イラクでは数年前、突如としてアメリカ軍に対して女性の自爆テロが増えたことがあった。
その背景を調べていくと、ひとりの女にたどり着いたのだという。サミラ・ジャサムという51歳の女だった。
彼女は自爆テロの候補になりそうな女性を見定めると、男たちに女性をレイプさせていたのだという。
イラクでもレイプされた女性は名誉殺人の対象であり、姦通罪の対象になる。そこでサミラ・ジャサムはレイプされた女性を追い詰め、自爆テロを強要させていたのだという。
レイプされた女性は逃げ場がない。社会に抹殺されるか、それとも家族に殺されるかである。どうせ死ぬなら死後に崇拝される自爆テロのほうが尊厳が保たれる。
そうやってサミラ・ジャサムは、80人以上の女性を自爆テロに追いやっていたのである。彼女はイスラム過激派の「アンサール・アル・スンナ」に属していたと言われている。
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鈴木傾城〈すずき・けいせい〉】