2016-06-29

核廃絶を訴えるアメリカの裏事情/『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年

 ・沖縄普天間基地は不動産の問題
 ・核廃絶を訴えるアメリカの裏事情

『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年
『沈むな!浮上せよ! この底なしの闇の国NIPPONで覚悟を磨いて生きなさい!』池田整治、中丸薫

 北朝鮮も、小なりといえども核兵器を持つことによって、政治的な独立あるいは自主性、民族の尊厳を中国からも守れる。だから、そういう政治的な意味を込めて核実験をやったということは間違いない。
 しかし、これまた不思議な話で、当時、一般的に北朝鮮の最初の核実験は失敗だったと言われた。我々日本人は核兵器についての知識があまりないものだから、それを信じてきたが、どうもそれは的はずれではないかと考えられます。というのは、北朝鮮はプルトニウム爆弾をつくっているが、これは10年くらいたつと、劣化して処理しなくちゃいけない。今、「核の廃絶」とかみんな言っている。アメリカのオバマ大統領もこの前言いました。あれも、我々はただ単純に、これはいいことだと言っているが、あの裏を見ますと、もうそろそろアメリカの兵器もみんな劣化し始めているんです。これを廃棄するとものすごく金がかかるわけです。したがって、大義名分がないと金が使えない。ロシアも同じことです。だから、「世界から核をなくそう」という名目でどんどん減らしていくことになる。
 最近になって、北朝鮮はもっと早い段階で既に核兵器を持っていたんじゃないか、それが劣化してきた。この第1回の核実験というのは、劣化した核兵器処理ではなかったか。だから、あの実験の本質は何かということをもっと究明する必要がある。それから、第2回の核実験は何か。これは恐らく核弾頭を小型化する実験に成功したんじゃないのかとも言われているんです。

【『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘(ヒカルランド、2010年)】

 本書は第20回日本トンデモ本大賞(2011年)の候補作品となった。

 宇宙人や地底人と交信している中丸薫さんが、北朝鮮に招かれ、北朝鮮は素晴らしい国だと絶賛します。対談相手の菅沼光弘氏もそれに同調し、北朝鮮を批判する日本人を非難したりしています。こういう人が、元公安調査庁調査第二部長だったというのが、いちばんトンデモないことかも……。

山本弘

 ま、無責任な嘲笑目的の賞なので力を込めて反論するだけ無駄だろう。個人的にはやはり中丸薫の人脈は侮れないと思う。例えば池田大作の場合は創価学会というマンモス教団の組織力・財力・政治力が背景にあるが、中丸の場合は完全に一個人である。それでいて池田を凌駕するほどの国際的な人脈を持っているのだ。

 菅沼も中丸やベンジャミン・フルフォードが相手だと、かなり踏み込んだ発言をしている。自らトンデモ系に近づくことで読者に与える衝撃を和(やわ)らげようとしているのだろう。

 オバマ大統領はプラハ演説(2009年)で核廃絶を訴え、同年のノーベル平和賞を受賞した。


 これが世紀のペテンであったとすればハリウッド映画さながらの演出である。あるいは産業廃棄物をお花畑に変えるようなマジックか。

 オバマよ、あんたは核爆弾の中古品を処分する目的で広島を訪れたのか? 平和を売り言葉にして軍産複合体への利益誘導を図ったのか? 利用できると見込んで広島の被爆者をも利用したのか?

 美しい言葉は感情を揺さぶる。そして我々は考えることをやめるのだ。オバマ万歳、広島万歳。めでたしめでたしである。

 政治は富の分配という本来の仕事を放棄して、明らかに富の誘導へとシフトしている。そもそも世界各国で莫大な量の金融緩和を行っているにもかかわらず、目に見えるバブルが発生していない。緩和マネーはどこへ行ったのか? 企業の内部留保の納まるような金額ではないと思うのだが。格差が拡大するとマネーは流動化を失い、持てる者に富が蓄積されてゆく。消費も低迷し、いつまで経ってもデフレを克服できない。

