『
明治政府 その政権を担った人々』大久保利謙〈おおくぼ・としあき〉編(新人物往来社、1971年)/編者は維新三傑の一人である大久保利通〈おおくぼ・としみち〉の孫。明治という時代が見渡せる好著だが、不思議なくらい政局や閥(ばつ)を重視している。日本人の史観には拭い難いまでの村意識があるのだろう。近代史を振り返って薩長という藩閥や昭和の軍閥が色濃く描かれるのも、日本人の閥好きによるものか。マルクス史観全盛期に刊行されたためか軍事的な視点を欠いている。日本近代化の最大の目的は国軍創設と税制改革(地租改正)および統一経済の確立であった。
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