2015-04-29

宮城谷昌光


 1冊読了。

 40冊目『香乱記(四)』宮城谷昌光(毎日新聞社、2004年/新潮文庫、2006年)/舌なめずりをしながらゆっくりと読み終えた。新聞小説のせいか、いつものような歴史の遠景を淡く描く終わり方をしていない。ドラマは太い線を描いて絶たれる。田横と眷属は壮絶な末期を迎える。楚漢戦争にあって項羽に屈することなく、劉邦にも迎合しなかった男がいた。巨大組織に身を置く者ほど味わいが深いと思う。項羽の冷酷と劉邦の多淫を思えば、田兄弟の施政は光芒を放つ。天下を取った劉邦は項羽以上の残虐非道を為した。

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