2016-01-12

中韓など新興国企業の借金2000兆円 米利上げで破綻ラッシュの恐れ IMF警告


 中国やトルコ、チリ、韓国など主要な新興国の企業の借金が、10年間で4・5倍にまでふくれあがっていることが国際通貨基金(IMF)のリポートで明らかになった。米国が利上げに踏み切れば借金を返せず破綻ラッシュとなる恐れがあるとIMFは警告している。

 IMFが発表した世界金融安定報告によると、主要な新興40カ国の金融機関を除く企業の借金は2014年時点で約18兆ドル(2160兆円)で、10年前の約4兆ドル(480兆円)の4・5倍に急増した。

 国内総生産(GDP)に占める借金の比率も約48%から74%台と26ポイント急騰している。

 08年のリーマン・ショック後、米連邦準備制度理事会(FRB)や日銀、欧州中央銀行が相次いでゼロ金利や量的緩和などの金融政策を打ち出したことで、高いリターンを求める先進国の投資家は新興国に資金を流入させ、新興国の企業はお金が借りやすくなったと分析した。

 国別でみると、対GDP比で最も企業の借金が増えたのが中国で、リーマン・ショック前の07年から約25%増となった。トルコとチリが20%台の増加で、ブラジル、インド、ペルー、タイが10%台、そしてメキシコと韓国も10%近く増加している。

 巨額の借金を抱える企業のとどめとなりかねないのが、米国の利上げだ。米国が事実上のゼロ金利を解除すれば、新興国に流入していた資金が米国に還流し、ドル高が加速する半面、新興国通貨が暴落する公算が大きい。

 IMFは「新興国通貨の下落によって、外貨建ての借金が相対的に膨らみ、返済がますます難しくなる」と指摘したうえで、新興国の当局者に、企業の経営悪化や破綻に備えておくよう要請。「必要ならば破綻処理の制度を改革すべきだ」と訴えている。

 中国経済が失速するなか、新興国企業の状況は厳しさを増している。震源地の中国では、8月の中国の工業部門の企業利益は前年同月比8・8%減と、11年の調査開始以来最大の落ち込みとなった。

 対中依存度の高い韓国でも、米格付け大手のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、韓国主要企業38社の格付けの平均値を「ジャンク(紙クズ)」と呼ばれる投資不適格級一歩手前の「トリプルBマイナス」まで引き下げたと報じられた。

 こうしたなか、イエレンFRB議長は中国経済の減速を理由の一つとして9月の利上げを見送ったが、年内の利上げに踏み切る可能性は残っている。米国の利上げをきっかけに中国や韓国など新興国からの資金流出がさらなる波乱を引き起こしかねない。

zakzak by 夕刊フジ 2015-10-02

竹熊健太郎


 1冊読了。

 5冊目『篦棒な人々 戦後サブカルチャー偉人伝』竹熊健太郎(太田出版、1998年/河出文庫、2007年)/『創られた「日本の心」神話』で紹介されていた一冊。いやはや面白かった。奇天烈な怪人4人のインタビュー集である。若い時分に読んでおきたかった、と思わせるほどの内容。少しイカれつつも大いにイカしたジイサンばかりである。侮れないのは彼らが語る戦争体験で、大東亜戦争の一面を実に鋭い見識で捉えている。脚注も懇切丁寧で竹熊の文章は正確だ。「あとがき」で編集者の苦労に触れているのも泣かせる。

