2冊挫折。1冊読了。
『気功革命 癒す力を呼び覚ます』盛鶴延〈セイ・カクエン〉(太田出版社、1996年/コスモスライブラリー、2004年)/本書は既に紹介済み。呼吸法の参考になるかと思い図書館から借りたのだが、内容が素晴らしいので購入することにした。
『パーリ仏典にブッダの禅定を学ぶ 『大念処経』を読む』片山一良〈かたやま・いちろう〉(大法輪閣、2012年)/文章に臭みがあって読めず。テーマがよいだけにもったいない。多分この人、坊さんだね。レイ・ブラッドベリと併読していたことも不運であった。
69冊目『上座部仏教の思想形成 ブッダからブッダゴーサへ』馬場紀寿〈ばば・のりひさ〉(春秋社、2008年)/博士論文を改稿したもので気魄のこもった力作だ。馬場紀寿の今後は十分期待できる。上座部大寺派の学僧ブッダゴーサは5世紀初頭の人物。細かい部分に興味はないのだが、最初の経典制作過程がよく理解できる。ブッダの悟りの基本は四諦であり、縁起は後世になって強調された概念であることを初めて知った。私のスタンスとしては大衆部(だいしゅぶ=大乗)から上座部(=小乗)にさかのぼり、更にブッダを辿ることが正しいと考えている。クリシュナムルティを読めば、それほど難しい作業ではない。
ブッダの悟りは四諦と表現された。仏典制作の過程で縁起が強調されることになるが、これは集諦(じったい)から導かれたものであろう。そして八正道は正見に収まる。天台智ギは止観、日蓮は観心、クリシュナムルティは観察と説いた。「観る」という行為の何と深きことよ。私の目は節穴も同然だ。
— 小野不一さん (@fuitsuono) 12月 2, 2012