・『クリシュナムルティの日記』J・クリシュナムルティ
・正しい質問
・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 1』J・クリシュナムルティ
・ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 1
今朝はこれから、これまで話してきたことについて、質疑応答を通じて一緒に話を進めたらどうでしょうか? ただし、皆さんは、私に、話し手に質問しているだけではいけません。我々は、我々自身に質問しているのであって、我々皆がその問題を分かち合えるようでなければならないのです、(ママ)なぜなら、皆さんの問題は、他のあらゆる人間の問題だからです。この点を特に声を大にして申し上げておきます。皆さんの問題は世界の問題であり、皆さんが世界なのです。私は、皆さんがこのことを了解しておられないように思うのです。皆さんが、実は世界なのです。その最も深い本質において――皆さんの様子、服装、名前、姿や形は違うかもしれませんが――しかし、根底において、本質的には、あなたが世界なのであり、あなたが世界を造ってきたのです。そして、世界はあなたなのです。ですから、もし質問なさるとすれば、あなた方は、人類全体のために質問しておられるのです。お分かりでしょうか? それは質問してはいけない、という意味ではなく、まさにその逆です。そうすれば、質問するということがおざなりな質問と答えに終わらず、また明日になれば忘れてしまうような、その場限りの質問でもなく、非常に真剣な事柄になるからです。ですから、質問なさる場合には、真に人間的な問題について質問なさるようにしてください。
【『真理の種子 クリシュナムルティ対話集 Truth And Actuality』大野純一、五十嵐美克〈いがらし・よしかつ〉、武田威一郎〈たけだ・いいちろう〉訳(めるくまーる、1984年)】
「第一部 デヴィッド・ボーム博士との対話、第二部 講演と対話、第三部 質疑応答」という構成。問う姿勢に人生観が表れる。仏教でも「説会(せつえ)の四衆(ししゅ)」において仏の説法を助ける影響衆(ようごうしゅ)よりも、仏に質問をする発起衆(ほっきしゅ)の方が功徳がまさると教える。
クリシュナムルティは幾度となく「正しい質問」のあり方を説いている。折角なので紹介しよう。
おたずねになりたいことはありませんか?
質問をすることはもっともむずかしいことのひとつなのですよ。
私たちはたずねなければならない問いを何千も抱えています。
私たちはあらゆるものを疑わなければならないのです。
なんに対してもただ従ったり受けいれたりしてはいけません。
私たちは自分自身で見いださなければならないのです。
他の人を通じてではなく、自分自身で真実を見なければならないのです。
そして、真実を見るためには、完全に自由でなければならないのです。
正しい答えを見いだすためには、正しい質問をしなければなりません。
まちがった質問をしたら、必然的にまちがった答えを受けとることになるからです。
そういうわけで、正しい質問をするというのは、もっともむずかしいことのひとつなのです。
これはべつに、話し手があなたがたに質問をさせないようにしているわけではないのですが。
あなたがたは、心から、きわめて真剣な気持ちで質問しなければなりません。生というのはたいへん重大なものですから。そのような質問をするということは、あなたがすでに自分の精神を探り、自分自身の非常に深いところまで踏みこんでいるということです。
ですから、知性的な、それ自体を認識している精神だけが、正しい質問をすることができるのですし、それをたずねることそのもののなかに、その問いへの答えがあるのです。
どうか笑わないでください。これはきわめてまじめなことなのです。
というのも、あなたがたはつねに、他の人にどうすべきかを教えてもらうことを期待しているからです。
私たちはいつも、他の人の灯で自分のランプをともしてもらいたがっているのです。私たちが自分自身の灯であることはけっしてありません。自分自身の灯であるためには、私たち自身の精神で見、観察し、学ぶことができるよう、あらゆる伝統、話し手のそれをも含めたあらゆる権威から自由でなければならないのです。
学ぶというのはもっともむずかしいことのひとつです。質問をするのはかなりやさしいことですが、正しい質問をして正しい答えを得るというのは、まったく別のことなのです。
さてみなさん、ご質問は?(笑い)
(※カリフォルニア大学バークレー校での講話)
【『あなたは世界だ』J・クリシュナムルティ:竹渕智子〈たけぶち・ともこ〉訳(UNIO、1998年)】
「正しい問い」は既に答えをはらんでいる。むしろ答えを知ることよりも、何をどう問うかが重要なのだ。目先の問題に翻弄される人生はおのずと不幸に至る。たとえそれが国家の問題や世界の課題であったとしても。人類は同じことを繰り返してきた。六道輪廻(りんね)の歴史といってよい。その連鎖を自分が断ち切れるかどうかである。
深き問いが人生を掘り下げ、大いなる問いが一生を拡大してゆく。
真理の種子―クリシュナムルティ対話集 (1984年)
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