2016-01-11

片岡鉄哉


 1冊読了。

 4冊目『日本永久占領 日米関係、隠された真実』片岡鉄哉(講談社+α文庫、1999年/講談社、1992年『さらば吉田茂 虚構なき戦後政治史』の改訂増補版)/昨夜読了。重要な内容であると鑑み再読。絵の構図は素晴らしいのだが、タッチがデタラメとの印象を拭えない。「これ」の重複が全体を覆い、てにをはの間違いが多く、英語・カタカナ語が目立つためだ。頭がいいのか悪いのかわからなくなってくる。副島隆彦は『日本の秘密』で本書を取り上げ、「自民党内の凄まじい権力闘争」と書いているが、私はそうは思わない。むしろ敗戦後、国体を守ることができた事実に安堵し、瑣末な駆け引きの中で安全保障を見失ったように見える。やはり敗戦のショックが日本をバラバラにしたのだろう。民主化の虚しさを感じてならなかった。今調べてわかったのだが、ペリー率いる黒船が来航(1853年)してからGHQの占領が終わる(サンフランシスコ講和条約調印、1952年)までちょうど100年を要している。日本を近代化し民主化せしめたのはアメリカであった。敗戦前の日本人は常にロシアの南下を警戒していた。一方敗戦後はどうだろうか? 終戦間際にソ連が参戦した際の暴虐ぶりやシベリア抑留はあっという間に忘れ去られ、知識人はマルクス主義の台風になびいてしまった。北方領土の返還も新安保条約の舞台裏で潰された。石原吉郎の言葉が胸に迫るのは日本の動かしがたい罪を衝(つ)いているためだ。

2016-01-10

白人による人種差別/『国民の歴史』西尾幹二


 ・白人による人種差別
 ・小林秀雄の戦争肯定
 ・「人類の法廷」は可能か?

『日本文明の主張 『国民の歴史』の衝撃』西尾幹二、中西輝政
『三島由紀夫の死と私』西尾幹二
『国家と謝罪 対日戦争の跫音が聞こえる』西尾幹二

日本の近代史を学ぶ

 西海岸のカリフォルニアにまで流れついてきた者たちは、まさに貧しい白人、プアホワイト、荒くれ者、アメリカのその後の大衆社会を形成する人々から成り立っていた。彼らはいずれもヨーロッパの大航海時代以来の、地球の他の地域に住む人々への恐れ、異教徒に対する人種偏見、はるか東方の遠いものへの奇怪な幻想に深くとらわれた人々であった。オランウータンが発見されたとき、それは黒人の呼び名となり、17世紀のヨーロッパの町では、黒人とインディオが猿や狒々(ひひ)と並んで陳列され、裸の野蛮人として舞台の上を歩き回らされた。
 スペイン人によるインディオ征服は、けっして不用意に企てられたものではない。アメリカの初代大統領ワシントンは、インディアンを猛獣と称し、狼と同じだが形が違うといった。第3代大統領トマス・ジェファーソンは、インディアンに向かって、子どもたちとか、わが子どもたちと話しかけた。白人との結婚を奨励することによって、人種改良が可能かもしれないという考えを思い浮かべた者もいる。これは第二次世界大戦に際して、第32第大統領フランクリン・ローズヴェルトが、日本人を戦後どうすべきかを考えた際に思いついたアイデアと同じものであった。彼は日本人が狂暴なのは頭蓋骨の形態にあると本気で信じていた。
 第26代大統領セオドオ・ローズヴェルト、これはフランクリンのおじにあたり、日露戦争終結の仲介役になった人物だが、彼はアメリカインディアンの事実上の絶滅を指示すると広言した人物でもあった。こうした露骨な人種差別は、ジョン・ダワーに言わせると、ゴビノーをはじめとする19世紀の科学的人種主義の思想的裏付けによって登場したのである。解剖学、骨相学、進化論、民俗史学、神学、言語学といった、あらゆる学問を利用して、ヨーロッパ人は何世紀か前にすでに非白人の特性とするものを原始性、未熟、知的道徳的情緒結果として指摘し、有色人種の生来の特徴であるとみなしていた。

【『決定版 国民の歴史』西尾幹二〈にしお・かんじ〉(文春文庫、2009年/単行本は西尾著・新しい歴史教科書をつくる会編、産経新聞社、1999年)】

日本の近代史を学ぶ」の順番を入れ替えて本書を筆頭に掲げた。縄文時代から敗戦後に渡る日本史が網羅されている。まず全体を俯瞰することで日本の近代史が一層くっきりと浮かび上がるはずだ。

