2015-07-02
ロビン・マッケンジー、宮城谷昌光、藤原正彦、中西輝政、他
4冊挫折、5冊読了。
『まんが 孫子の兵法』武岡淳彦〈たけおか・ただひこ〉監修・解説、柳川創造〈やながわ・そうぞう〉解説、尤先端〈ヨウ・シェンルイ〉作画、鈴木博訳(集英社、1998年)/注釈、漫画、解説の順で13章にわたる。注釈のフォントサイズが小さくて大変読みにくい。悪い本ではないが意図してビジネスに傾斜しており、読者の幅を狭めてしまっている。時間を要しすぎたので閉じる。
『兵法孫子 戦わずして勝つ』大橋武夫(マネジメント社、1980年)/40版も重ねているということはロングセラーなのだろう。見返しにある大橋の顔は軍人そのものだ。これまたビジネスに翻訳しており、孫子の香りを台無しにしてしまっている。ただし私は序盤しか読んでいないため、本書の大部分を成す「孫子抜粋」は再読するかもしれぬ。
『神を見た犬』ブッツァーティ:関口英子〈せきぐち・えいこ〉訳(光文社古典新訳文庫、2007年)/脇功訳よりこちらの方がいいと思う。が、挫けた。「天地創造」における神の矛盾に耐えられず。
『東京裁判』日暮吉延〈ひぐらし・よしのぶ〉(講談社現代新書、2008年)/「著者には『東京裁判の忘却は危険だ』などと悲憤慷慨する趣味はないのだが」(9ページ)との一文に性根を見た思いがする。要は「学問的な趣味」で書かれた本なのだろう。致命的な軽薄さを露呈。
74冊目『日本の「敵」』中西輝政(文藝春秋、2001年/文春文庫、2003年)/中西を保守思想家と見てきたのは間違いであった。彼の本質はリアリストなのだ。本書を読んでそう気づいた。15年ほど前の本だが内容は決して古くない。またいたずらに左翼を敵として糾弾するものでもない。これからも中西本を読むつもりだが、単行本215ページに見られるような「人間性の欠陥」があることを踏まえる必要があろう。
75冊目『国家の品格』藤原正彦(新潮新書、2005年)/265万部の大ベストセラーを今頃になって読んだ。「国民の目を近代史に向けさせた一書」と言ってよいかもしれぬ。いやはや面白かった。一日で読了。講演が元となっているためわかりやすいが、随所に侮れない知見が光る。ゲーデルの不完全性定理の解説には目を瞠(みは)った。平和ボケの観念を常識で一刀両断にする。
76、77冊目『子産(上)』『子産(下)』宮城谷昌光(講談社、2000年/講談社文庫、2003年)/わかりにくかった。主要人物のことごとくがわかりにくい。子駟(しし)もそうだし、子産の父の子国(しこく)もそうだ。それでも時折、短篇小説のような味わい深い光景が描かれる。解説によれば、宮城谷は物語性を抑えて史実に忠実であろうと心掛けたとのこと。子産は孔子が最も尊敬した人物として知られる。
78冊目『自分で治せる!腰痛改善マニュアル』ロビン・マッケンジー:銅冶英雄〈どうや・ひでお〉、岩貞吉寛〈いわさだ・よしひろ〉訳(実業之日本社、2009年)/10日ほど前にぎっくり腰となった。数日前からマッケンジー法というエクササイズを励行している。読んでみると「なあんだ」と思う代物だが、やってみると実に効果がある。内容はたぶん100円のパンフレットにできる程度のもの。だが真実は単純の中にある。まだ少し痛みが残っているが、解消した暁には腹筋の鬼と化し、余生を正しい姿勢で送る決意である。
2015-06-26
佐藤和男、プリーモ・レーヴィ、稲垣武、養老孟司、甲野善紀、高岡光、他
3冊挫折、5冊読了。
『カルニヴィア 1 禁忌』ジョナサン・ホルト:奥村章子訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2013年)/訳が悪い。「長年、同じ人物から仕事の依頼を受けていたが、怯えた声で電話をかけてきたのは、これまで一度もなかった」(14ページ)。「受けてきた」「かけてきたことは」とするべきだろう。他にも文章の混乱が見られる。450ページほどあるがちょうど真ん中でやめる。主役を務める二人の女性が簡単に男と寝るタイプで、要はミステリっぽいエンタテイメント小説なのだろう。ま、シドニイ・シェルダンの世界と理解してよい。3部作ということもあって期待したのだが完全な肩透かしを食らった。
『地ひらく 石原莞爾と昭和の夢(上)』福田和也(文藝春秋、2001年/文春文庫、2004年)/自分の文章に酔っている雰囲気が漂う。その文学性に耐えられず。
『ヤノマミ』国分拓〈こくぶん・ひろむ〉(NHK出版、2010年/新潮文庫、2013年)/ブラジルの先住民族ヤノマミのテレビ取材ルポ。インターネット日記のような代物で読むに値せず。番組は見てみたい。NHKアーカイブにあれば有料でも見る予定だ。
69冊目『クリシュナムルティ・水晶の革命家』高岡光〈たかおか・ひかる〉(創栄出版、1998年)/少し前までベラボウな値段が付いていたがかなり下がってきたので入手した。大失敗であった。これほど外したのも珍しい。ちょっと記憶にない(笑)。発売元は星雲社。
70冊目『古武術の発見 日本人にとって「身体」とは何か』養老孟司〈ようろう・たけし〉、甲野善紀〈こうの・よしのり〉(カッパ・サイエンス、1993年/知恵の森文庫、2003年)/養老孟司はスマナサーラとの対談で甲野のことを「友人」と呼んでいる。これは面白かった。何といっても甲野善紀の博識ぶりに驚いた。実によく勉強している。養老のヨガ解説が目を惹く。
71冊目『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』稲垣武(文藝春秋、1994年/新装版、2015年)/上下二段で360ページ。活字はかなり小さく、正直に白状すると『国民の歴史』よりも手強かった。稲垣武は元朝日新聞記者である。進歩的文化人に対し容赦のない鉄槌が下される。しかも一々反証してみせるという徹底ぶりが凄い。ベトナム戦争における米兵の暴虐についてはやや甘い見方をしているが、それ以外は資料としても読み物としても実に優れている。岩波書店が雑誌『世界』という舞台を進歩的文化人に与えることで、日本の伝統や文化を破壊してきた様相を抉(えぐ)る。
