・映画『アンノウン』:ジャウム・コレット=セラ監督(2011年)
・映画『フライト・ゲーム』ジャウム・コレット=セラ監督(2014年)
行く当てもなく自転車を走らせて佳景と巡り合うことがある。そんな気分が蘇る映画作品だ。記憶喪失ものといえば『ボーン・シリーズ』(原作はロバート・ラドラム著『暗殺者』)が有名だが、主人公のマーティン・ハリス博士は交通事故前後の記憶が欠落している。4日間の昏睡状態を経て、一緒にドイツを訪れた妻の元へゆくと、見知らぬ男性が自分を名乗っていた。妻も自分のことを知らないと言う。パスポートは事故で無くしてしまっていた。物語は突然カフカ的様相を帯びる。
「オチがつまらなかったら承知しないぞ」と誰もが思うタイミングで主人公は命を狙われ、続いて旧東ドイツの秘密警察シュタージの一員であったエルンスト・ユルゲンという老人が登場する。この色合いの変化こそが本作品の醍醐味であるといってよい。
男は自分が自分であることを探し求め、遂に見つける。そして男は生まれ変わった。アメリカ映画らしからぬ傑作だ。
アンノウン [DVD]
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