 2016年は激動の年となることだろう。米中の覇権争いは基軸通貨ドルvs.人民元の攻防を熾烈化し、今年の後半には緩和マネーバブルが崩壊すると囁かれている。

 4月には消費税10%の施行が予定され、7月には参院選が控えている。安倍首相は既に「憲法改正を問う」と明言した。とすると消費税増税先送りというサプライズで一気に衆参同時選挙に持ってゆく可能性が高い。

 そこでこれより断続的に日本の近代史と安全保障に関するテキストを紹介してゆく。

 日本人に欠落しているのはキリスト教を中心とするヨーロッパ文化の理解である。いつの時代にも差別はつきまとう。だが欧州白人による人種差別は全く文脈が異なるのだ。劣った人種は人間と見なされず、家畜同然の奴隷扱いを受ける。生殺与奪も白人の自由だ。

 日本は第一次世界大戦後、列強の仲間入りを果たし、パリ講和会議の国際連盟委員会で人種的差別撤廃提案を行う。採決の結果は賛成11ヶ国・反対5ヶ国(※本書では17対11とされている)であった。ところが議長を務めたアメリカのウッドロウ・ウィルソン大統領が突如として全会一致を言い出し、採決は無効とされた。これが大東亜戦争の遠因となる(『昭和天皇独白録』1990年、『文藝春秋』誌に連載)。

 上記テキストはアメリカの排日移民法に続く。

 白人支配の歴史に一撃を与えたのは日露戦争(1904/明治37-1905/明治38年)における日本の勝利であった。インドのガンディーが狂喜し、アメリカの黒人が熱狂した。極東の島国が世界の有色人種の希望となった。

 一方白人からすればこれほど迷惑な話はない。ヨーロッパで黄禍論(黄色人種脅威論)が台頭する。アメリカの排日移民法もこうした流れの中で生まれた。

 アメリカ陸軍は1920年代に各国を仮想敵国としたカラーコード戦争計画を立案する。大日本帝国に対してはオレンジ計画が練られる。そして日本によるシナ地域(当時は中華民国)支配を阻止すべく、資源輸入を枯渇させる戦略が実行される。これがABCD包囲網(1939-41年)であった。

 当時、日本の石油は8割をアメリカに依存していた。妥協に妥協を重ねてアメリカ側と交渉した結果、つきつけられたのがハル・ノートであった。ハル・ノートは日本に対してシナ大陸の権益を放棄するよう命じた。日本にとっては日清戦争以前の状態になることを意味した。この時、日露戦争における三国干渉以来、溜まりに溜まってきた日本の不満に火が点いたと私は考える。

 日本は遂に行動を起こした。アメリカの真珠湾に向かって。



日英同盟を軽んじて日本は孤立/『日本自立のためのプーチン最強講義 もし、あの絶対リーダーが日本の首相になったら』北野幸伯

2016-01-08

ソロス氏、世界の市場は2008年のような危機に直面-用心が必要


 世界の市場は危機に直面しており投資家は大いに用心する必要があると、富豪のジョージ・ソロス氏が警告した。

 スリランカのコロンボで開かれた経済フォーラムで7日に語ったソロス氏は、中国が新たな成長モデルを見つけるのに苦戦しており、人民元の切り下げが問題を世界中に飛び火させていると分析。金利の動向は新興国・地域に難題を与えると指摘した上で、現在の環境は2008年に類似していると付け加えた。

 年初の株式市場は波乱に見舞われ、6日までに世界で時価総額約2兆5000億ドル(約294兆円)が失われた。 ソロス氏は「中国は調整に関して大きな問題に直面している。私に言わせれば危機と呼んでいいものだ。金融市場には深刻な難題が見られ、私は2008年の危機を思い出す」と語った。

ブルームバーグ 2016-01-07

 基軸通貨ドルvs.人民元の攻防は米国の利上げでスタートした。


 そしてもう一つは「核拡散」である。特にイランの核合意とそれに伴うイスラエルの反撃を注視する必要がある。