ブラジルのアーティストCildo Meireles作「Fontes」。名前はスィウド・メイレリスと読むようだ。私は衝撃を受けた。どう見ても日蓮へのオマージュにしか見えない。
日蓮は文字マンダラによって縁起的宇宙観を表現した。世界観というよりは宇宙観というべきだろう。その縦軸は久遠(くおん)から現在(鎌倉時代)に至る。そしてあらゆる生命状態の衆生が法に照らされた尊極(そんごく)の姿を示している。
これに対してスィウド・メイレリスは、時間と空間が崩壊した宇宙の姿を表現しているように見える。崩壊というよりは、むしろ時空を超越した宇宙を表したのかもしれない。
スケール(物差し)が意味をなさず、時間がバラバラと崩れ落ちる。極大か極小か。はたまた無限か瞬間か。私の目にはプランク時間以下の世界が見える。
「言葉も数字も及ばぬ現在性」を見事に描き切ったといえよう。更に塔のようなものまで現れる。これぞ宝塔だ。天晴(あっぱれ)。
・Cildo Meireles
・ATSUGI「プレーンストッキングの逆襲」パンスト コマーシャル ・あらゆる事象が記号化される事態/『透きとおった悪』ジャン・ボードリヤール