2016-08-23
武田邦彦、小室直樹、伊藤貫、佐々淳行、他
14冊挫折、6冊読了。
『私を通りすぎたマドンナたち』佐々淳行〈さっさ・あつゆき〉(文藝春秋、2015年)/『政治家たち』と比べると内容が格段に劣る。
『ソトニ 警視庁公安部外事二課 シリーズ1 背乗り』竹内明(講談社+α文庫、2015年)/登場人物の名前が陳腐すぎて、まるで漫画みたいだ。そのセンスのなさに落胆。
『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』おおたとしまさ(幻冬舎新書、2016年)/サピックス小学部と鉄緑会という私塾が日本の頭脳を担っているらしい。学歴ではなく塾歴の光と闇。
『「慰安婦」問題とは何だったのか メディア・NGO・政府の功罪』大沼保昭(中公新書、2007年)/姿勢のいい左翼か。アジア女性基金の理事という立場が主張をわかりにくくしていると思う。
『オウム的!』小林よしのり、竹内義和(ファングス、1995年)/小林の古い作品は読めた代物ではない。単なる放談。
『歴史問題は解決しない 日本がこれからも敗戦国でありつづける理由』倉山満(PHP研究所、2014年)/文体が肌に合わず。
『無援の抒情』道浦母都子〈みちうら・もとこ〉(雁書館、1980/同時代ライブラリー、1990年/ながらみ書房新装版、2015年)/飛ばしながら半分ほど読む。私が唾棄する全共闘運動の歌集である。知っている歌を確認するために読んだ。どのような世界であれ「生きる現実」がある。主義主張は異なれど共通する感情が通う。青春とは錯誤の異名であろう。そして歳月が錯誤を正すと純粋さが失われる。
『日本史の謎は「地形」で解ける』竹村公太郎〈たけむら・こうたろう〉(PHP文庫、2013年)/竹村は国土交通省河川局長を務めた人物。狙いはいいのだが、思いつきのレベルに感じる。
『日本文明の謎を解く 21世紀を考えるヒント』竹村公太郎〈たけむら・こうたろう〉(清流出版、2003年)/第12章「気象が決める気性」だけ読む。気象変化が激しいために日本人は原則を立てられなかった、という指摘が斬新だ。
『いますぐ読みたい 日本共産党の謎』篠原常一郎〈しのはら・じょういちろう〉、筆坂秀世〈ふでさか・ひでよ〉監修(徳間書店、2009年)/佐藤優が寄稿している。内容も文章も中途半端。創価学会に関する記述が目を惹いた。
『ともしび 被災者から見た被災地の記録』シュープレス編著(小学館、2011年)/「悲しい思い出」を読むのは無駄だと思う。津波てんでんこの言い出しっぺである山下文男が逃げなかったという話には大笑い。いかにも左翼らしい。
『ペリリュー島玉砕戦 南海の小島七十日の血戦』舩坂弘〈ふなさか・ひろし〉(光人社NF文庫、2010年)/文章が冗長なのか、頭に入らず。
『ニッポン核武装再論』兵頭二十八〈ひょうどう・にそはち〉(並木書房、2008年)/専門性が高すぎて読み物としては微妙だ。概念と技術を立て分けて書くべきだと思う。文体に臭みがあって読みにくい。
『日本人が知らない軍事学の常識』兵頭二十八〈ひょうどう・にそはち〉(草思社、2012年/草思社文庫、2014年)/やはり文章が肌に合わない。気取りやポーズがある。
123冊目『彼らが日本を滅ぼす』佐々淳行〈さっさ・あつゆき〉(幻冬舎、2011年)/民主党政権批判の書。一々説得力がある。
124冊目『ほんとに、彼らが日本を滅ぼす』佐々淳行〈さっさ・あつゆき〉(幻冬舎、2011年)/こちらは東日本大震災直後に書かれたもの。記憶を確認するためにも読まれてしかるべきだ。
125冊目『私を通りすぎた政治家たち』佐々淳行〈さっさ・あつゆき〉(文藝春秋、2014年)/いやはや面白かった。佐々の祖父は幕末の志士で後に衆議員となる。父は参議員を務めた。石原慎太郎を持ち上げすぎるきらいがあるが、きちんと根拠を述べている。加藤紘一に事務次官の道を断たれたことも赤裸々に綴る。佐々は武士道の流れを汲む最後の世代か。
