2014-07-26

謀略天国日本 日本は情報戦をどう戦うか?







誰も教えないこの国の歴史の真実この国の不都合な真実―日本はなぜここまで劣化したのか?この国を脅かす権力の正体 (一般書)この国はいつから米中の奴隷国家になったのか

モノクロ画像の迫力と豊かさ


 画家のパレットかと思った。強烈な陰影だ。カラーだとこの落差を表現することは難しい。色の実体は陰影なのかもしれない。つまり遠近法だ。大地が手前に位置し、水平線が奥行きを広げる。空間は光と影によって構成されていることが理解できる。

2014-07-25

資本主義のメカニズムと近代史を一望できる良書/『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫


『〈借金人間〉製造工場 “負債"の政治経済学』マウリツィオ・ラッツァラート
『タックス・ヘイブン 逃げていく税金』志賀櫻

 ・資本主義のメカニズムと近代史を一望できる良書

『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』水野和夫
『自由と成長の経済学 「人新世」と「脱成長コミュニズム」の罠』柿埜真吾
『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か』倉前盛通
『通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した!』ジェームズ・リカーズ
『ペトロダラー戦争 イラク戦争の秘密、そしてドルとエネルギーの未来』ウィリアム・R・クラーク
『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』佐藤航陽

必読書リスト その二

 キリスト教の記述がしっかりしており、資本主義のメカニズと近代史を一望できる良書だ。『超マクロ展望 世界経済の真実』では控え目だった水野が本気を出すとこうなるのね。いやはや、ぶったまげたよ。

 近代とは経済的に見れば、成長と同義です。資本主義は「成長」をもっとも効率的におこなうシステムですが、その環境や基盤を近代国家が整えていったのです。
 私が資本主義の終焉(しゅうえん)を指摘することで警鐘を鳴らしたいのは、こうした「成長教」にしがみつき続けることが、かえって大勢の人々を不幸にしてしまい、その結果、近代国家の基盤を危うくさせてしまうからです。
 もはや利潤をあげる空間がないところで無理やり利潤を追求すれば、そのしわ寄せは格差や貧困という形をとって弱者に集中します。そして本書を通じて説明するように、現代の弱者は、圧倒的多数の中間層が没落する形となって現れるのです。

【『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫(集英社新書、2014年)以下同】

 先進国が金融緩和をし続けているにも関わらず格差が進行するのは富の極端な集中によるものだ。川の水が海を目指すように、富は富者の口座に滞留する。海水は日光によって蒸発し雲となるが、富裕層の富が蒸発することはない。既にトリクルダウン理論も崩壊した。おこぼれが経済を押し上げることはなかった。

 日本の10年国債利回りは、400年ぶりにそのジェノヴァの記録を更新し、2.0%以下という超低金利が20年近く続いています。経済史上、極めて異常な状態に突入しているのです。
 なぜ、利子率の低下がそれほどまでに重大事件なのかと言えば、金利はすなわち、資本利潤率とほぼ同じだと言えるからです。資本を投下し、利潤を得て資本を自己増殖させることが資本主義の基本的な性質なのですから、利潤率が極端に低いということは、すでに資本主義が資本主義として機能していないという兆候です。

 2%程度だとインフレ率を上回らない。つまり国債購入者は損をする羽目になる。それでも尚、安全を求めるマネーは国債購入へ向かう。確かに金利=資本利潤率と考えれば行き場を失ったマネーの姿が見えてくる。

 利子率=利潤率が2%を下回れば、資本側が得るものはほぼゼロです。そうした超低金利が10年を超えて続くと、既存の経済・社会システムはもはや維持できません。これこそが「利子率革命」が「革命」たるゆえんです。

 金利はマネーの需要を示すわけだから、当然、実体経済において企業は設備投資を控える。リターンなき投資世界が現れたと考えてよい。

 では、この異常なまでの利潤率の低下がいつごろから始まったのか。
 私はその始まりを1974年だと考えています。図2のように、この年、イギリスと日本の10年国債利回りがピークとなり、1981年にはアメリカ10年国債利回りがピークをつけました。それ以降、先進国の利子率は趨勢的(すうせいてき)に下落していきます。
 1970年代には、1973年、79年のオイル・ショック、そして75年のヴェトナム戦争終結がありました。
 これらの出来事は、「もっと先へ」と「エネルギーコストの不変性」という近代資本主義の大前提のふたつが成立しなくなったことを意味しているのです。
「もっと先へ」を目指すのは空間を拡大するためです。空間を拡大し続けることが、近代資本主義には必須の条件です。アメリカがヴェトナム戦争に勝てなかったことは、「地理的・物理的空間」を拡大することが不可能になったことを象徴的に表しています。
 そして、イランのホメイニ革命などの資源ナショナリズムの勃興(ぼっこう)とオイル・ショックによって、「エネルギーコストの不変性」も崩れていきました。つまり、先進国がエネルギーや食糧などの資源を安く買い叩くことが70年代からは不可能になったのです。


 そんなに前だったとはね。で、アメリカはというと、水野によれば「電子・金融空間」を開拓した。15世紀半ばから始まった大航海時代の終焉だ。

フロンティア・スピリットと植民地獲得競争の共通点/『砂の文明・石の文明・泥の文明』松本健一

 原油価格の長期的な価格変動はWikipediaのチャートがわかりやすい。今からだと信じ難い話だがオイルショック前の原油価格は1バレル=2~3ドルであった(※現在は100ドル強)。

 私が経済書を読むようになったのは40代からのこと。出来るだけ若いうちから学んだ方がよい。金融・経済の仕組みを理解しなければ、自分が奪われている事実にすら気づかないからだ。

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水野 和夫
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エリック・シュローサー著『ファストフードが世界を食いつくす』が文庫化

文庫 ファストフードが世界を食いつくす (草思社文庫)

 ハンバーガーやフライドチキン、いまや全世界を席巻するファストフードの背後には、巨大化した食品メーカーや農畜産業の利益優先の不合理がはびこっている。化学薬品、香料まみれのハンバーガーの味を刷り込まれる子どもたち、専属契約で廃業に追い込まれる農地や牧場、そして労働者の搾取。ファストフード産業は地球環境と人々の健康を害し、自営農民や労働者、そして文化の多様性を破壊している。わずか半世紀で荒廃したアメリカ人の食と農業構造を緻密な取材と圧倒的筆力で描いた衝撃の書。最新状況をふまえた追記も掲載。

アメリカ食肉業界の恐るべき実態