2021-05-09
2021-05-05
五箇条の御誓文/『「日本国憲法」廃棄論 まがいものでない立憲君主制のために』兵頭二十八
・『日本を思ふ』福田恆存
・『いちばんよくわかる!憲法第9条』西修
・『平和の敵 偽りの立憲主義』岩田温
・『だから、改憲するべきである』岩田温
・『日本人のための憲法原論』小室直樹
・『日本の戦争Q&A 兵頭二十八軍学塾』兵頭二十八
・国民の国防意志が国家の安全を左右する
・外交レトリックを誤った大日本帝国
・五箇条の御誓文
・日本の近代史を学ぶ
・必読書リスト その四
五箇条の御誓文
一 廣(ひろ)ク會議ヲ興(おこ)シ萬機(ばんき)公論(こうろん)ニ決スヘシ
一 上下(しょうか)心ヲ一(いつ)ニシテ盛(さかん)ニ經綸(けいりん)ヲ行フヘシ
一 官武(かんぶ)一途(いっと)庶民ニ至ル迄各(おのおの)其(その)志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦(う)マサラシメン事ヲ要ス
一 舊來(きゅうらい)ノ陋習(ろうしゅう)ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ
一 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ
我國未曾有ノ變革(へんかく)ヲ爲(なさ)ントシ 朕(ちん)躬(み)ヲ以テ衆ニ先ンシ天地神明ニ誓ヒ大ニ斯(この)國是ヲ定メ萬民保全ノ道ヲ立(たて)ントス衆亦(また)此(この)趣旨ニ基キ協心努力セヨ
【『「日本国憲法」廃棄論 まがいものでない立憲君主制のために』兵頭二十八〈ひょうどう・にそはち〉(草思社、2013年/草思社文庫、2014年)】
「五箇條の御誓文」意訳(口語文)
一、 広く人材を集めて会議を開き議論を行い、大切なことはすべて公正な意見によって決めましょう。
一、 身分の上下を問わず、心を一つにして積極的に国を治め整えましょう。
一、 文官や武官はいうまでもなく一般の国民も、それぞれ自分の職責を果たし、各自の志すところを達成できるように、人々に希望を失わせないことが肝要です。
一、 これまでの悪い習慣をすてて、何ごとも普遍的な道理に基づいて行いましょう。
一、 知識を世界に求めて天皇を中心とするうるわしい国柄や伝統を大切にして、大いに国を発展させましょう。
これより、わが国は未だかつてない大変革を行おうとするにあたり、私はみずから天地の神々や祖先に誓い、重大な決意のもとに国政に関するこの基本方針を定め、国民の生活を安定させる大道を確立しようとしているところです。皆さんもこの趣旨に基づいて心を合わせて努力して下さい。
【五箇條の御誓文|明治神宮】
政権の奉還が成り、王政復古を宣言された明治天皇は、理屈の上からは、専制君主となって独裁政治を行うこともできたはずだ。「朕は国家なり」と称したフランスのルイ14世のように…。
しかし、明治天皇はそんなことを望まれなかった。ここで誓われた言葉は「広ク会議ヲ興シ、万機公論ニ決スベシ」であった。日本は、独裁国家ではなく、立憲君主国家としての道を歩むことを宣言したのである。私はこの言葉が好きだ。
【五箇条の御誓文】
万機とは「政治上の重要な多くの事柄。天下の政治」である(バンキ | 言葉 | 漢字ペディア)。明治大帝は一君万民の伝統を踏まえた上で民主の精神を国民に打ち込んだ。
戦後、昭和21年(1946年)1月1日の昭和天皇の、いわゆる人間宣言において御誓文の全文が引用されている。昭和天皇は幣原喜重郎首相が作成した草案を初めて見た際に、「これで結構だが、これまでも皇室が決して独裁的なものでなかったことを示すために、明治天皇の五箇条の御誓文を加えることはできないだろうか」と述べ、GHQの許可を得て急遽加えられることになった。天皇は後に、
それが実は、あの詔書の一番の目的であって、神格とかそういうことは二の問題でした。(中略)民主主義を採用したのは明治大帝の思召しである。しかも神に誓われた。そうして五箇条御誓文を発して、それが基となって明治憲法ができたんで、民主主義というものは決して輸入物ではないということを示す必要が大いにあったと思います。