 情報公開と情報判断によって民主政は作動する。奇しくも核兵器廃絶と原発事故を通して我々は情報が秘匿されている事実を知った。そして我々にはロクな判断力がない。討論番組と称する言論プロレスを見て気勢を上げたり溜飲を下げる程度のレベルである。政府の予算を読み解くこともできなければ、法改正の意味も理解できない。本来であればそこにエリート(選良)が求められるわけだが、この国のエリートは官僚となっている(笑)。

 結局のところいい意味でも悪い意味でも、なるようにしかならないのだろう。安倍首相が真珠湾を訪問すれば、「アメリカと共に血を流す」覚悟を披瀝せざるを得なくなる。アメリカの軍産複合体にとっては一石二鳥というわけだ。

目撃された人々 69


2016-06-28

バイロン・ケイティ、友松圓諦、松田卓也、二間瀬敏史、服部正明、梶山雄一、他


 3冊挫折、7冊読了。

起業のためのお金の教科書』大村大次郎(双葉社、2015年)/起業入門的な内容。融資情報など。あまり参考にならず。これから起業する人向け。

忘れられた日米関係 ヘレン・ミアーズの問い』御厨貴〈みくりや・たかし〉、小塩和人〈おしお・かずと〉(ちくま新書、1996年)/冒頭から思い上がりが全開である。著者の情操に問題あり。悪い学者の見本だ。内容も大したことはない。普通の論文である。

オープン・スペース・テクノロジー 5人から1000人が輪になって考えるファシリテーション』ハリソン・オーエン:株式会社ヒューマンバリュー訳(ヒューマンバリュー、2007年)/アイディアとしては非常によいと思う。自分が話し合いたいテーマを貼り出し、小グループで討議する。ただそれだけのことなんだが冗長な説明が続く。もう一つポイントがあって「輪となって座ること」。椅子の並べ方などが図示されている。行き詰まりつつある大企業などでどしどしやるべきだと思う。

 85冊目『空の論理「中観」 仏教の思想3』梶山雄一、上山春平(角川書店、1969年/角川文庫ソフィア、1997年)/なかなか難しい。

 86冊目『認識と超越「唯識」 仏教の思想4』服部正明、上山春平(角川書店、1970年/角川文庫ソフィア、1997年)/一部飛ばし読み。

 87冊目『時間の逆流する世界 時間・空間と宇宙の秘密』松田卓也、二間瀬敏史〈ふたませ・としふみ〉(丸善、1987年)/こういうのを読み落としているのだから、私も本を読んでいるようで読んでいない。ブライアン・グリーン著『宇宙を織りなすもの 時間と空間の正体』に通じる内容だ。

 88冊目『時間の本質をさぐる 宇宙論的展開』松田卓也、二間瀬敏史〈ふたませ・としふみ〉(講談社現代新書、1990年)/松田、二間瀬コンビの2冊を「時間論」に入れる。

 89冊目『心の中はどうなってるの? 役立つ初期仏教法話5』アルボムッレ・スマナサーラ(サンガ新書、2007年)/サンガ新書は気合いを入れると1時間程度で読める。スリランカのアヌルッダ大長老が10世紀頃にまとめた『アビダンマッタサンガハ』の第二章の内容を解説する。わかりやすいアビダルマ入門。

 90冊目『法句経』友松圓諦〈ともまつ・えんたい〉(講談社学術文庫、1985年/講談社、1975年『真理の詞華集 法句経』改題/全日本真理運動本部、1935年『法句経 仏教聖詩』改題か?)/書誌情報が不明だが序文は昭和10年(1935年)に書かれている。同じダンマパダとは思えない。いろは歌のような訳である。好みが分かれるところだろう。名訳とは思わないが、脳細胞への浸透度が高い。友松訳の存在を私は最近まで知らなかった。

 91冊目『タオを生きる あるがままを受け入れる81の言葉』バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル:ティム・マクリーン、高岡よし子訳(ダイヤモンド社、2014年)/これは凄い。正真正銘の悟り本だ。バイロン・ケイティは道教を用いているが、私はブッダの教えに対する理解が深まった。尚、「スピリチュアリズム(密教)理解のテキスト」を「悟りとは」に改めた。

