・『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン
・『本当にあった嘘のような話 「偶然の一致」のミステリーを探る』マーティン・プリマー、ブライアン・キング
・宇宙と素粒子のスケール
・『宇宙は本当にひとつなのか 最新宇宙論入門』村山斉
もちろん、物質を原子レベルまでバラバラにするのは容易ではありません。たとえば直径10センチメートルのリンゴをバラバラにすると、ざっと1026個ぐらいの原子になります。どんなに鋭いナイフで刻んでも(その刃は必ず原子より大きいので)無理ですね。
ちなみに、リンゴ1個と原子1個の大きさの比は、天の川銀河と地球の軌道の大きさの比と同じぐらい。天の川銀河がリンゴだとすると、地球の軌道は原子1個程度の大きさしかないということです。
さて、原子1個の直径は10-10メートル。かつては、これが「この世でいちばん小さいもの=素粒子」だと考えられていました。
しかし、やがて原子にも「内部構造」がある――つまり「もっとバラバラにできる」ことが判明します。原子の中心には「原子核」と呼ばれるものがあり、そのまわりを「電子」がくるくると回っている。先ほどの「原子の直径(10-10メートル)」とは、電子が回る軌道の直径だったわけです。
そして、電子の軌道から原子核までの距離は、決して近くありません。地球と人工衛星ぐらいの距離感をイメージする人が多いと思いますが、原子核の直径は電子の軌道よりはるかに小さく、10-15メートル。電子の軌道の10万分の1です。もちろんミクロの世界の話ですから、私たちの目から見ればどちらも同じようなものですが、実際は5桁も違う。富士山の標高と地球の直径でさえ、4桁しか違いません。原子核から見ると、電子ははるか彼方を飛び回っているのです。
この原子核の発見によって、「素粒子」のサイズは一気に小さくなりました。ところが、話はそこで終わりません。原子核にも「陽子」や「中間子」といった内部構造があり、その陽子や中間子も、いくつかの粒子によって形づくられているのです。
その粒子が「クォーク」と呼ばれるもの。いまのところ、クォークこそが真の「素粒子」だと考えられています。その大きさは、どんなに大きく見積もっても10-19メートル。かつて「素粒子」だと思われた原子とは9桁、その真ん中にある原子核とも4桁違うのです。
さらに重力と電磁気力、そしてあとで説明する強い力と弱い力も統一すると期待されている「ひも理論」では、素粒子の大きさは10-35メートルだと考えられています。
宇宙は1027メートル、素粒子は10-35メートル。この途方もないスケールが、私たちが存在する自然界の「幅」ということになります。その両端にある宇宙研究と素粒子研究のあいだには62桁もの距離がある、と言ってもいいでしょう。
【『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎』村山斉〈むらやま・ひとし〉(幻冬舎新書、2010年)】
するってえと1万メートルを基準にすればべき乗は31で釣り合うことになるわけだな。1メートルを基準にするのはヒトの身長に合わせたもの。あるいはヒトの視力と言ってもいいだろう。1メートルの大きさなら、かなり離れてもよく見える。
一番驚かされたのはミクロ世界の方が8桁もの奥行きがあることだ。真に広大なのは外なる宇宙ではなく微小な宇宙とは俄(にわか)に信じ難い。しかもその全てが、物質もエネルギーも光も性質も性格も本を正せば一点から生じたのである。これに優る不思議はない。
宇宙の営みは素粒子の移動とエネルギーの変換といえよう。その壮大さを思えば歴史や心理の意味も色褪せる。諸行は一瞬もとどまることなく移ろい、常ならざる様相を展開する。感情は人生に重みを与えるが進化の産物であり、集団内部で生存率を高めるところに本来の目的がある。
・2乗や3乗などのn乗(べき乗)をHTMLで表示する方法 | DEVRECO
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