— 昭和52年(1977年)8月23日記者会見
【Wikipedia】
三島由紀夫はこの大御心(おおみごころ)を見落とした。彼は人間宣言を許さなかった。「などてすめろぎは人間(ひと)となりたまひし」と嘆じた(『英霊の聲』1966年)。
近代日本の政治は万機を「密室の談合」で決してきた。五箇条の御誓文を破ったのは政治家であり、彼らを選んだ国民であった。憲法は五箇条の御誓文でよい。信教の自由、言論の自由、結社の自由などはイギリス式の不文憲法で構わない。
貝印の旬シリーズ/『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー
・『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
・『コフィン・ダンサー』 ジェフリー・ディーヴァー
・『エンプティー・チェア』ジェフリー・ディーヴァー
・『石の猿』ジェフリー・ディーヴァー
・『魔術師(イリュージョニスト)』ジェフリー・ディーヴァー
・『12番目のカード』ジェフリー・ディーヴァー
・『ウォッチメイカー』ジェフリー・ディーヴァー
・『ソウル・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
・『バーニング・ワイヤー』ジェフリー・ディーヴァー
・貝印の旬シリーズ
・『スキン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
・『スティール・キス』ジェフリー・ディーヴァー
・『ブラック・スクリーム』ジェフリー・ディーヴァー
・『カッティング・エッジ』ジェフリー・ディーヴァー
後部座席に置いていたスーツケースから宝物の一つを取り出した。愛用の料理用ナイフ――貝印“旬”(しゅん)シリーズのスライスナイフ。刃渡り22センチ、日本の関(せき)市で鍛冶職人によって一つひとつ作られたもので、刃の部分にこのブランドの特徴的な槌目(つちめ)模様が入っている。刃の芯材はV金10号、そこにダマスカス鋼を32層重ねて作られたものだ。柄の材質はクルミ、価格は250ドル。同じ会社のさまざまな形状やサイズのナイフを何本も持っているが、なかでも気に入っているのはこのスライスナイフだ。我が子のように愛している。魚を下ろすのにも使うし、牛肉をカルパッチョ用に透けるほど薄く切るのにも、また人間にモチベーションを与える道具としても使う。
【『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2014年/文春文庫、2017年)】
夢は断片的な情報がストップモーションで次々に現れるのだが目覚める直前に脳が物語化する。細切れの情報が脈絡のあるストーリーとして再構成されるのだ。記憶もまた同様で当てにはならない。『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』の後で本書を読んだと思い込んでいたのだが実は逆だった。
いずれにせよ大した料理もできない私が庖丁を強く意識したのはこれら二つのテキストによるところが大きい。脳に刻印されたのは鋼(はがね)と貝印だ。そして最近、庖丁研ぎに目覚め、次に購入すべき庖丁を探していた時に、月寅次郎氏のサイトと出くわした(家庭用のおすすめ庖丁)。強く望めば歩むべき道を見出すことができる。
では犯人が愛用している庖丁をご覧いただこう。
月寅氏の旬シリーズ(貝印の海外向けブランド)に対する評価は「ロゴもダサい上、コストが悪い」と辛辣だ(関孫六・旬(貝印)- 包丁ブランドの解説(1))。
驚くべきはジェフリー・ディーヴァーの見識だろう。ひょっとすると実際に使っているのかもしれない。最後の「人間にモチベーションを与える」という言葉が庖丁の切っ先のように突き刺さる。「痛めつける」でもなく、「従わせる」でもない。やる気を出させるのだ。
最後に最近見つけた外国人掲示板の翻訳ページをいくつか紹介しよう。
・外国人「日本の刀匠はこうやって包丁を削っていくらしいぞ」 : 海外の万国反応記@海外の反応
・海外「日本製の包丁が好きな外国人、ちょっと集合してくれ」 : 海外の万国反応記@海外の反応
