2011-11-09

なぜハイチは瓦礫に埋もれたままなのか 巨大地震からの復興を阻む統治の空白 1


・なぜハイチは瓦礫に埋もれたままなのか 巨大地震からの復興を阻む統治の空白 1
なぜハイチは瓦礫に埋もれたままなのか 巨大地震からの復興を阻む統治の空白 2
なぜハイチは瓦礫に埋もれたままなのか 巨大地震からの復興を阻む統治の空白 3

統治なき国を襲った巨大地震

 2010年1月12日にハイチを襲った壊滅的な地震を、自然災害の9.11と呼んでもおかしくはないだろう。地震によって多くの人が犠牲になった現地のせい惨な状況を、テレビ画面を通じて知った世界の人々は、ハイチの人々にかつてない同情と共感を寄せた。アメリカ人家庭の半数以上がハイチでの救済活動を支えるための寄付を行った。しかし、ほぼ3000人が犠牲になった2001年の9.11はその後10年経っても人々の心に深く刻まれているのに対して、地震で20万人が犠牲になり、その後、4000人以上がコレラその他の病気で命を落としたハイチで2010年に起きた悲劇の記憶はすでに色あせつつある。

Haiti earthquake

(ハーバード大学医学部教授で、公衆衛生・医学領域での人道支援活動を世界的に展開している)ポール・ファーマーは、彼の熱意、医学的専門知識、ハイチとの深いつながりを基に、多くの人が忘れつつあるこの悲劇を、ここに取り上げる『地震後のハイチ』で議論している。

 地震後の現地での状況を、ファーマーは個人的ストーリー、現実描写、分析という三つのレベルに分けて議論している。ハイチ人の妻を持つファーマーにとって、地震によって生活を大きく揺るがされた多くの人々のなかには彼の親戚や友人も含まれていた。ハイチとの深い絆ゆえに、彼の著作は、さまざまなエピソードと感情で満ちあふれている。

 大きな悲劇を人々の記憶に刻みこむには、感情を共有できるようなパーソナルなストーリーが必要になる。ファーマーの著作にも、シラブという名の25歳の女性が登場する。彼女は、孤立し何も変わらない日常が流れる田舎から、期待を胸にハイチの首都ポルトープランスへとやってきた多くの若者の一人だった。だがその夢と期待は、ポルトープランスで出遭った安普請の粗末なアパート、そして地震によって打ち砕かれる。

 崩壊したコンクリートの下敷きになり、片方の足は瓦礫に押しつぶされた。まだ意識のあるうちに、なんとか、通りへと這い出した彼女を、非政府組織(NGO)のスタッフが2日後に見つけたものの、この人物には、押しつぶされた足に包帯を巻くことしかできなかった。通りかかった牧師によって病院に連れていかれた彼女は、命を守るために、足の切断手術を受けた。路上では麻酔なしの切断処置が行われることが多かったことを思えば、少なくとも病院で麻酔を受けた上で片足の切断処置を受けた彼女は、他の人々よりは幸運だったのかもしれない。

 こうしたパーソナルなストーリーを読めば、読者は動揺を隠せないだろう。だが、そうした心理的な衝動が人々を行動へと駆り立てる。

Haiti earthquake

 ポール・ファーマーは並み外れた活動家だ。カリスマ医師として、彼は1987年に12カ国で活動する公衆衛生国際NGO「パートナー・イン・ヘルス」を立ち上げ、地震が起きる前の段階で、すでにハイチに10の病院を設立していた。生と死をわけるような緊急事態のなかで直接的に成功と挫折を味わってきたファーマーは、このミッションを通じて、医療ケアを提供する上での問題と可能性についての指針を身につけていく。

 他のNGOとは違って、パートナー・イン・ヘルスは、ハイチ保健省などの政府機関と緊密に連携して活動してきた。しかし、他のハイチの省庁同様に、保健省も地震によって瓦礫と化してしまった。ハイチの人々のための活動を通じて、ファーマーは、ハイチ復興への熱意を持ち、現地でも評価されていたビル・クリントン元米大統領と協力するようになった。

Haiti earthquake - Port au Prince field hospital

 地震が起きる前段階で、クリントンは国連のハイチ特使になり、ファーマーは特使の代理人になっていた。非常に高いポジションから国際コミュニティの活動を監督する機会を得た彼は、現場において、官僚的手続きと差別ゆえに、協調支援行動のポテンシャルがいかに摘み取られているかを思い知るようになる。

 一方で彼は、ハーバード大学医学部の公衆衛生学教授としての見識を、ハイチの医療危機、社会経済問題の分析にうまく生かした。ファーマーは、ハイチの状況を「慢性疾患を抱えるなかで発症した急性症状」と診断している。慢性的な社会的機能不全という環境で切実な危機が起きている、と現実を描写している。慢性的症状が急性症状をさらに深刻にし、緊急事態への対応を難しくしている。急性症状を治すには、慢性疾患を治さなければならないという、非常に難しい状況にハイチは追い込まれている。そして、政府が破綻していることが、社会的な機能不全の根っこにある。

