2020-10-27

銀行合併の内情/『半沢直樹2 オレたち花のバブル組』池井戸潤


『半沢直樹1 オレたちバブル入行組』池井戸潤

 ・銀行合併の内情

『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』池井戸潤
・『半沢直樹4 銀翼のイカロス』池井戸潤
『隠蔽捜査』今野敏
・『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』西川善文

 旧Sだの旧Tだのという出身に、半沢自身、過剰反応しているつもりはまったくない。産業中央銀行出身だろうと東京第一銀行出身だろうと、肝心なのは銀行員としての姿勢であり資質である。出身銀行で色分けすることに何ら意味のあるはずもない。  ところが、行内世論がそうならないのは、イザ相手と膝を交えて仕事をしたとき、往々にして互いの企業文化がすれ違いを生むからである。結果的に、一枚看板にまとめられたはずの銀行員の間に、出身行別の一線が引かれることになる。  お互いの違いというのは、大きなことではなく、むしろ日常業務の小さなことに起因して、意識付けされる。たとえば、業務上の用語の違い――信用保証協会の保証付き融資のことを産業中央銀行は「協保」(きょうほ)と呼んでいたが、東京第一銀行では「マル保」。「代金取立手形」(だいきんとりたててがた)は、旧Sが「代手」(だいて)で、旧Tが「取手」(とりて)。  ちなみに旧Sの呼称である「代手」は、新入行員として銀行に入ったときに耳にすると最初、目が点になる。先輩のお姉さん行員から、「ねえ、だいてちょうだい」といわれるからである。「こんな昼間からですか」という失言もあったりする。

【『半沢直樹2 オレたち花のバブル組』池井戸潤〈いけいど・じゅん〉(講談社文庫、2019年/文藝春秋、2004年『オレたち花のバブル組』改題/文春文庫、2007年)】

 日本人の村意識は根深い。内と外を巡る独特の意識がある。少し前まで外人という言葉が普通に使われていた。「外野は黙ってろ」なんてのは現在でも耳にする。家には「うち」の読みもある。

 バブル景気が絶頂に向かったその時、「24時間戦えますか。」と謳ったCMがテレビを席巻した。


 余裕のある時代にネタとして扱われたキャッチコピーは巧まずしてその後登場するワーキングプアを予見していた。かつてのモーレツ社員は企業戦士に変貌した。

 社内文化については次の書籍が参考になる。

社内主義から社外主義への転換/『スーパーサラリーマンは社外をめざす』西山昭彦
社内文化に染まっている人は「抵抗勢力」となる/『制度と文化 組織を動かす見えない力』佐藤郁哉、山田真茂留

 前向きだった20代、後ろ向きの30代、俯(うつむ)くだけの40代。

 それがエリートサラリーマンの人生ならあまりにも侘(わび)しい。社内の出世競争に勝って得られるのは地位とカネであり、負けて味わわされるのは屈辱感と自己否定なのだろう。その姿は小学生の運動会と変わりがない。

 ストーリーは勧善懲悪と下剋上が基調となっていてありきたりなものだ。それでも面白く読めてしまうのは私の生きる世界が些末で戦いとは縁遠いゆえか。

0 件のコメント:

コメントを投稿