戦場で一切疲れも恐怖も感じない兵士。これは近未来のロボット兵士の話ではない。現在、米国防総省の資金提供のもと、生身の人間で実際に行なわれているニューロ・サイエンス(神経科学)の研究だ。「将来、人間の身体と機械が物理的に結合する可能性がある」。そう語る米大統領の生命倫理委員会上級スタッフ、ジョナサン・D・モレノ博士が、近未来兵器「操作される脳」の実態を明らかにする。
恐怖心のない兵士を作るプロジェクトで、研究者が着目しているのが、心臓病の治療薬として用いられるβ(ベータ)ブロッカー(交感神経β受容体遮断薬)だ。この薬は交感神経のアドレナリン受容体のうち、β受容体のみに遮断作用をするものだが、この薬を服用していると感情が平坦になることが分かっている。そこで暴行被害などで精神的外傷ストレス障害(PTSD)を負った人に、心理療法やカウンセリングと共にβブロッカーを与えることが行なわれるようになった。
βブロッカーには情緒的な激しい感情の記憶を遮断する作用があるようだ。否定する科学者も一部にいるが、そのうち改良が進めば戦場の兵士に有効になると多くの科学者が思っている。
民間の科学者の中には、米国防総省国防高等研究計画局(DARPA=ダーパ)から資金提供を受けるこれらの研究は問題だと指摘する者がいる。マインドコントロールの実験台になっていると批判する声もある。しかし、例えば脳と機械を融合させるブレイン・マシン・インターフェースの研究は、義肢などの補綴器具の開発に寄与するはずだし、睡眠不足防止プログラムの研究は、眠りたい時だけに眠りたいという人の需要を掘り起こすだろう。さらにアルツハイマー病などの脳疾患に対する理解が進み、画期的な治療法が見つかる可能性がある。
その一方で兵士の感情をコントロールするといった研究を突き詰めていけば、人間であるとはどういうことかという倫理的な命題に突き当たることは確かだ。こうした問題については、神経科学者、当局関係者、一般市民の代表などが、慎重かつ冷静に議論していく必要があるだろう。
【『SAPIO』2012年4月25日号】
フーム、究極のポジティブシンキングというわけか。人間のオズマ化が進行中。大多数の人々は「操作される対象」と化す。
小田嶋隆の言葉を思い出さずにはいられない。「我々ゲーマーは、戦争みたいな、洗練度の低い、質の悪いゲームにはつき合わない。せいぜい高見の見物を決め込んで、嘲笑するだけだ」(『パソコンゲーマーは眠らない』)。
国家という権力システムが国民を労働者、兵士、ロボットに仕立てるのであれば、この世界に「社会」などというものは存在しない。テクノロジーの進歩はことごとく「人間を手段化」する方向へ向かうのもおかしな話だ。むしろ権力を解体する方向へとシフトすべきだろう。
権力は富の集中となって具体的な姿を現す。使い切ることもできない資産を有する彼らが、世界中に貧困をばらまいているのだ。発展途上国から搾取し続けているのはアメリカ、イギリス、フランスであり、こうした国々に不幸な世界を築いた真犯人がいることは疑問の余地がない。
彼らの手からテクノロジーを奪い返す必要がある。さもなければ、生まれたばかりの赤ん坊にチップを埋め込まれるような時代がすぐそこまで来ている。
・マイクロチップ
・マイクロチップを脳に埋め込んで人をコントロールする。
・脳に埋め込んだマイクロチップでロボットアームを操作する猿
・ロボットが人間の代わりに売春すると家庭円満になる!?
・レイ・カーツワイルが描く衝撃的な未来図/『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル
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