126冊目『自滅するアメリカ帝国 日本よ、独立せよ』伊藤貫〈いとう・かん〉(文春新書、2012年)/アメリカの保守層を中心とした要人の発言集といった感がある。確かに自滅しそうだが、その経路は書かれていない。内容は文句なしだが、やや感情の異常さが窺える。「(笑)」はともかく、「(苦笑)」との表記は文筆家として問題がある。しかも苦笑できる内容ではない。伊藤の話し方には妙に甘ったるいところがあり、永六輔のような寄りかかった姿勢を感じる。悪い意味での言文一致といったところか。
127冊目『天皇畏るべし 日本の夜明け、天皇は神であった』小室直樹(ビジネス社、2016年/文藝春秋、1986年『天皇恐るべし 誰も考えなかった日本の不思議』改題、脚註加筆)/天才というべきか、奇才とするべきか。一番相応しいのは鬼才かもしれぬ。小室の力と技は日本人離れしている。「天皇とはキリスト教的神である」と断言するまでに用意周到な根拠を列挙する。ユダヤ教、キリスト教、仏教、儒教、教育勅語、そして栗山潜鋒の『保建大記』。全く関係ないのだが私は本書を読んで、日蓮の『立正安国論』が仏儒習合であることがわかった。崇徳天皇の呪いが末法思想に影響を及ぼした可能性もある。
128冊目『武田教授の眠れない講義 「正しい」とは何か?』武田邦彦(小学館、2013年)/インターネット放送を編んだためか、やや散漫に流れてはいるが十分お釣りがくる内容だ。正しいとは、自分とは別の正しさを知ることである。
2016-08-19
エル・システマとグスターボ・ドゥダメル
近接格闘術のシステマを検索していたところ、「エル・システマ」を知った。
ベネズエラで行われている公的融資による音楽教育プログラムの有志組織であり、1975年に経済学者で音楽家のホセ・アントニオ・アブレウ博士によって「音楽の社会運動」の名の下で設立された。
【Wikipedia】
あのグスターボ・ドゥダメルもエル・システマ出身だという。ドゥダメルの名を一躍有名にした「マンボ」はシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ(25歳以上の青年)の演奏である。クラシック音楽と縁のない人でも十分楽しめる。
貧困は青少年から自信を奪い、ふとしたきっかけで転落することも珍しくない。まして南米の犯罪は銃や麻薬が絡んでくる。ブラジルの映画『シティ・オブ・ゴッド』はストリート・チルドレンの抗争を描いた作品だが実話に基づいている。登場するストリート・チルドレンは全部本物で構成もアドリブ中心だ。
打ち込める何かがあれば青少年は道を踏み外すことはない。好きなものがあれば自暴自棄になることを避けられる。音楽を通した教育活動は長い目で見れば必ずやベネズエラを精神大国としてゆくことだろう。
2016-08-13
鳥居民、養老孟司、マハーシ長老、藤本靖、藤平光一、林えいだい、山本周五郎、他
7冊挫折、8冊読了。
『絶望と歓喜「親鸞」 仏教の思想10』増谷文雄〈ますたに・ふみお〉、梅原猛(角川書店、1970年/角川文庫ソフィア、1996年)
『古仏のまねび「道元」 仏教の思想11』高崎直道、梅原猛(角川書店、1969年/角川文庫ソフィア、1997年)
『永遠のいのち「日蓮」 仏教の思想12』紀野一義〈きの・かずよし〉、梅原猛(角川書店、1969年/角川文庫ソフィア、1997年)/以上でシリーズ全巻終了。初期仏教から鎌倉仏教までを捉える試みはよいと思うが断片的で体系を欠く。梅原の趣味的要素が強いが、1970年前後という時期を思えば、仕事としては評価できる。ただしシリーズ中盤以降の失速は否めない。
『友達の数は何人? ダンバー数とつながりの進化心理学』ロビン・ダンバー:藤井留美訳(インターシフト、2011年)/期待外れ。軽妙だが洒脱ではない文体で好き嫌いが分かれる。
