2011-08-23
2011-08-22
古代ギリシャでは詩作が学問の原点だった
2011-08-21
シンメトリー的因果応報
どう生きたらいいかを考えさせる本
・どう生きたらいいかを考えさせる本:finalventの日記
この飄々とした軽やかさは中々出せるものではない。finalvent氏といえば「極東日記」で知られる超大物ブロガーだが、少し前に私の方から喧嘩を売ったところ、敢えなくコテンパンにされた次第。
お前さんは何でもお見通しってわけだ。RT @finalvent: このパターンが多い。“@fuitsuono: 書評:教育の機能 4/『子供たちとの対話 考えてごらん』J・クリシュナムルティ sessendo.blogspot.com/2011/06/4j.html
— 小野不一 (@fuitsuono) June 30, 2011
先だっては失礼。所詮、解釈の問題ともいえます。私の場合、Kによって仏教理解が深まり、仏教によってKに辿り着いた。彼は啓典宗教を否定していると思います。 RT @finalvent: Kを仏教で解釈しないだけ。
— 小野不一 (@fuitsuono) June 30, 2011
御意。理法があるのみです。Kを通して大乗仏教から政治性の牙を抜くことが、自分のライフワーク。RT @finalvent: 誤解されるかもだけど、「仏教」という宗教はないのでは。
— 小野不一 (@fuitsuono) July 1, 2011
参りました(三つ指)。大物ブロガーを挑発したつもりが、三手詰めで敗れてしまった。 RT @finalvent: よくわかるけど、問われるのは自分というものだけだと思う。
— 小野不一 (@fuitsuono) July 1, 2011
しかし、finalvent氏には驚かされた。本当に頭のいい人って、全然怒らないんだね。たまげたよ。短気な私が勝てる相手じゃないね(笑)。
— 小野不一 (@fuitsuono) July 1, 2011
弁当兄さん(finalvento氏の愛称)のラインナップは意外なものだった。闊達な文章でありながら、私の食指が動くものはない。ま、所詮好みの問題だわな。
張り合うつもりは毛頭ないのだが、「自分だったら何をオススメするかな」と考えてみた。
まず、人生は幸福よりも自由を求めるべきであるというのが私の基本的なスタンスである。大前提として人生とは不如意なものであり、不条理がつきまとう。そして自由をテーマに掲げると、必ず暴力の問題に行き当たる。強い者が弱い者を食い物にするのが社会の実相だ。
格差がどうの、いじめがどうの、福島がどうのと皆が奇麗事を並べ立てる。だが本当は自分のことしか考えていない。そんな人間は感受性が麻痺しているため、どんなに素晴らしい作品を読んだところで生き方を変えることは難しい。
打ちひしがれた経験を持つ者、心に傷を負った者、のた打ち回る苦しみを知る者だけが、深い共感から人生の幅を押し広げてゆくことができる。
最初に2冊。『「疑惑」は晴れようとも 松本サリン事件の犯人とされた私』河野義行〈こうの・よしゆき〉(文藝春秋、1995年/文春文庫、2001年)と、『彩花へ 「生きる力」をありがとう』山下京子(河出書房新社、1997年/河出文庫、2002年)。
河野さんはオウム真理教と警察とメディアの被害者で、山下さんは酒鬼薔薇事件で愛娘を喪った。これほどの不条理はない。ところがこのお二方は、深い静けさを湛(たた)えた瞳で事件を見つめる。そして看病という行為の中から、生命の尊厳性を鮮やかにすくい上げる。「市井(しせい)の庶民にこれほどの人物がいるのか!」と驚嘆したことをありありと覚えている。
・『彩花へ 「生きる力」をありがとう』山下京子
ここでちょっと角度を変えよう。人間心理のメカニズムに光を当てた2冊。『生きぬく力 逆境と試練を乗り越えた勝利者たち』ジュリアス・シーガル:小此木啓吾〈おこのぎ・けいご〉訳(フォー・ユー、1987年)と、『服従の心理』スタンレー・ミルグラム:山形浩生〈やまがた・ひろお〉訳(河出書房新社、2008年/同社岸田秀訳、1975年)。
『生きぬく力』は強姦や拷問を経験した人々がどのように乗り越えたかが描かれている。絶望的な極限状況からの生還といっていいだろう。過重なストレスをコミュニケーションで解決する模様が紹介されている。『服従の心理』は社会心理学のバイブルである。本書によって心理学は科学的地位を確保したといっても過言ではない。ヒエラルキーに額(ぬか)づき、いじめに同調する人間心理を理解することができる。いつ自分が「電流を流される側」になるかわからない。だからこそ読む価値がある。
・ストレスとコミュニケーション/『生きぬく力 逆境と試練を乗り越えた勝利者たち』ジュリアス・シーガル
・服従の本質/『服従の心理』スタンレー・ミルグラム
そして、とどめの3冊だ。『一九八四年』ジョージ・オーウェル:高橋和久訳(ハヤカワ文庫、2009年)と、「黒い警官」ユースフ・イドリース:奴田原睦明〈ぬたはら・のぶあき〉訳(『集英社ギャラリー〔世界の文学〕20 中国・アジア・アフリカ』1991年、所収)、『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』レヴェリアン・ルラングァ:山田美明訳(晋遊舎、2006年)。
『一九八四年』は新訳で。情報と暴力が人間をどのようにコントロールし得るかを描いた傑作。ウィンストン・スミスは少なからず勇気のある人物である。その彼が崩壊してゆく姿を凄まじいリアリズムで描写している。「黒い警官」はエジプトで実際にあった警官による拷問を小説化した作品だ。暴力の獣性を凄まじい迫力で暴いている。そして『ルワンダ大虐殺』は私の人生を変えた一書である。運命と宿命の欺瞞を思い知った。出口のない暗闇にあっても尚、人は生きてゆかねばならない。著者が生きているという事実が唯一の光明である。
・現在をコントロールするものは過去をコントロールする/『一九八四年』ジョージ・オーウェル
・暴力が破壊するもの 1/「黒い警官」ユースフ・イドリース(『集英社ギャラリー〔世界の文学〕20 中国・アジア・アフリカ』所収)
・『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』レヴェリアン・ルラングァ
私はレヴェリアン・ルラングァから真の懐疑を学び、そこからクリシュナムルティに辿り着いた。その意味ではルワンダの悲劇が私の眼(まなこ)を開かせたといってよい。最終段階としては、ブッダの初期経典(中村元訳)とクリシュナムルティの共通性を探るのが私のライフワークである。
でもまあ、本気で人生を考えるのであれば120冊程度は読んでおきたい。
・私を変えた本
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