2016-03-14

北野幸伯


 1冊読了。

 29冊目『中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日 一極主義 vs 多極主義』北野幸伯〈きたの・よしのり〉(草思社、2007年)/予想以上に面白かった。著者は変わった経歴の持ち主である。ゴルバチョフに憧れてロシアに留学。しかもロシア外務省附属モスクワ関係大学という官外交官およびKGB要員を育成する大学で学んだ。卒業後、カルムイキヤ自治共和国の大統領顧問に就任する。ネット上で配信された情報がもとになっているので文章の軽さは否めないが、論理はしっかりしておりわかりやすい。世界の大国が熾烈に国益を追求する中で、国益を見失う日本に警鐘を鳴らす。内容は少々古いが原理・原則は今でも適用可能であり、逆に目まぐるしく変遷する世界のありようが実感できる。書き手の立場からすれば、有料ネット配信~大幅増訂で書籍化というスタイルの方が、単なる書き下ろしよりも実入りがよい。同様の書き手が増えれば、フリーランスの編集者が活躍する時代が来るかもね。

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