2日のニューヨーク株式市場で、米証券仲介大手ナイト・キャピタル・グループの株価が前日比63%安の2.58ドルまで急落した。前日の誤発注による巨額損失で、経営の先行きを懸念した売りが止まらない。ナイト・キャピタルは同日朝の声明で「資本基盤を強化するため戦略的な選択肢を検討している」とし、身売り先探しなどに着手したもよう。同社の経営は深刻な局面に入っている。
ナイトは2日、売買システムの誤発注で4億4000万ドル(約340億円)の損失が出たと発表した。取引システムへの懸念から、この日は投資信託など大手の機関投資家で同社との取引を手控える動きが広がった。
米メディアによると、ナイトは資金繰りのために米銀大手と交渉している。身売りも視野に同業他社との協議も急いでいるが、今のところメドは立っていない。
米証券業界の自主規制機関の金融取引業規制機構(FINRA)は2日、誤発注の影響を調べているとの声明を発表。そのうえで「現時点で(ナイトは取引を続けるのに必要な)資本基準は満たしている」とした。
ただ、巨額損失でナイトの自力再建は難しいとの見方もある。資金繰りや資本提携の協議が不調に終われば、同社の経営は正念場を迎える。
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日本経済新聞 2012-08-03】
米ナイト・キャピタル、前日の取引障害で340億円の損失
米証券仲介大手のナイト・キャピタル・グループ(KCG.N: 株価, 企業情報, レポート)は2日、前日に発生したコンピューターによる自動注文の障害により4億4000万ドルの資本が失われたことで、会社の存続を賭けて資金集めに奔走した。
ナイト・キャピタルの主要な顧客だったTDアメリトレード、フィデリティー・インベストメントなどは現在、ナイト・キャピタルを通して注文を出していない。小規模な顧客も他社を経由して注文を出している。
ナイト・キャピタルの株価は、この2日間で70%以上下落した。
同社は「戦略的、財政的な代替手段を積極的に追求している」とする声明を発表。これを受け、市場では同社が身売りもしくは破産に追い込まれるとの懸念が出ている。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、ナイト・キャピタルはシルバーレーク・パートナーズ傘下のバーテュ・フィナンシャルと協議に入った。またフォックス・ビジネス・ネットワークは、ナイト・キャピタルがJPモルガン・チェースに支援を要請したと報じている。
JPモルガンの広報担当者はこの報道についてコメントを控えた。ナイト・キャピタルの広報担当者もコメントを控えている。
ナイト・キャピタルの取引障害により、1日のニューヨーク株式市場で約140銘柄が寄り付き直後に乱高下する事態が発生。ニューヨーク証券取引所は特に値動きが激しかった6銘柄の売買を停止した。
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ロイター 2012-08-03】