【ポール・コリアー(オックスフォード大学教授)/フォーリン・アフェアーズ・リポート 2011年11月8日】

最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?民主主義がアフリカ経済を殺す 最底辺の10億人の国で起きている真実国境を越えた医師―Mountains Beyond Mountains (小プロブックス)他者の苦しみへの責任――ソーシャル・サファリングを知る

マラライ・ジョヤ

 わたしは死を恐れないが不正に対して沈黙することを恐れる。(マラライ・ジョヤ / Malalai Joya)

Raising My Voice: Cover of book by Malalai Joya

Malalai Joya visits a girls school in Farah province in Afghanistan

Malalai Joya

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2011-11-08

イラン大統領が真実を語る時 人種差別防止会議演説


 ヨーロッパの代表を見よ。五千上慢の如し。人種差別防止会議で行われるあからさまな人種差別。

フランス人に風鈴の音は聞こえない/『夢をかなえる洗脳力』苫米地英人


 ・世界とは自分が認識したもののことである
 ・フランス人に風鈴の音は聞こえない
 ・運命か自由意思か~偶然と必然

 ある夏の日に、フランス人の女性と和室で会食したときのことです。その部屋には風鈴がかけられ、涼しげな音を奏(かな)でていました。ここで私はそのフランス人の女性に尋ねました。
「あなたはこの装置(風鈴のこと)の存在に、あるいはこの装置が発する音に気付いていましたか?」
 案の定、その人はまったく気付いていませんでした。
「これはいったい何ですか?」
「これは言ってみれば『メンタル・エアー・コンディショナー』です。涼しげな音を出すことで、気持ちから涼しくする装置です」
 そう説明してからは彼女は珍しそうに見入るようになりましたし、音にも注意を払って聞いていました。
 でも、実際には説明する前から風鈴は彼女の視界にあったはずですし、音だって物理的信号としてはちゃんと彼女の鼓膜を振動させていたはずです。にもかかわらず、彼女は風鈴の存在にも音にも気付かなかった。それは彼女が「風鈴」というものを知らなかったからです。人は知らないものは認識できないのです。逆に言えば、認識できる範囲だけがその人にとっての世界ということになります。

【『夢をかなえる洗脳力』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(アスコム、2007年)】

 前にも紹介しているのだが再掲。

擬音語・擬態語 英語は350種類、日本語は1200種類/『犬は「びよ」と鳴いていた 日本語は擬音語・擬態語が面白い』山口仲美

 我々は世界を認識しているわけではない。その証拠ともいえるエピソードである。つまり「認識されたもの」が世界なのだ。「世界は五感で構成されている」と言い換えてもよい。

「知らないものは認識できない」という指摘が重い。私が40歳を過ぎてからキリスト教の本を読むようになったのも全く同じ理由からだ。キリスト教を学ぶと世界や歴史の構造がくっきりと見えるようになる。

 またこうも言えるだろう。世界とは認識世界であり解釈世界である、と。

 西欧列強諸国は有色人種を虫けらと解釈してきた。教室内ではシカト(無視)という解釈もある。解釈が世界を変える。相手を「殺してもよい」「無視しても構わない」存在へと貶(おとし)めるのだ。

 教義、法、秩序の根源にあるのはタブーである。すなわちコミュニティとは「タブーを共有する集団」と規定できる。宗教が集団原理と化したところに世界の混乱が生まれたと私は見る。

 我々は興味や関心のない情報を無意識の内に切り捨てる。というよりも引っ掛からないのだ。ということは、穴ぼこだらけの世界に住んでいるのだろう。異なる価値観に歩み寄る努力を怠れば、穴はどんどん拡がってゆく。

 フランス人に風鈴の音は聞こえなかった。ルワンダの叫び声やパレスチナの悲鳴も世界には届かない。

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物語る行為の意味/『物語の哲学』野家啓一

TPP推進の米倉経団連会長の住友化学とモンサント社との関係

TPP推進の米倉経団連会長の住友化学は、その米国子会社のベーラント USA 社が、米国の遺伝子組換農産物最大手モンサント社との間で提携関係にあります。米韓FTAでも遺伝子組み換え農産農産物が問題になっていますが、TPPでも問題になるかも。 http://t.co/cPkeHLIv
Nov 07 via webFavoriteRetweetReply


住友化学株式会社:農作物保護(雑草防除)分野におけるモンサント社との長期的協力関係について(PDF)
モンサント社が開発するターミネーター技術/『自殺する種子 アグロバイオ企業が食を支配する』安田節子
自殺する種子。TPPと経団連とモンサントが日本を奴隷化する