バッハ 名曲集・オルガン曲集



2016-06-27

ネレ・ノイハウス、桜部建、上山春平、仲谷正史、小林よしのり、アルボムッレ・スマナサーラ、他


 21冊挫折、9冊読了。

天災と国防』寺田寅彦(講談社学術文庫、2011年)/読みにくい。昨今は文章にスピード感、鋭さ、躍動感のいずれかがないと読む気が起こらず。

最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか』ジェームズ・R・チャイルズ:高橋健次訳(草思社、2006年)/二度目の挫折。文章も構成も悪い。

インターネットは民主主義の敵か』キャス・サンスティーン:石川幸憲訳(毎日新聞社、2003年)/哲学書並みの難解さ。

すごい!ゼラチンふりかけ健康レシピ』浜内千波、藤野良孝(扶桑社ムック、2013年)/健康本で「すごい」「治る」「絶対」「必ず」は禁句である。ま、インチキ本と思ってよい。食用ゼラチンをゴマなどに混ぜるだけ。フードプロセッサーがあればレパートリーは格段に増える。お肌がきれいになるらしいよ。取り敢えずゼラチンは買った(笑)。

長くつ下のピッピ』アストリッド・リンドグレーン:大塚勇三訳、桜井誠イラスト(岩波少年文庫、2000年)/ずっと「長靴の下にいるピッピ」だと思い込んでいた。ハイソックスのことだったとはね。読むのが遅すぎた。リンドグレーンはスウェーデンを代表する児童文学作家。

文明の逆説 危機の時代の人間研究』立花隆(講談社、1976年/講談社文庫、1984年)/文庫化された当時に読んでいる。何となく開いたのだが読めず。正確の悪さを露呈している。興味が勝ち過ぎて抑制を欠いているようにも見える。

日本国の研究』猪瀬直樹(文藝春秋、1997年/文春文庫、1999年)/この人の文章が苦手だ。

続・日本国の研究』猪瀬直樹(文藝春秋、1999年/文春文庫、2002年)/正に比べると文章が短くて格段に読みやすい。規制緩和の警鐘を鳴らした書。

白雪姫には死んでもらう』ネレ・ノイハウス:酒寄進一訳(創元推理文庫、2013年)/シリーズ第4作。酒寄進一の文章に堪(た)えられず。2冊で十分だ。

脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める』築山節(生活人新書、2006年)/年寄り用の本だった。

神経とシナプスの科学 現代脳研究の源流』杉晴夫(ブルーバックス、2015年)/ちょっと見当が外れた。専門色が濃い。

枠組み外しの旅 「個性化」が変える福祉社会』竹端寛(青灯社、2012年)/「叢書 魂の脱植民地化 2」。仲間内でやっている印象が拭えず。こういうのはサブカル色を強く出した方が広範囲にアピールできると思う。

宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論』青木薫(講談社現代新書、2013年)/帯に「科学書の名翻訳で知られる著者初の書き下ろし」とある。誇大広告。盛り過ぎ。私とは相性が悪い。飛ばし読みで読了。人間原理に興味のある人は読む価値あり。

魂の殺害者 教育における愛という名の迫害』モートン・シャッツマン:岸田秀訳(草思社、1975年/新装版、1994年)/94年の新装版で「気違い」を直していないのは草思社の手抜きだ。教育的虐待の影響を明かした一冊だが、例としては特殊すぎるだろう。統合失調症を調べようと思ったのだが当てが外れた。

幻の女』ウイリアム・アイリッシュ:稲葉明雄訳(ハヤカワ文庫、1976年)/黒原敏行の新訳(2015年)の評判が悪い。古典的名作であるが今となっては古い。被害妄想的なストーリー。自分のアリバイを証明できる行きずりの女性が幻のように消えてしまう。

