇でどちらもオススメ。実にわかりやすい。「日本の近代史を学ぶ」の筆頭に掲げた。日本という国家が数千年に渡って安定してきたのは税制が上手く機能していたから、との指摘に目から鱗が落ちる。逆に言えば酷税ではなかったということ。「あとがき」も心がこもっていて大村は人間として信頼できる。

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