2021-04-09

スギ花粉症悪化の原因は大気中の鉛?…鼻から除去で緩和の可能性


 大気中に含まれる鉛がスギ花粉症の症状を悪化させる可能性があると、福井、名古屋両大の研究グループが発表した。

 患者の鼻汁には花粉の飛散時に花粉症ではない人よりも鉛が多く含まれていた。鼻の中の鉛を減らすことで、症状の緩和につながる可能性があるという。論文が米医学誌の電子版に掲載された。(桑田睦子)

 福井大の藤枝重治教授(耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)らは2016、17年、花粉の飛散前と飛散時に、20~40歳代の患者44人と、花粉症ではない57人の鼻汁を採取し、大気汚染物質である鉛や水銀、カドミウムの量、患者らの症状を調べた。

 その結果、飛散前は双方の鉛濃度がほぼ同じだったが、飛散時は患者の方が40%程度高かった。測定した花粉の飛散量も踏まえると、花粉に付着した鉛が鼻の中に入って数日間残り、くしゃみや鼻づまりの症状を悪化させている可能性があるという。花粉症ではない人は鉛が鼻汁で洗い流されていることもわかった。

 一方、水銀やカドミウムは検出されなかった。

 また、アレルギー性鼻炎にしたマウスに鉛を与えると、くしゃみや鼻をこする回数が増え、鉛が症状悪化を招くことを確認した。鼻炎のマウスは1日後も鼻の中に鉛が残っていたが、鼻炎ではないマウスは、鉛が鼻汁で洗い流されてなくなっていたという。

 研究グループの坂下雅文・福井大講師(同)は「鼻うがいや睡眠時のマスク着用などで鼻の粘膜を湿らせ、鼻の鉛の量を減らすことができれば、症状が緩和できるのではないか」と説明。藤枝教授は「鉛を除去できる空気清浄機やマスクなどを創意工夫して発表したい」と述べた。

 アレルギー性鼻炎に詳しい桜井大樹・山梨大教授(耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)の話「大気汚染物質でアレルギー症状が悪化するとされていたが、鉛だと特定され、重症化のメカニズムがわかったことを評価したい。今後、鉛が症状を悪化させる詳しい仕組みがわかれば、治療薬の開発なども期待できる」

【2021年4月5日 13時53分 読売新聞オンライン】

鼻腔内の鉛濃度はスギ花粉症の増悪因子 - 名古屋大学(PDF)

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