2021-06-22

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自動車には事故に遭いやすい色と遭いにくい色がある/『眠れないほど面白い 「道路」の不思議 路線、地図、渋滞、取締り……』博学面白倶楽部


『高速道路の謎 雑学から知る日本の道路事情』清水草一

 ・自動車には事故に遭いやすい色と遭いにくい色がある

 じつは、事故にあいやすい色とあいにくい色があるといわれているのだ。ニュージーランドのオークランド大学やアメリカのミズーリ大学の調査報告によると、車の色によって事故率が大きく異なるという。
 事故にあいにくいのは「白」や「シルバー」。白系の色は光の反射性が高い。そのため、他車から見やすく、事故率が低いのではないかと考えられている。
「黒」も事故率が低い。黒には高級感があり、乗っている人もそれ相応の人物だというイメージがあるからか、他車のドライバーが緊張感を持ち、意識を高めて運転するからではないかと推測されている。
 逆に事故率が高いのが「青」、そして「赤」や「橙」「黄色」などの派手な色。(中略)寒色系の車は暖色系に比べて後退して見えるという特徴がある。車間距離が実際より遠く感じられて、事故が起きている可能性があるのだ。(中略)
「赤」や「橙」「黄色」などの色、特に赤を好む人は攻撃的な性格の人が多いとされる。

【『眠れないほど面白い 「道路」の不思議 路線、地図、渋滞、取締り……』博学面白倶楽部(王様文庫、2016年)】

 これは意外である。派手な色は目につきやすいと思いきや、「後退して見える」とは。スピードを出しやすい人は交差点を曲がる時にわかる。交差点直前で十分な減速をして曲がっている間はアクセルを踏むのが基本である。クルマの不安定な動きをタイヤのしっかりとした動きでコントロールするのだ。ハンドルを切りながらブレーキを踏むのが最悪でわざわざスリップさせるような真似である。

 交通事故は交差点が一番多いことは誰でも知っていると思うが、もう一つは自宅周辺が多い。つまり走り慣れた道路が危ないのである。更に自宅駐車場で我が子が犠牲になる事故も少なくない。一種の正常性バイアス状態に陥るのだろう。

 クルマを「足」と思えば、「走る凶器」であることを忘れる。時速60kmの衝撃はビルの5階から落ちるのと同程度である。


 私は「運転が上手い」とよく言われるが、トラックやタクシー、はたまたバイクの後ろを走らないよう心掛けている。あとは危険予知もさることながら、落下物や飛び石に対して漠然とした注意を向けている。

「よく見る」と言われるが、むしろ見ることによって失われる情報を想像できるかどうかである。前を見れば後ろは見えないし、右を見れば左は見えないのである。「見る」ことは「見えない」ことを含んでいる。だからこそなるべく窓は少し開けて音や空気の振動を感じる状態にするのが望ましい。

2007年の排ガス規制~ホンダPCX125の登場(2010年)がビッグスクーターブームに止めを刺した


『博士のエンジン手帖3』(モーターファン別冊)畑村耕一

 ・2007年の排ガス規制~ホンダPCX125の登場(2010年)がビッグスクーターブームに止めを刺した


 偶然見た動画だが語り口が軽快で素人離れしている。これを見て『博士のエンジン手帖3』を思い出し、慌てて書評をアップした次第である。情報はいかなる情報でも必ず別の情報とつながる。教養とは知識の量ではなく、情報のつながりを示す言葉だ。今年、PCX160も発売され、こちらは高速道路にも乗れる(オートバイは125cc以上)。日本の場合、車検がない250ccバイクに人気が集まるが、もっと政治的なバックアップ体制がないとオートバイの文化は廃れていくような気がする。例えば普通自動車運転免許で小型バイク(125ccまで)の運転を認めるなど。

2021-06-21

過給ダウンサイジングと年金問題/『博士のエンジン手帖3』(モーターファン別冊)畑村耕一


・『軽トラの本』沢村慎太朗
『営業バンが高速道路をぶっ飛ばせる理由』國政久郎、森慶太
・『営業バンが高速道路をぶっ飛ばせる理由2 逆説自動車進化論』國政久郎
・『別冊モータージャーナル 四輪の書』國政久郎、森慶太