『呼吸で心を整える』倉橋竜哉(フォレスト2545新書、2016年)/パッとしない。
『呼吸法の極意 ゆっくり吐くこと』成瀬雅春(BABジャパン、2005年)/「プラーナ粒子を見る」のところでやめる。神智学会の教義が出てきてびっくりした。
『宇宙論大全 相対性理論から、ビッグバン、インフレーション、マルチバースへ』ジョン・D・バロウ:林一〈はやし・はじめ〉、林大〈はやし・まさる〉訳(青土社、2013年)/100ページほど残してやめた。良書。短いページ数で様々な宇宙論を紹介している。インフレーション・モデルで佐藤勝彦の名前が出てこないのは「やはり」といった印象である。林一・大は親子なのだろうか? 文章が時々おかしくなっている。
115冊目『松風の門』山本周五郎(新潮文庫、1973年)/表題作と「鼓くらべ」が忘れ難い。それにしてもバラエティに富んだ短篇集である。実験的な作品もある。丸山健二に足りないものが全てあるような気がする。
116冊目『証言 台湾高砂義勇隊』林えいだい(草風館、1998年)/良書。高砂隊ものでは一番おすすめ。なんと霧社事件の証言も多い。台湾原住民は理蕃政策・皇民化教育で天皇陛下に忠誠を尽くすようになる。高砂義勇隊は正式な部隊ではなく位も軍属であったが、ジャングル戦で縦横無尽に活躍した。彼らがいなければもっと多くの人々が殺戮されたことだろう。まず証言者の名前が胸を打つ。台湾名・日本名・中国名の三つが記載されているのだ。わずか数十年のうちに翻弄されてきた台湾の運命を思わずにはいられなかった。台湾原住民は部族(社)によって言葉が異なるため、日本語は戦後も使われていた。死ぬまで軍歌を口ずさみ、日本の演歌を愛した人々が多かったという。日本で死んだ精神は台湾に生き残った。
117冊目『氣の呼吸法 全身に酸素を送り治癒力を高める』藤平光一〈とうへい・こういち〉(幻冬舎、2005年/幻冬舎文庫、2008年)/文章がいい。実績も多い。王貞治・高見山・千代の富士といったスポーツ選手が藤平の指導を受けている。呼吸法自体は実に単純で、単純ゆえの難しさがある。呼吸法の概念がよく理解できる。
118冊目『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる!』藤本靖(さくら舎、2012年/講談社+α文庫、2016年)/良書。著者は気づいていないようだがヴィパッサナー瞑想に近い。読むだけだとピンと来ないが実際にやってみるとその効果に驚かされる。耳を引っ張るマッサージもよい。
119冊目『ミャンマーの瞑想 ウィパッサナー観法』マハーシ長老:ウ・ウィジャナンダー大僧正訳(国際語学社、1995年/アルマット新装版、2011年)/名(みょう)と色(しき)の関係が初めてわかった。一度挫けたのだが意を決して一気に読んだ。少しずつ実践しているのだが直ぐに飽きてしまう(笑)。悟りの段階がきちんと示されていて目標を設定しやすい。気になったのは2点。一つは集中と書いてあるが、「注意」とすべきだろう。もう一つは「――したい」という念はダメだとスマナサーラ長老が書いている。主観ではなく客観で捉えよ、と。
120冊目『ブッダの集中力 役立つ初期仏教法話9』アルボムッレ・スマナサーラ(サンガ新書、2008年)/集中とはサマタ瞑想のことである。念仏(ブッダの姿を念じる)という発想には疑問が残る。
121冊目『養老孟司特別講義 手入れという思想』養老孟司(新潮文庫、2013年/白日社、2002年『手入れ文化と日本』改題)/手入れとは里山理論である。子育て・自然が講演の共通テーマであるが、情報論・宗教論を盛り込んでいるところが凄い。
