7冊挫折、4冊読了。
『インド仏教変移論 なぜ仏教は多様化したのか』佐々木閑〈ささき・しずか〉(大蔵出版、2000年)/「大乗仏教は、部派仏教の延長線上に現れた、出家者僧団の宗教であった」という説を提示。『仏教研究』誌に掲載された8編の論文が元になっており、後に佛教大学(※本文では仏教大学と表記)の学位論文として提出している。一般人からすれば重複した文章が多く冗長に感じた。私は学術的な意義に興味はなく、閃きを求めているゆえピンとこなかった。横書きというのも致命的だ。
『科学するブッダ 犀の角たち』佐々木閑〈ささき・しずか〉(角川ソフィア文庫、2013年)/真面目な科学書。初歩的な内容なのでやめた。
『「10年大局観」で読む 2019年までの黄金の投資戦略』若林栄四〈わかばやし・えいし〉(日本実業出版社、2009年)/過去の自分の姿に酔っている節があり薄気味悪い。名の通った元ディーラーだがチョビ髭は伊達じゃなかったのね。ナルシストは苦手だ。
『アメリカは日本の消費税を許さない 通貨戦争で読み解く世界経済 』岩本沙弓〈いわもと・さゆみ〉(文春新書、2014年)/前著との重複が多い。たぶん読み返すことはないだろう。
『流れよわが涙、と警官は言った』フレドリック・ブラウン:友枝康子〈ともえだ・やすこ〉訳(ハヤカワ文庫、1989年)/名作といわれているがサービス精神が旺盛すぎて安っぽい印象を受けた。後半をパラパラとめくり仕掛けがわかったが、今となってはちょっと古いね。ただし時折キラリと光る名言が出てくるのはさすがである。
『竹林はるか遠く 日本人少女ヨーコの戦争体験記』ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ著・監訳:都竹恵子訳(ハート出版、2013年)/ベストセラー。米国では中学の教科書に掲載されているとのこと。韓国でも刊行されたが後に発売中止に。『流れる星は生きている』(藤原てい)の方が面白い。若い人たちは読むといい。動画を紹介しておこう。
『監獄ビジネス グローバリズムと産獄複合体』アンジェラ・デイヴィス:上杉忍訳(岩波書店、2008年)/学術書。民営化という手法で成立したのが監獄ビジネスだ。犯罪率と関係なくしょっ引かれている模様。これもショック・ドクトリンの影響だろう。
40冊目『「やさしい」って、どういうこと?』アルボムッレ・スマナサーラ(宝島社、2007年)/内容はいいのだが薄っぺらいスカスカ本。スマナサーラは積極的に出版ビジネスを展開しているように見える。
41冊目『偏愛マップ キラいな人がいなくなる コミュニケーション・メソッド』齋藤孝(NTT出版、2004年/新潮文庫、2009年)/面白かった。自分の偏愛マップも作ってみたい。齋藤孝の説明能力は評価するが、彼の文章はあまりにもバラ色すぎる。優秀なマーケティング野郎だと思うよ。
42冊目『本当の仏教を学ぶ一日講座 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか』佐々木閑〈ささき・しずか〉(NHK出版新書、2013年)/これは読みやすかった。しかも勉強になる。ただし佐々木には閃きが感じられない。何かとオウム真理教を持ち出すところも感心しない。手垢にまみれたやり方だ。佐々木は『服従の心理』をしっかり読んで出直すべきだ。
43冊目『アルゴリズムが世界を支配する』クリストファー・スタイナー:永峯涼〈ながみね・りょう〉訳(角川EPUB選書、2013年)/アルゴリズム本には必ず金融マーケットの話が出てくる。多少の知識がないとちょっと苦しいかも。「情報とアルゴリズム」に追加した。終盤の失速が惜しまれる。