A型の女』マイクル・Z・リューイン:石田善彦訳(ハヤカワ文庫、1991年)/再読。石田善彦の悪文に堪えられず。既に書評済み

A型の女』マイクル・Z・リューイン:皆藤幸蔵〈かいとう・こうぞう〉訳(ハヤカワ・ミステリ、1978年)/別訳があったとは露知らず。石田訳よりはずっといい。文章がきちんと頭に入ってくる。ただし文体に切れはない。

遥かなるセントラルパーク(上)』トム・マクナブ:飯島宏訳(文藝春秋、1984年/文春文庫、2014年)/今頃になって文庫化するってえのあどういう料簡なのかね? 1984年に幼馴染みのムラモトさんから借りて読んだ。日高晤郎がラジオで強く推していた一冊。

ワールド・カフェ カフェ的会話が未来を創る』アニータ・ブラウン、デイビッド・アイザックス、ワールド・カフェ・コミュニティ:香取一昭、川口大輔訳(ヒューマンバリュー、2007年)/読みにくい。

新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 台湾論』小林よしのり(小学館、2000年)/やはり漫画作品は読めない。活字本の方は読了。本書は台湾でもベストセラーとなっている。

1日10分で自分を浄化する方法 マインドフルネス瞑想入門』吉田昌生(WAVE出版、2015年)/ダメ本。

 76冊目『悪女は自殺しない』ネレ・ノイハウス:酒寄進一訳(創元推理文庫、2015年)/オリヴァー&ピアシリーズの第一作。ドイツ・ミステリ。まあまあ、といったところ。基本的に酒寄進一の訳文が苦手である。オリヴァー(貴族の血を引く上司)とピア(バツイチ女性)に何の魅力も感じない。それでも構成がよいので読了できた。

 77冊目『深い疵』ネレ・ノイハウス:酒寄進一訳(創元推理文庫、2012年)/ドイツ版『犬神家の一族』という評価は当たっていない。第二次世界大戦にまでさかのぼる歴史ミステリである。一読の価値あり。日本同様、歴史観がすっきりしない世相を反映しているようにも思える。

 78冊目『存在の分析「アビダルマ」 仏教の思想2』桜部建、上山春平(角川書店、1969年/角川文庫ソフィア、1996年)/上山の対談がよい。アビダルマは仏教心理学だが煩瑣すぎて付いてゆけず。それでも勉強になることが多い。

 79冊目『触楽入門』テクタイル、仲谷正史、筧康明、三原聡一郎、南澤孝太(朝日出版社、2016年)/触覚に関する珍しい本。文章がまどろっこしいのだが、なかなか面白かった。テクタイルとはチーム名。

 80冊目『そば屋はなぜ領収書を出したがらないのか? 領収書からみえてくる企業会計・税金のしくみ』大村大次郎(日本文芸社、2007年)/蕎麦屋からクレームが来て改訂したのが『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか』(宝島社新書、2012年)である。要は現金商売ということ。大村本は外れが少ない。

 81冊目『お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」』大村大次郎(角川書店、2015年)/これはオススメ。目から鱗が落ちる世界史の教科書本。

 82冊目『李登輝学校の教え』(小学館、2001年/小学館文庫、2003年)/『台湾論』の活字版。何と李登輝と対談している。長らく小林のことを誤解してきたが、彼は感情のバランスが優れている。そして嘘が少ない。これは稀有なことである。佐藤優が欠いているものを私は小林に見出す。

 83冊目『苦しみをなくすこと 役立つ初期仏教法話3』アルボムッレ・スマナサーラ(サンガ新書、2007年)/再読。サンガ新書のスマナサーラ本を渉猟中である。

 84冊目『現代人のための瞑想法 役立つ初期仏教法話4』アルボムッレ・スマナサーラ(サンガ新書、2007年)/一読の価値あり。再読はしないだろう。「慈悲の瞑想」と「ヴィパッサナー瞑想」の具体的なやり方を伝授する。「慈悲の瞑想」を3日間ほど実践してみた。言葉の語呂が悪い。

 あと10冊あるのだが、疲れたので明日書くことに。