1冊挫折、1冊読了。
『
「欲望」と資本主義 終りなき拡張の論理』佐伯啓思〈さえき・けいし〉(講談社現代新書、1993年)/二度目の挫折である。1993年刊だから、まだ保守の肩身が狭かった時代だ。言葉や表現に対する慎重さが読みにくさの原因となっている。
27冊目『
量子力学で生命の謎を解く 量子生物学への招待』ジム・アル=カリーリ、ジョンジョー・マクファデン:水谷淳〈みずたに・じゅん〉訳(SBクリエイティブ、2015年)/流麗な筆致に驚く。訳文も実に読みやすい。がしかし、それでも尚難解である。この手の本はとにかくスピーディーに読むのがコツである。あまり理解しようと努めない方がよい。原始スープからどのようにして生命が誕生したのかはまだわからない。最先端の知は「わからない」手前まで果敢にアプローチする。この不可能に対して何度も何度も挑戦する営みこそが生命誕生の縮図と思えてならなかった。知識が追いつかなくて理解できなくても、確実に昂奮し得る稀有な一書。フランク・ウィルチェック著『
物質のすべては光 現代物理学が明かす、力と質量の起源』の後に読むのがいいだろう。
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