122冊目『日米開戦の謎』鳥居民〈とりい・たみ〉(草思社、1992年/草思社文庫、2015年)/評価の難しい本だ。それ相応の知識がなければ鵜呑みにせざるを得ない。「だろう」「はずだ」「違いない」のオンパレードである。ただし、その想像は事実から遠く離れたものではない。鳥居は市井の研究家のようだ。膨大な資料を読み込んで果敢に挑む姿勢には好感が持てる。永野修身〈ながの・おさみ〉を知りたかったのだが、それほど詳しくは書かれていない。徳富蘇峰〈とくとみ・そほう〉が世論に与えた影響の大なるも初めて知った。陸軍と海軍の分裂状態も詳しく描かれている。
2016-08-12
弁護士を信用するな/『証拠調査士は見た! すぐ隣にいる悪辣非道な面々』平塚俊樹
・『桶川ストーカー殺人事件 遺言』清水潔
・弁護士を信用するな
・『実子誘拐ビジネスの闇』池田良子
・必読書リスト
また、これも重要なことだが、弁護士をすぐに信用しないことだ。いまだに日本人はこの職業名に弱いようだが、クズみたいな弁護士が世の中には山ほどいることを知っておいてほしい。
なにしろ、こやつらの悪さは言語に絶する。私も悪いやつはたくさん見てきたが、この地球上で一番悪いのは、ヤクザでもない、詐欺師でもない、間違いなく(悪辣な)弁護士である。これは仕事でつきあいのある警察幹部や探偵、他の弁護士などとも一致した意見だ。これほど人の心をもてあそんで平気でいられる生き物を私は他に知らない。
しかも、その目的がただの金だというのだから、その愚劣さは筆舌につくしがたい。やつらの悪さと比較したら暴力団などはまだ善良……なんていうとまたクレームがきそうだが、そう言いたいほど、鬼畜生にも劣る外道だ。断じて許すことはできない。
【『証拠調査士は見た! すぐ隣にいる悪辣非道な面々』平塚俊樹(宝島社、2012年)】
証拠調査士(エビデンサー)とは「警察や弁護士が手を出せないトラブルの解決に向けて調査をし、証拠を集め、最終的に解決を図る仕事」とのこと。海外ではメジャーな仕事らしい。警察は事件が起こった後でしか動けない。弁護士は正義を証明するわけではない。法律に適っているか違(たが)っているかを争うだけの仕事である。
その弁護士に悪い連中が蔓延(はびこ)っているという。具体的に触れているのは所謂(いわゆる)「別れさせ屋」という仕事で、会社を経営している資産家の夫とその妻がターゲットである。手口としては会社の乗っ取り・カネ・別居状態で莫大な養育費を請求するなど。で、妻に対してイケメンの弁護士・コンサルタント・医師・ベンチャー企業社長を紹介し肉体関係を持たせる。籠絡(ろうらく)された奥方は引くに引けなくなるという寸法だ。紹介した男は性交渉だけが目的のヤリチン野郎だ。
弁護士は既に需給関係が逆転し無職弁護士が増加している。法科大学院制度も失敗した。仕事のない弁護士が悪知恵を働かせる構図はいかにもあり得る。法に精通しているがゆえに彼らの悪徳がやくざを凌駕するのも当然だろう。
本書では証拠調査士が見てきた数々の驚くべき事件が紹介されている。現代社会の危険を知るためにも広く読まれるべき一冊である。
・売春に罰則があるのは管理売春のみ/『紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男』野崎幸助
2016-08-07
「胸に痛みのない心筋梗塞」がある/『臓器の急所 生活習慣と戦う60の健康法則』吉田たかよし
・『心臓は語る』南淵明宏
・「胸に痛みのない心筋梗塞」がある
・『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』小林弘幸、玉谷卓也監修
・『宇宙生物学で読み解く「人体」の不思議』吉田たかよし
・必読書リスト その一
