・進化医学(またはダーウィン医学)というアプローチ
・自然淘汰は人間の幸福に関心がない
・痛みを感じられない人のほとんどは30歳までに死ぬ
・進化における平均の優位性
・平時の勇気、戦時の臆病
・『迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか』シャロン・モアレム、ジョナサン・プリンス
・『失われてゆく、我々の内なる細菌』マーティン・J・ブレイザー
非常にまれに、生まれつき痛みを感じない人がいる。そのような痛みから解放された生活は幸せのようだが、実はそうではない。痛みを感じとることができない人は、長いあいだ同じ姿勢でいることに不快感を感じないので、そわそわ身動きしないために、関節への血液の供給が損なわれ、青年期になるまでに関節が劣化してしまう。痛みを感じられない人のほとんどは、30歳までに死ぬ。
【『病気はなぜ、あるのか 進化医学による新しい理解』ランドルフ・M・ネシー&ジョージ・C・ウィリアムズ:長谷川眞理子、長谷川寿一、青木千里訳(新曜社、2001年)】
明けましておめでとうございます。
明けましておめでとうございます。数えであれば今日、ひとつ歳が増える。生き延びた事実に感謝をするのであれば、毎朝「起きましておめでとうございます」と我々は言うべきなのだろう。人生はすべからく余生であると覚悟せよ。たとえ若者であったとしても。本年も宜しくお願い申し上げます。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2014, 1月 1
私の余生もあと20~30年と思われるので、一日一テキストを心掛けてゆきたい。
歯科衛生士の女性から「この歯は神経を抜いてあるので痛みは感じませんよ」と言われた。すかさず「だったら、なぜすべての歯の神経を抜かないのだろう?」と訊(たず)ねると、「そうすると虫歯になっても痛みを感じなくなってしまいます」と答えた。で、彼女にこの話を紹介したわけ。
痛みは生命の危機を告げるサインだ。我々は痛みを忌避するが、痛みを感じない人が若死にするという事実が逆説の真理となって胸に迫る。
痛みと快楽は同一線上にある。極端に走れば死に向かうのも一緒だ。苦痛を解消するのに麻薬(麻酔)を使うことからも明らかだ。そして快楽に溺れる人は痛みに弱い。
私が常々不思議に思うのは誰もが苦痛を知っているのに、他人の痛みに鈍感な人々がいることだ。きっと痛みと痛みが及ぼす心理的作用は別物なのだろう。
日本の政治は社会保障を切り捨て増税に向かっている。彼らはとっくに死んでしまっていて、もはや人の顔すら持っていない。財務省、政治家、新聞社……。おお、国民の痛みから快楽を貪る人々よ。
尚、進化医学に関してはシャロン・モアレム、ジョナサン・プリンスの『迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか』という名著もある。