2012-04-03

Roger Ridley - I've Got Dreams to Remember



 それがこの曲だ。


「Playing for Change」Songs Around the World

 twitterで紹介したところ、「I've Got Dreams to Remember」を発見。オーティス・レディングやエタ・ジェイムズよりも素晴らしい。どこか浪曲を思わせる雰囲気が漂う。声ではなく喉で歌い上げている。路上に轟く力強い声が、海を渡って私の胸を激しく打つ。

第七番目の方角/『それでもあなたの道を行け インディアンが語るナチュラル・ウィズダム』ジョセフ・ブルチャック


 私の大好きな話に「第七番目の方角」というのがある。私はこれを、現代ラコタ族のすぐれた伝承の語り手である、ケヴィン・ロックから教えてもらった。それはこういう話だ。
「グレート・スピリットであるワカンタンカ(※スー族の崇める大精霊「ワカンタンカ〈ワカン=神秘、タンカ=大いなる〉」)は、六つの方角を決めた。すなわち、東、南、西、北、上、下である。しかし、まだひとつだけ、決められていない方角が残されていた。この七番目の方角は、すべてのなかでもっとも力にあふれ、もっとも偉大な知恵と強さを秘めている方角だったので、グレート・スピリットであるワカンタンカは、それをどこか簡単には見つからない場所に置こうと考えた。そしてとうとうそれは、人間がものを探すときにいちばん最後になって気がつく場所に隠されることになった。それがどこであったかというと、ひとりひとりの心のなかだったという話だ」(はじめに)

【『それでもあなたの道を行け インディアンが語るナチュラル・ウィズダム』ジョセフ・ブルチャック:中沢新一、石川雄午訳〈いしかわ・ゆうご〉(めるくまーる、1998年)】

 表紙の顔に眼が釘付けとなった。インディアンの若者は真っ直ぐに私を見つめていた。世に直線が存在するのであれば、彼の視線こそは正しく直線であった。双眸(そうぼう)は清らかな光を発し、顎(あご)のラインが力強い意志を感じさせる。気高き香りが濃厚さを伴って漂ってくるようだ。

navajo-boy

 インディアンの風貌はそれ自体が詩であり音楽でもある。彼らは「人間の顔」を持っている。我々の弛緩(しかん)し、のっぺりした顔とは大違いだ。真っ当な生活、そして正しい感情が表情を彫琢(ちょうたく)するのだろう。

「第七番目の方角」は「内なる方向」であった。座標軸ではなく方向という指摘が重い。つまり特異点ではなく、その向こう側の領域なのだ。インディアン仏法における生死不二(しょうじふに)といってよい。

 人々を覚醒させる真理を私は仏法と呼ぶ。特定の教団へ誘(いざな)い、他勢力と競い争う言説は、商用レベルのプロパガンダであって仏法ではない。むしろ政治的言説といってよかろう。彼らは真理ではなく集団力学に支配されている。

 第七の道を行く人は、澄み切った湖面のような厳粛なる静けさを湛(たた)えている。彼らは言葉で語らない。目で語るがゆえに。これを白毫相(びゃくごうそう)という。

それでもあなたの道を行け―インディアンが語るナチュラル・ウィズダム

2012-04-02

『アメリカ:自由からファシズムへ』アーロン・ルッソ監督


監視社会への道 愛国者法とアメリカ
『モノポリー・マン 連邦準備銀行の手口』
「Money As Debt」
『なぜアメリカは戦争を続けるのか』シャーロット・ストリート・フィルムズ制作(アメリカ、2004年)

魚津郁夫、こうの史代

1冊挫折、1冊読了。

プラグマティズムの思想』魚津郁夫〈うおづ・いくお〉(ちくま学芸文庫、2006年/財団法人放送大学教育振興会、2001年『現代アメリカ思想』加筆、改題)/良書。20代、30代で読んでおくべきだった。今となっては不要。

 18冊目『夕凪の街 桜の国』こうの史代〈ふみよ〉(双葉社、2004年)/微妙だ。「夕凪の街」は読んでよかった。ただ、漫画作品としてはあまり評価できない。物語が寸断されており、出来損ないのモザイク画みたいになってしまっている。こうのは、取材した情報の重みに耐えられなかったのではあるまいか。広角で描かれた淡い景色の絵は実に味わい深い。

2012-03-29

「騙された」~大飯原発安全性「妥当」評価に専門家批判






 原子力発電所の運転再開の判断の前提となるストレステストを審議している国の原子力安全・保安院の専門家による意見聴取会が20日開かれ、保安院が関西電力・大飯原発のテ­スト結果を「妥当」と評価したことについて、専門家から批判が相次いだ。

 福井県にある関西電力・大飯原発3号機と4号機のストレステストについて、原子力安全・保安院が専門家による審議を前回の8日の会議で打ち切り、「テスト結果は妥当だ」と­する最終評価をまとめ、安全委員会に提出していた。

 これに対し、20日開かれた保安院の意見聴取会で、2人の委員から「議論が尽くされておらず、強い不信感を覚えた」として批判する意見が相次いだ。

 東京大学名誉教授の井野博満委員は「議論が尽くされておらず、「だまされた」という強い不信感を覚えた」と発言。芝浦工業大学講師の後藤政志委員も「積み残している問題が­たくさんある」「あたかもやったかのごとく問題ないとするのは、ものすごく問題だ。それで事故が起きたら責任をどうするのか」と指摘。また、2次評価の報告を待たず、1次­評価だけで、「妥当」とする姿勢についても厳しく批判した。