・『中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日 一極主義 vs 多極主義』北野幸伯
・『隷属国家 日本の岐路 今度は中国の天領になるのか?』北野幸伯
・覇権を取り戻そうとする欧州
・『日本自立のためのプーチン最強講義 もし、あの絶対リーダーが日本の首相になったら』北野幸伯
・『日本人の知らない「クレムリン・メソッド」 世界を動かす11の原理』北野幸伯
・菅沼光弘
考えてみましょう。
1500年~1900年代初めまで、欧州は世界の政治・経済・文化の中心でした。
覇権国家も、全部欧州から出ていた。
スペイン→オランダ→イギリス。
覇権国家のライバルも、全部欧州の国。
ポルトガル→フランス→ドイツ。
しかし欧州は、第一次・第二次世界大戦によって没落していきます。
代わって覇権国家になったのが、アメリカとソ連。
欧州はどうなったか? 西欧はアメリカが支配し、東欧はソ連が支配する。
これは、誇り高き西欧のエリートたちにとって、たいへん屈辱的な状態だったのです。しかし、アメリカに逆らうことはできません。
なぜなら、東にソ連という巨大な脅威があったから。西欧がアメリカと縁を切れば、まちがいなく「共産化」されることでしょう。
ところが、1991年12月にソ連は崩壊した。
これは、西欧にとって二つのことを意味していました。
一つ目は、【「全世界に、もはや西欧にとっての脅威は存在していない」】。
もうひとつは、【「脅威がないのだから、アメリカに支配され続ける理由はない」】。
欧州エリートたちは、「もう一度、【アメリカから覇権を取り戻そう!】」と大きな野望を抱くようになりました。
しかし、欧州の、たとえばドイツ、フランス、イタリア、スペインなどが一国で覇権を取るというのは、あまりにも現実離れしています。では、どうするか?
そう、【欧州を統合し、巨大な一つの国家にしてしまえば、アメリカから覇権をうばえるだろうと】。
フランスの著名な経済学者で、1981年~1991年まで大統領補佐官をつとめたジャック・アタリはいいます。
「通貨統合・政治の統一・東欧やトルコへのEC(欧州共同体)拡大。これらが実現できれば、欧州は21世紀【アメリカをしのぐ大国になれるだろう】」
反対に、「【アメリカをしのぐ大国になるために、EU(欧州連合)を東欧に拡大し、共通通貨をつくるのだ】」ともいえますね。
そして、1999年1月1日。欧州通貨統合がスタートしました。
【ユーロの誕生です】。
当時参加11ヶ国の人口は2億9000万人、GDPは6兆3000億ドル。アメリカは2億7000万人の7兆8000億ドル。
ついに、【ドル体制を崩壊させる可能性のある通貨が登場したのです】。
【『プーチン最後の聖戦 ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは?』北野幸伯〈きたの・よしのり〉(集英社インターナショナル、2012年)】
スペインは無敵艦隊でイギリスを降(くだ)した(英西戦争)。クリストファー・コロンブス(1451年頃-1506年)はイタリア出身だが、西回り航路によるインド・ジパング(日本)への航海を支援したのはスペインのイサベラ女王であった。既に多くの人々が住んでいる大陸を「新発見」するというメンタリティが白人の思い上がりを雄弁に物語る。南米に多いヒスパニックとはスペイン人の末裔(まつえい)と考えてよい(最近はラティーノと称することも多い)。
オランダは銃を活用する戦闘を世界に先駆けた。その後、オランダ東インド会社を設立しアジアを侵略した。そして三度にわたる英蘭戦争(17世紀後半)で没落してゆく。イギリスは18世紀に産業革命を成し遂げ、七つの海を制覇する。
まあ何が凄いかというと、内においては魔女狩りを行いながら近隣国と戦争を繰り返し、同時進行で世界各地を侵略するというその獰猛(どうもう)さである。モンゴル帝国がイギリスまで制覇してくれれば、世界はもっと穏やかな形になっていたことだろう。
しかも白人は彼らの歴史を反省することがない。サイコパスそのものである。本来であれば日中印が手を結んで白人が共倒れするような戦略を練るべきだと思うが、中国共産党が存在する限りは無理な話だろう。
覇権を取り戻そうとする欧州と、太平洋に進出しようとする中国の関係が気になるところだ。それからユーロに加わっていないイギリスの動向も。
北野幸伯〈きたの・よしのり〉の著作は今のところ外れがないが、ネット文体のせいか改行が多すぎてイライラさせられる。ま、本の値段が安いから我慢するよ。
プーチン 最後の聖戦 ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは?
posted with amazlet at 18.06.16
北野 幸伯
集英社インターナショナル
売り上げランキング: 44,410
集英社インターナショナル
売り上げランキング: 44,410
・アメリカに「対外貿易」は存在しない/『ボーダレス・ワールド』大前研一
0 件のコメント:
コメントを投稿