・「間違いなく世界最高峰の職人芸」 岐阜県の刃物まつりに参加した外国人がクオリティに感嘆 : 海外の万国反応記@海外の反応
2021-05-02
2021-04-28
鋼の庖丁を選べ/『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』キャスリーン・フリン
・鋼の庖丁を選べ
・『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー
【「包丁を買うときに考えるべきふたつのキーポイント。それは、“鋼”(はがね)であること、そして“フィーリング”です。あなたに必要なのは、よい状態を保つことができる鋼の包丁なんです」】すべての鋼が同じ工程で作られているわけではない。より硬い鋼のほうが研ぎやすく、それによってより鋭い包丁になってくれる。でもとんでもなく硬い鋼は砕けやすいし、メンテナンスがややこしい。
硬さを言いだすと複雑な指針があるが、【小売りされている包丁のほとんどについて注目しなければならないのは、実はカーボンの含有量だ。】「カーボンは鋼をより強くします。“高炭素鋼”(こうたんそこう)なんて言葉を探してみたら、すぐに見つかるわ」現状では、スイスのアーミーナイフで有名なヴィクトリノックスが高炭素鋼の包丁を製造しており、万能包丁はだいたい30ドルぐらいから手に入る。
【『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』キャスリーン・フリン:村井理子〈むらい・りこ〉訳(きこ書房、2017年)以下同】
「包丁」は“同音の漢字による書きかえ”で元々は「庖丁」だ。新字体は致し方ないとしても書き換えは許し難い。漢字を平仮名扱いするような真似だろう。
私が庖丁を意識したのはこのテキストによる(読んだのは2年前)。「硬い鋼」の代表は日本刀の材料にもなっている安来鋼(やすきはがね/登録商標:YSSヤスキハガネ)の青紙スーパーや青紙1号が広く知られている。硬度の高さは耐久性につながっており切れ味も長く続く。ただし靭性(じんせい)がないため欠けたり折れたりしやすい。最大の問題は研ぎにくいことだ(切れ味と硬度)。そして錆(さ)びる。硬度最強はセラミック庖丁である。硬すぎて砥石で研ぐことができない(高硬度の包丁は、家庭では扱いづらい)。
炭素鋼複合材の庖丁は少し前に紹介した。
・家庭用のおすすめ庖丁
「包丁が手に馴染むかどうかは“フィーリング”がすべて。包丁を多く取りそろえている調理器具のショップとか、厨房器具を売る店に行ってみて。違いや重さ、ハンドルのグリップなんかを確かめてみてほしい。【使い勝手のよい包丁というのは、人それぞれなんです】」
非力な女性であればともかく、26cmの鉄フライパンを振る私にとって目方は問題とならない。
「30ドルから50ドルぐらいで、ちゃんとした包丁は買える。安い包丁セットを買うよりもお得なんだから」と私は言った。「【正直に言わせてもらうと、もしキッチンの中のものに投資するぐらいだったら、そのお金でよい包丁を買うほうがいい。ちゃんと使えば20年から30年はもってくれるから】」
1万円の庖丁を20年使用すると考えれば年間500円のコストに過ぎない。
「もうひとつ覚えて欲しいことがあります。【包丁は犬と同じです。定期的なグルーミングが必要です。】1年に一度はきちんと研いであげましょう。調理用品や刃物店にはこの様なサービスがありますし、メンテナンスに持ち込める場所を知っています。包丁1本につき数ドルはかかりますけれども、その価値は絶対にあります」と私は言った。
庖丁と犬は違う。こういう表現に白人特有のがさつさが現れる。本来であれば自分で研ぐべきだが、そんな気になれない人には貝印のダイヤモンド&セラミックシャープナーをお勧めしよう。刃の減りは早くなるが切れ味の悪いストレスは回避することができる。尚、刃物専門店で研いでもらっても1000円程度である。私に頼めば500円でやってあげるよ(笑)。
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