三国志読本 (文春文庫)
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宮城谷 昌光
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増補 日本語が亡びるとき: 英語の世紀の中で (ちくま文庫)
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水村 美苗
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――つまらない本の見分け方を教えてください。
その前に、どうしてつまらないスカ本が出版されると思いますか?
――書き手に才能がないからですか?
それもありますが、重要なのは、本は「有価証券」だということ。出せばお金に換えられるということです。
出版社で社員が20人を超えると、編集者が作りたくなくて、営業も売りたくなくて、取次(出版社と書店の間をつなぐ流通業者)もありがたがらない、本屋も起きたくない本がどうしてもできてしまう。資本主義ですから。
だから、読者は「スカ本と、そうでない本を見分ける方法」をちゃんと学んでおかなくてはいけません。
どうするかというと、本の「真ん中」をまず読むのです。
――本のど真ん中を開いて、何を確かめるのですか?
なぜ真ん中を読むか。時間が足りずに雑に作って出している本は、真ん中あたりに誤植が多い。
それから、自分が知っている分野の固有名詞がでたらめな場合もダメ。そんな本を出している出版社は、いい加減な本を作る傾向があるから、警戒した方がいいでしょう。(聞き手 小峯隆生)
【『「知的野蛮人」になるための本棚』佐藤優(PHP文庫、2014年)】
最近、私は、信頼する親しい大学教授や評論家たちから、「自分は真ん中よりやや左だったが、このところ右よりになってきた」という話をよく聞く。どう見ても左派の菅直人までが、朝鮮半島の有事の際には自衛隊の米軍後方支援を支持すると、自民党すらいわないことを口にするくらいだ。世の中は、どんどん右へ、右へと動いている。
これは、やはり50年続いた戦後日本の世の中が、ひたすら「個」中心へと向かった結果、人びとが「国」や「公」の危うさに気づきはじめたということなのだろう。
しかし、この前の戦争の末期を体験した私にとって、生きるということは、いってみれば、あのような戦争を二度と再び起こさないことだった。最近は、それが私の役割だとすら思えるようになってきた。そこで小林よしのりとは、さまざまな論点で激突し、徹底的に闘うはめになってしまったのだ。
【『戦争論争戦』小林よしのり、田原総一朗(ぶんか社、1999年)】
ジャーナリストの田原総一朗氏は、「権力党員」である。「権力党」とは、民主党とか自民党という、既成政党と関係ない。「権力党員」とは、常に時の権力の内側にいて、事実上、国家の意思形成に加わっている人を指す。「権力党員」は時の政権の手先であるという単純な図式は成り立たない。むしろ時の政権とは、少し距離を置きつつも権力の内側にいて、建設的批判を行った方が「権力党員」としての影響力が拡大することがある。田原氏は、「権力党」の文法に通暁している。それだから、政府の顧問や諮問委員に就かないのだ。
【佐藤優の眼光紙背:「権力党員」田原総一朗氏と国民の真実を知る権利 2010年10月25日】
ところが本土においても、戦後のマスコミや左派知識人はこう言ってきた。
戦前の天皇は「神」として君臨していた。国民は誰もが「現人神」(あらひとがみ)と教えられ、絶対神だと思っていて、「天皇陛下」の名前が出たら直立不動だった。
天皇の名において戦争したのだから、天皇に戦争責任がある。
だから戦後はGHQによって「人間宣言」をさせられた。
天皇は戦後、人間になった。(中略)
しかしどうやら上のように言う左派知識人たちは「少国民世代」の人たちなのだと、気づいた。
「少国民」(しょうこくみん)とは、昭和16年(大東亜戦争開戦の年)に「小学校」を「国民学校」に改称したのと同時に、「学童」を改称した名称である。
ヒトラーユーゲントで用いられた「Jungvolk」の訳語らしい。
「少国民世代」を厳密にいうならば、「国民学校に行っていた世代」つまり「大東亜戦争中に小学生だった世代」ということになる。
田原総一朗(終戦時11歳)
筑紫哲也(当時10歳)大江健三郎(当時10歳)
本多勝一(当時13歳前後)
大島渚(当時13歳)井上ひさし(当時10歳)
石原慎太郎(当時12歳)西尾幹二(当時10歳)
この辺が「少国民世代」である。わしの母もこの世代に入る。
少国民世代は、戦時中は大人たちから「日本は神国だ! いざとなれば神風が吹く!」…と教えられ軍人に憧れた者が多かった。
戦後、その同じ大人たちが豹変して、「これからは民主主義の時代です。天皇は人間です。象徴に過ぎないんです!」…と教え始めた。
その大人たちの露骨な態度の変化を見て、国家や天皇というものに懐疑的になった者が少国民世代には多いようだ。(中略)
実を言うと、天皇を心底「神」と思い込んでいたのは「少国民世代」だけなのだ。
【『ゴーマニズム宣言SPECIAL 天皇論』小林よしのり(小学館、2009年/平成29年 増補改訂版、2017年)】