【健康で長生きするための秘訣は、安静にしているときにはしっかり心拍数を下げて、心臓と血管に無理をさせないことです。】そのためにとっておきの方法が、「心臓呼吸法」です。心臓のブレーキである迷走神経は、息を吐いているときに活発に働き、心拍数をより強力に下げてくれます。心臓呼吸法はこうした効果を利用して、息をゆっくり長く吐くことによって心拍数を低く保つというものです。【目安としては、10秒間ほどかけて息を吐くのがおすすめです。】
本当に心拍数が下がっているかどうか、脈を取りながら息を吐いてみるといいでしょう。
【『臓器の急所 生活習慣と戦う60の健康法則』吉田たかよし(角川SSC新書、2009年)以下同】
知っているようで知らないのが自分である。私が知る自分とは鏡に映った顔や心の反応といった表面に限られる。自分の後ろ姿は見たことがないし、心の奥底に何が潜んでいるかは案外わからぬものだ。時折、腕を横に振ったり、ガニ股で走っている人を見掛けることがある。自分の胸元や足元すら見えていないのだろう。まして体の内側ともなれば、とんと見当がつかない。体を自覚するのは異変を感じた時である。
私は三十の頃から酒を呑み始め、気がつくと中年太りになっていた。塵も積もれば山となり、不摂生が積もればデブになる。健康に留意するようになったのは最近のことだ。
知ることは備えることである。体のメカニズムを知れば自ずと生活習慣も変わる。吉田たかよしは東大で量子化学を専攻し、東大大学院で分子細胞生物学を学び、NHKアナウンサーとなる。その後NHKを退職し、北里大学医学部を卒業。加藤紘一元自民党幹事長の公設第一秘書を経て、現在は開業医をしながら東京理科大学客員教授も務める。医学と科学に関してはポスト池上彰になるかもね。中高年は本書を座右に置くべし。
実際にやってみると直ぐわかるが、息を長く吐くと心拍数が遅くなる。哺乳類の一生は心拍数20億回で共通している(『ゾウの時間ネズミの時間 サイズの生物学』本川達雄、1992年)。ということは、ゆっくりと呼吸をすれば長生きできる計算になる。また、「心臓は“浪”を通じて体中にメッセージを伝えている可能性もある」(『心臓は語る』南淵明宏、2003年)から、ゆっくりと落ち着いたリズムは好ましいと思う。
これほど、痛みに特徴がある心筋梗塞ですが、大きな例外があります。【心筋梗塞にかかっても4人に1人は胸の痛みがないのです。特に75歳以上の高齢者の場合は、4人に3人が胸に痛みを感じません。】そのため本人は心筋梗塞だと気づかず、手遅れとなって死亡してしまうケースも少なくないのです。
このような場合に備えて、「胸が痛まない心筋梗塞」に関する知識をぜひとも覚えておいてください。【ポイントは、胸以外の場所が痛むこと。特に、左肩が痛みます。また、左腕、アゴ、それに奥歯が痛いということもあります。】
心筋梗塞なのに、心臓ではない部分が痛くなるのは不思議に思われるでしょうが、これには理由があります。一言で言えば、脳がだまされるのです。心臓の痛みを伝える神経は、脊髄(せきずい)に入って脳につながっていきますが、この脊髄に入る場所が肩の痛みを伝える神経と近いため、脳は心臓の痛みを肩の痛みと勘違いすることがあるのです。神経が関連している痛みだから、関連痛といいます。
あな恐ろしや。無知による死といってよい。肉体の痛みですら誤って伝わることがあるのだから、心の痛みはもっと誤謬(ごびゅう)にまみれていることだろう。大病を患(わずら)えば「なぜ私が?」と懊悩する。病気という事実に対して、我々は別の物語を付け加えてしまう。これをブッダは「第二の矢」と名づけた(『ブッダ神々との対話 サンユッタ・ニカーヤI』中村元訳、1986年)。
体が発するメッセージを正しく受け取るために知っておくべきことは多い。
・・鼻うがい/『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修
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