2012-01-05

死別を悲しむ人々~クリシュナムルティの指摘


 ・死別を悲しむ人々~クリシュナムルティの指摘

『ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門 豊かな人生の技法』ウィリアム・ハート

 ナンディニは私の母を紹介し、次いで私に移った。われわれは再び座り、そして母は数年前に死んだ私の父のことを話した。彼女は彼をとても愛していたこと、そしてぽっかりと開いた大きな穴をどうしても埋められないでいることを話した。彼女はクリシュナムルティに、来世で私の父に会えるかどうかと尋ねた。私は、そのときまでに最初の高められた知覚の強烈さが鈍ったことを見出し、そこでじっと座って、クリシュナムルティから私が慰めになると期待した答を聞こうとした。多くの悲しみに暮れた人々が規則的な間を置いて訪問してきたに違いない、そして彼はきっと彼らにとって慰めになる言葉を知っているに違いない。
 すると突然彼は言った。「あいにくですが、あなたは訪ねる人を間違えたようですね、私はあなたに、あなたがお求めの慰めを与えることは出来ません」 われわれ一同はやや当惑したが、しかし彼は話し続けた。「あなたは私に、あなたが死後あなたの夫君に会えるかどうか教えてもらいたがっておられる。が、どの夫にお会いになりたいのですか? あなたと結婚した人ですか? あなたが若い頃あなたと一緒にいた人ですか? なくなった人ですか、それとも、もし生きていたら今日いたであろう人ですか? どの夫君にあなたは会いたいのですか? なぜなら、確かに、死に赴いた人はあなたが結婚した人と同じ人ではないからです」 私は自分の精神が、あたかも何か並外れて挑戦的なことを聞いているかのように、熱心に、ぱっと注意深くなるのを感じた。私の母は、もちろん、これを聞いてひどく当惑しているようだった。彼女は、時間が自分の愛していた者に何らかの相違をもたらしうるということを認める覚悟ができていなかったのである。彼女は「私の夫は変わったりしません」と言った。するとクリシュナムルティは、「なぜ彼に会いたいのですか? あなたが、いないのに気づいて寂しく思っているのは夫ではなく、彼の思い出なのです。奥様、どうかご容赦ください」 彼は両手を組んだが、私は彼のしぐさの完璧さに気づきはじめた。「なぜあなたは彼の思い出を生き続けさせようとするのですか? なぜ自分の心の中で彼を再現しようとするのですか? なぜ悲しみのうちに生き、悲しみと共に生きようとするのですか?」 私の頭の中でぴんとくるものがあった。私の精神は、彼の言葉、その明晰さと正確さに応ずるべくさっと飛び上がった。私は、彼が伝えようとしていた何かとてつもなく大きなものに自分が触れていたのを知っていた。言葉はきびしかったが、しかし彼の目にはいやす力と優しさが宿っており、そして話している間中彼は私の母の片手を握っていた。

【「クリシュナムルティとの邂逅」ププル・ジャヤカール/ゴトの読書室】

 クリシュナムルティは「現代のブッダ」などではない。ブッダそのものである。

クリシュナムルティ「その怒りに終止符を打ちなさい」/『クリシュナムルティ 人と教え』クリシュナムルティ・センター編
無記について/『人生と仏教 11 未来をひらく思想 〈仏教の文明観〉』中村元
今やり直せよ。未来を。
気がつけば月の光

歳月の重み

日本未公開のソニーCM。諸行無常とはいえ歳月の重みを思わずにはいられない。感動に打ち震えるがいい。



2012-01-04

これから自首を考えている凶悪犯の方へ

ネット予約とかできると便利ですね RT @InsideCHIKIRIN これから自首を考えている凶悪犯の方は、複数の出頭先警察署をリストアップしてあらかじめ地図で確認し、さらに、できる限り電話予約をしてから、正月など忙しい日を避けて出頭されるとスムーズなんじゃないかと思います。
Jan 04 via Tweet ATOKFavoriteRetweetReply

シャンカール・ヴェダンタム


 1冊読了。

 1冊目『隠れた脳 好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学』シャンカール・ヴェダンタム:渡会圭子〈わたらい・けいこ〉訳(インターシフト、2011年)/長い溜息をついた。既に15分ほど経過していると思う(ウソ)。ページを繰るごとに私は唸り、「なるほどねえ」と声を出し、「そう来たか」と目を瞠(みは)り、膝を100回ほど打った。これは本当の話だ。紛(まが)うことなき天才本である。「隠れた脳」とは無意識のバイアスを意味する。本書の驚愕度を深めるためには少々知識が必要だ。本気で取り組むつもりがあるなら次の順番で読まれよ。『進化しすぎた脳 中高生と語る〔大脳生理学〕の最前線』池谷裕二→『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』エリオット・S・ヴァレンスタイン→『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン・アリエリー→『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ→『あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源』フランス・ドゥ・ヴァール→『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』テンプル・グランディン、キャサリン・ジョンソン→『服従の心理』スタンレー・ミルグラム→『木曜の男』G・K・チェスタトン→『生き残る判断 生き残れない行動 大災害・テロの生存者たちの証言で判明』アマンダ・リプリー→『集合知の力、衆愚の罠 人と組織にとって最もすばらしいことは何か』アラン・ブリスキン、シェリル・エリクソン、ジョン・オット、トム・キャラナン→本書。で、次に『一九八四年』を読めば完璧だ。これらの本が全部つながる。一言で表現するなら「脳機能社会心理宗教人類学」だ。すまん、これじゃ寿限無だ(笑)。時間と金のない人は、せめてアマンダ・リプリーを読んでおくべきだろう。内容、翻訳ともに文句なし。インターシフトは良書が多い。

「西欧人の暴力がイスラム教徒の憎しみを生んだ」ユルゲン・トーデンヘーファー

ドイツの元政治家・作家ユルゲン・トーデンヘーファー。