・『13階段』高野和明
・『グレイヴディッガー』高野和明
・『幽霊人命救助隊』高野和明
・自虐史観のリトマス試験紙
・玉に瑕ある傑作
不幸というものは、傍観者であるか、当事者であるかによって、見え方はまったく異なる。
【『ジェノサイド』高野和明(角川書店、2011年/角川文庫、2013年)】
傑作である。ただし自虐史観を除けば。「もったいない」との思いを禁じ得ないが、それにも増して「これほどのストーリーや文章を書ける知性を持ちながらも嘘を信じ込んでてしまう陥穽(かんせい)」を思わずにはいられなかった。
ルワンダ大虐殺にも触れており、長篇SFの形をとりながらも「異なる人間との共生」がモチーフになっている。ひょっとすると高野和明は「中国人や朝鮮人(大東亜戦争当時)の当事者という立場に寄り添って日本を貶めている」可能性もある。日本だけではなく相手国にまで視野を広げれば違った答えが出てくることはもちろんあるだろう。ところがその目論見はまだまだ浅いのだ。
視野を世界にまで広げてみよう。大東亜戦争は白人帝国主義による植民地支配を一掃した。国際連盟の加盟国は最盛時で59ヶ国だった(世界史の窓 世界史用語解説 授業と学習のヒント 国際連盟)。第二次世界大戦後に設立された国際連合は51ヶ国でスタート。1961年には100ヶ国を超え、現在は193ヶ国となっている(国連加盟国加盟年順序 | 国連広報センター/「後発」社会の発見 ~植民地の独立)。世界的な規模で民族自立を促したのは極東日本が起こした無謀な戦争であった。高野はこうした事実をどのように考えているのか?
自虐史観のリトマス試験紙として一読をおすすめする。何も気づかない若者は「日本の近代史を学ぶ」に挙げた書籍を読むこと。
ジェノサイド 上 (角川文庫)
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高野 和明
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