2015-11-05
星亮一、藤田紘一郎、土師守、久野譜也、藤原弘達、西鋭夫、他
2冊挫折、6冊読了。
『GHQ焚書図書開封 2 バターン、蘭印・仏印、米本土空襲計画』西尾幹二(徳間書店、2008年/徳間文庫カレッジ、2004年)/息の長い仕事のためスピード感に欠ける。1と比べると見劣りすると言わざるを得ない。
『方法 1 自然の自然』エドガール・モラン:大津真作訳(叢書・ウニベルシタス、1984年)/ツイッターで薦められたのだがチンプンカンプン。ボードリヤールの数段上を行っている。
140冊目『國破れてマッカーサー』西鋭夫〈にし・としお〉(中央公論社、1998年/中公文庫、2005年)/こんな凄い本を見落としていたとはね。西は「スタンフォード大学フーヴァー研究所教授」を名乗っているが、「Postdoctral Fellow」との記述もある。ポスドクか。アメリカで公開された極秘資料を元にマッカーサーの日本占領政策を見つめ直すドキュメント。教育行政についても詳しく触れている。やや物足りなかったのはヴェナノ文書について全く触れていないところ。本は文句なしで素晴らしいのだが、怪しげな商売に手を染めている。例えばこれ。「講演録」が書籍であると思っていたら、届いたのはDVDに見せかけたCD-ROMだった。収録されているのは音声のみ。しかも申し込んだ直後、サイトからダウンロードできるのと同じもの。つまり「送料手数料550円」は丸ごと利益になっているのだろう。もちろん更なる高額商品を購入させるべく、山ほどメールが送られてくる。で、致命的なことに話が下手だ。虚仮威しに近い大声を時折張り上げる。そこはかとなく新興宗教の香りが漂う。余命の短さを思えば、本を書くのが馬鹿らしくなってきたのかもね。
141冊目『この日本をどうする 2 創価学会を斬る』藤原弘達〈ふじわら・ひろたつ〉(日新報道、1969年)/かつて創価学会が起こした言論出版妨害事件でターゲットにされたのが本書である。最後は自民党の田中角栄幹事長(当時)までもが圧力をかけてきた。出版妨害としては今尚これに過ぎる事件はないだろう。マンモス教団と化しつつあった創価学会を藤原は「民主主義の落ち穂拾い」と嘲る。批判本はどうしても小人物の印象を与えてしまう。ただし、昭和44年の時点で自公連立を予見したのはさすがというべきか。
142冊目『寝たきり老人になりたくないなら大腰筋を鍛えなさい』久野譜也〈くの・しんや〉(飛鳥新社、2014年)/良書。久野は筑波大学院教授でインナーマッスルとして知られる大腰筋(※画像)に初めて注目した人物。きっかけは高野進のMRI撮影であった。太腿の筋肉を撮影したところ大学の陸上選手と変わらぬ太さ。ついでにあちこち撮影したところ高野の大腰筋が異様に太いことがわかったという。イスさえあれば直ぐにできるトレーニングメニューも紹介。40歳以上の善男善女は必読のこと。
143冊目『淳』土師守〈はせ・まもる〉(新潮社、1998年/新潮文庫、2002年)/山下京子著『彩花へ 「生きる力」をありがとう』が1997年だから、翌年に出たことになる。結果がわかっているだけに読み進むのが辛い。山下が母としての立場からメッセージを送ったのに対し、土師は父として厳しい見方を示す。私も少年法は改正して、犯罪によってはきちんと刑事罰を与える仕組みが必要であると考える。びっくりしたのだが犯人である少年Aの母親が何度か登場する。非常識な姿がスケッチされている。
144冊目『脳はバカ、腸はかしこい』藤田紘一郎〈ふじた・こういちろう〉(三五館、2012年)/傑作。これは必読書ですな。バイセクシュアルの一休禅師を肯定的に捉えるあたりが素晴らしい。タイトルそのまんまの内容である。生物にとって腸の歴史は古く、脳の歴史は浅いため「まだ脳が身体に馴染んでいない」とまで言い切る。セックスレスの風潮にも警鐘を鳴らす。あと、幼児の英才教育は子供をダメにするとも。早速、私は本日より糖質制限に挑戦している。もちろん腸のために。
145冊目『偽りの明治維新 会津戊辰戦争の真実』星亮一〈ほし・りょういち〉(だいわ文庫、2008年)/微妙。視点がふらつくのが気になる。会津戊辰戦争に至るアウトラインはわかりやすい。「あとがき」の中途半端さが本書を雄弁に語っている。
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