2014-02-22

ナオミ・クライン


 1冊読了。

 9冊目『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く(下)』ナオミ・クライン:幾島幸子〈いくしま・さちこ〉、村上由見子訳(岩波書店、2011年)/グローバリゼーションという現代史の闇に戦慄した。ミルトン・フリードマン率いるシカゴ学派が世界各地で惨事に便乗して経済的白紙状態を創造する。ブッシュ大統領が叫んだ自由と民主化は規制撤廃と民営化を意味した。そしてグローバル企業が行うのは「エコノミック・レイプ」に他ならない。彼らは惨事に便乗した挙げ句に更なる惨事を拡大再生産するのだ。それにしても凄まじい限りだ。米国内においても極端な民営化を進めるあまり国家が空洞化しているという。最終章で南米各国の希望的前進が描かれているが、やはり犠牲が大きすぎる。日本にもTPP加盟でショック・ドクトリンが処方されることだろう。それを防ぐためにはゆうちょ銀行・郵便局や水道事業などの民営化を阻止する必要がある。中道左派による社会民主制が望ましいが該当する政党が日本には存在しない。社共を含めた政界再編が求められる。本書を読まずして現代史に目を開くことはできない。

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