 ・過給ダウンサイジングと年金問題

2007年の排ガス規制~ホンダPCX125の登場(2010年)がビッグスクーターブームに止めを刺した

「日本のメーカーがやるべきことは、まず過給ダウンサイジングの土俵に上ること。技術を深めるのはそこからの話じゃ」
 博士がこう話したのは2012年、スバルが投入した新世代水平対向エンジン、FA20DITを前にしてのことである。排気量は2.0lで、ツインスクロールターボやEGRなど、過給ダウンサイジングの定番技術を採用している。フォレスターに乗ってFA20DITの出来映えを検証した際の感想は『博士のエンジン手帖2』を参照いただくとして、当時から小型排気量版の登場を予見していた博士は「1.6lが本命。はよ乗りたい」と繰り返し語っていた。

【『博士のエンジン手帖3』(モーターファン別冊)畑村耕一〈はたむら・こういち〉(三栄書房、2015年)以下同】

 運転は好きなのだが、特別クルマに興味があるわけではない。仕事でハイエースや2トントラックに乗っていたことがあり、荷物を運ぶクルマに関心があった。そこで上記書物を読んだというわけ。

 メカニズムに関しては更に蒙(くら)い。動画「クラッチの仕組みとは?」を視聴してもピンと来るものがなかった。まして過給ダウンサイジングの意味など知る由もない。

ダウンサイジング過給エンジン:なぜエンジンをダウンサイジングすると効率が良くなるのか?|Motor-FanTECH

 多分、人を運ぶエンジンサイズの適正化ということなのだろう。人間一人を移動させるだけなら50ccの原動機で十分だ。実際の馬が4馬力で、人間が0.3PS~1.5PSという(人間は何馬力? | 教えて!goo)。自転車なら8メッツ程度だ(METsとは?|松本協立病院)。

「1.6リッターが本命」ということは5人乗りであれば一人あたり300ccに相当する。車重を踏まえれば250ccバイクに乗ると考えられるから妥当だろう。

「エンジン屋にとって、過給ダウンサイジングを理解するのはよっぽど難しいんかと思う。ワシの場合はもともとエンジン屋じゃのうて電気自動車屋、パワートレーン屋じゃけ、エンジンはトランスミッションとセットで走りを考えにゃいけんことがわかっとる。クルマは気持ち良う走ることが大事で、そのためには低速トルクが要るんだということは実際に体験してみるのが一番じゃ」

 読んだ時は訛(なま)りに違和感を覚えてならなかった。「お前は猪熊滋悟郎か?」とも思った(YAWARA! - Wikipedia)。編集部としては生(なま)の畑村を伝えようとしたのだろうが完璧な失敗だ。

【「技術屋がわかってもクルマは変わらん。企画する人間や営業が変わらねば」
 これも博士の口癖だ。】

 理系特有の本質に切り込む視点が参考になる。特に驚かされたのは年金に対する考え方だ。

 効率を求めない、成長を求めないのが、これからの国のかたち、人の生き方じゃろう。成長を続けることが本当にええことなんかどうかをよく考えにゃいけん。これ以上成長したら地球はもたんようんになるのは目に見えとるからじゃ。面白いことに、年金がきちんと出て老後が保障されるようになると、子供を持つ理由がないようになる。だから、先進国は人口が減っていく。一方、年金が整備されていない国は自分の老後を子供に託すしか道がないけえ、子供を増やす。貧しい国では子供が育たんこともあるんで、リスク対応でたくさん産む。だから、貧しい国はどんどん人口が増えていく。
 世界はいま、そういう状況に陥っとる。この流れを断ち切るには、年金をやめにゃいけん。物事の本質を見誤ると、ほころびが出てくる。年金制度がなぜ破綻するかというたら、年金制度があるからじゃ。働き手が少ないからという指摘もあるが、年金が十分に受け取れるなら子供に面倒を見てもらう必要がないけ、子供は減り、働き手が減って年金は破綻するに決まっとる。
 年金制度は、老後はみんなで面倒を見ましょうという話。子供が自分の親の面倒を見るんじゃのうて、他の親も含めて面倒を見にゃいけん。その一方で、子供がいある親だけが子供の面倒を見る必要がある。そんな不公平な状況だから、だったら子供は要らんという話になる。年金制度で老人の面倒を見るんなら、子供の面倒もみんなで見る制度を一緒に整備せにゃいけん。子育て支援など当たり前じゃ。

 つまり社会保障のダウンサイジング化ということなのだろう。その辺の政治家よりも遥かに高い見識の持ち主で、こうした人々が日本のものづくりを支えてきたことを思うと胸が熱くなる。



エンジンコンサルティング|畑村エンジン研究事務所(広島市南区)

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【8月2日追加】