2011-07-20

必然


 大きな必然は人間を高め、小さな必然は人間を低くする。(リーマーへ、1803年)

【『ゲーテ格言集』ゲーテ:高橋健二編訳(新潮文庫、1952年)】

ゲーテ格言集 (新潮文庫)

ノーバート・ウィーナー、佐藤俊樹、伊藤銀月


 3冊挫折。

 挫折44『サイバネティックス 動物と機械における制御と通信』ノーバート・ウィーナー:池原止戈夫〈いけはら・しかお〉、彌永昌吉〈いやなが・しょうきち〉、室賀三郎、戸田巌訳(岩波文庫、2011年/岩波書店、1961年)/横書きだった。古い著作なので思い切って抄訳にしてもよかったのではあるまいか。

 挫折45『〔新世紀版〕ノイマンの夢・近代の欲望 社会は情報化の夢を見る』佐藤俊樹(河出文庫、2010年/講談社選書メチエ、1996年)/文章に締まりがない。砕けた調子がかえって文章をふらつかせている。どこを読んでも総花的な印象を受ける。私が求めていた内容ではなかった。

 挫折46『日本警語史』伊藤銀月〈いとう・ぎんげつ〉(講談社学術文庫、1989年)/文語体であった。緒論だけでもお釣りのくる内容。格調高い毒々しさが堪(たま)らない。これはいつか再読したい。

2011-07-19

孤独と宗教


 人は孤独になればなるほど、宗教的になることができる。

【『仏教への道』松本史朗〈まつもと・しろう〉(東京選書、1993年)】

仏教への道 (東書選書)

ティク・ナット・ハン


 1冊読了。

 48冊目『小説ブッダ いにしえの道、白い雲』ティク・ナット・ハン:池田久代訳(春秋社、2008年)/本書は「読む瞑想」である。少なからず仏法を行ずる者であれば、宗派を問わずひもとくべき一書だ。81章の全てに小乗教の出典が明記されている。中村元〈なかむら・はじめ〉の初期仏典に先んじて読んでおきたい。日本の鎌倉仏教は時代の制約もあり歪んだブッダ像となっている。大乗仏教の精神そのものが誤っているとは思わないが政治的臭みは一掃すべきであろう。本来、仏法とは理法であって教義ではない。時代考証と合理性を踏まえながら進化し続けるのが正しい仏法のあり方だと思う。その意味で本書に生き生きと描かれたブッダの姿はストンと腑に落ちる。ティク・ナット・ハンはベトナム出身の禅僧で、「社会に関わる仏教」(エンゲイジド・ブディズム)をモットーに、コロンビア大学、ソルボンヌ大学でも教鞭を執る。翻訳も素晴らしい。

虚空と飛鳥