72冊目『休戦』プリーモ・レーヴィ:竹山博英訳(朝日新聞社、1998年/岩波文庫、2010年)/プリーモ・レーヴィ2冊目の著作で、『アウシュヴィッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察』の続篇にあたる。終戦からイタリアへ生還するまでの日々が生き生きとユーモラスに綴られている。透明で硬質な文体が胸をつかんで離さない。個性的でユニークな群像が次々と登場する。レーヴィは650人のイタリア系ユダヤ人と共にアウシュヴィッツへ送られたが、生き残ったのはわずか3人であった。途中で一つの疑問が浮かんだ。かくも詳細にわたって記憶していられるものだろうか、と。最初の著作から16年後に刊行されているのだ。ということで、やはり全てを真実と思い込むのは危険であるように感ずる。ただし人生に小さな創作はつきものだ。それを声高に批判するつもりはない。
73冊目『世界がさばく東京裁判 85人の外国人識者が語る連合国批判』佐藤和男監修、江崎道朗構成、日本会議企画(明成社、2005年)/表紙には佐藤の名前しかない。構成と企画は奥付によるが、本来であれば著者名は「終戦五十周年国民委員会」とすべきではなかったか。日本会議は「日本最大の右派集団」と目されているが、本書に生臭い政治的メッセージはない。むしろ歴史に対して誠実であろうと努めているように見える。元々はパンフレットで発行する予定であったものを書籍にしたとあって、やや構成の粗(あら)さが見受けられるが、国際法という視点から東京裁判を一刀両断する。佐藤和男は刊行当時、青山学院大学の教授。法学部に通う大学生は東京裁判を学問的に検証し、日本人の目を覚まさせる潮流をつくるべきだ。
2015-06-24
ペルーの少女
映画『アルプスの少女ハイジ』ではない。フォトグラファーが偶然見かけたペルーの少女である。大きな荷を背負って何をしていたのだろう。子犬もぬいぐるみさながらである。 pic.twitter.com/gjnW3OaulC
— 言動力bot (@gendoryoku) 2015, 6月 24
ペルーの少女 そのニ。ただ愛くるしいだけではない。大地をつかむことのできる足を見よ。 pic.twitter.com/KzKAclQxt4
— 言動力bot (@gendoryoku) 2015, 6月 24
池田香代子が「あ べ し ね」のツイートを削除した後「♪くたばっちまえ アーベ」と再投稿
「ソフィーの世界」翻訳者の池田香代子の過激ツイートに批判殺到!!!【炎上】 : GOSSIP速報 http://t.co/7jzS77KOgY
— 小野不一 (@fuitsuono) 2015, 6月 23
左翼特有の暴力性と見た。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2015, 6月 23
進歩的文化人(左翼学者・ジャーナリスト・作家)はソ連がダメになると中国に乗り換えた。そして中国もダメになると今度は環境問題に乗り換えた。当然のように反原発や沖縄米軍基地問題にも便乗している。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2015, 6月 23
さて、これから池田香代子本のリンクを全部外す。面倒だが古本屋の沽券にかかわるゆえ。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2015, 6月 23
というわけで今まで『夜と霧』については池田香代子訳を薦めてきたがこれを取り消し、霜山徳爾訳に訂正する。
2015-06-23
ソロス氏、米国に「対中譲歩」を呼び掛け、ネットユーザーが動機を疑う
・人民元はSDR構成通貨に、時期不明=IMF専務理事
・ソロス氏:中国経済の衰退が悲劇を招く
・ソロス氏、米国に「対中譲歩」を呼び掛け、ネットユーザーが動機を疑う
中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長は18日に「ソロス氏は資産の半分を中国に投入し、中国の台頭を阻止できないと見ながら、中国に関し、危ない発言を行っている」と指摘した。世界銀行が前月に開いたブレトン・ウッズ会議で、ソロス氏は「経済が崩壊すれば、中国は米国のアジア同盟国を攻撃し、第3回世界大戦を引き起こす可能性がある」と語った。
米国「マーケット・ウォッチ」によると、米中が互いに敵とみなすのを阻止するため、ソロス氏は米国に「重大な譲歩」を行い、人民元が国際通貨基金の通貨バスケットに入れるのを認めるよう呼びかけている。しかしそれは人民元をドルのライバルにし、国際備蓄通貨にする可能性がある。その見返りとして、中国は類似する重大な譲歩を行い、改革を推進する必要がある。この文章によると、人民元を通貨バスケットに入れることで、中米両国を1つにすることができるが、こうした合意は難しい。
米国サイト「ビジネス・インサイダー」で、「ソロス氏は中国にたいへん依存しており、中国での投資を守るため、米国の国益と我々の盟友を譲っている」という書き込みがある。また、「中米のような大国にとって、互いに敵と見なすのは宿命で、それを阻止する人間はいない」という声もある。
【新華ニュース 2015年06月22日】
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